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OYOの創業と戦略と現在、まとめ

ソフトバンクGのSVFの中でも、今後課題が山積みになりそうなのがインドのOYOです。今回の新型コロナの影響で、世界中で旅行需要が萎縮しており、OYOのビジネスモデルが立ち行かなくなるリスクが高まっています。ソフトバンクGの次の新たな火種と考えられています。

OYOの創業とピーター・ティール

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OYOは、2013年、当時19歳だったインド人のリテシュ・アガルワル(Ritesh Agarwal)氏が、米オンライン決済サービス『ペイパル』の創設者のピーター・ティール氏から事業資金を調達して起業しました。Zero to Oneのピーター・ティールですね。アガルワル氏は、ティールが2010年に立ち上げた若い技術者の育成プログラム「ティール・フェローシップ」の卒業生です。貧困地域で育った彼は、インド国内を旅行した時、質の高い、手頃な価格のホテルが極めて不足していることに気づきました。『低質な内装・デザイン』『柔軟性を欠くレーティング(価格設定)』『間違ったコスト構造』を改善して、質の高い空間を造り、提供するというビジネスモデルを思いつきました。2020年2月、世界80カ国の800都市に4万3千軒、120万室を展開しています。アガルワル氏はティール氏から受けた指導は3つの要素で構成されていたと述べています。

1つ目は、他の場所で成功したことをインドで再現するのではなく、自分の直感を信じて、インド市場に特化したビジネスを創造するようにアドバイスされました。「米国や中国の企業のインド版を作ろうとするのではなく、独自のアイデアの力を信頼することを学びました」とアガルワル氏は述べています。

2つ目は、高い目標を掲げ、大きく考えることです。巨大なインドの観光産業に照準を合わせるようアドバイスされました。スケールの大きい考え方はシリコンバレーの起業家の典型であり、彼らの成功の重要な要素です。ティール氏から最初の10万ドルの資金調達を受けてから2年後、OYOはシリーズAの資金調達ラウンドを完了し、2400万ドルの資金調達を受けました。

最後に、アガルワル氏は、強固な職場文化を構築するように言われました。「たとえ会社が巨大化しても、文化に妥協してはいけない 」と彼は述べました。LinkedInによると、2018年、OYOはインドで働きたいスタートアップの第1位にランクインしました。

OYOの戦略と打撃

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昨年には評価額が100億ドル(約1兆800億円)まで膨らみ、ソフトバンクGの優良ポートフォリオの一つになったOYO。企業価値が上がる中、アガルワル氏は自社の株式を買うために20億ドルを借り入れました。孫社長が、みずほフィナンシャルグループなどからの資金を個人的に保証するほど、同社と同氏を信頼していました。

投資家やアナリストは、ソフトバンクGが大部分を出資しているOYOの急拡大を批判し、ビジネスモデルを構築する能力に疑問を呈していました。多くのアナリストは、OYOは過大評価されており、WeWorkの二の舞になるのではないかと予測しています。

OYOは低予算の顧客をターゲットにしていて、プレミアムホテルとは客層が異なります。この層の収入は、危機によって非常に大きな打撃を受け続けると考えられており、OYOにとっては、長い間悲惨な状況が続くことになります。OYOはもともと、2019年3月期、9億5,100万ドルの収益に対して約3億3,500万ドルの損失を計上するほどの赤字優先で、成長を追求するモデルでした。

OYOは過去4年間で約30億ドルの資金調達を行い、ホテルや顧客の誘致・維持、テクノロジー投資、大規模な労働力の構築に費やしてきました。インド最大のホテルチェーンとしての地位を確立するとともに、OYOは他の79カ国にも進出しました。米国とオランダのホテルブランドを購入し、中国においては、2017年後半に立ち上げてから1年半で、2番目に大きいホテルチェーンになりました。

OYOの現在

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現在、世界的な外出の規制や自粛で出張、旅行など宿泊機会が激減する中、OYOは加盟ホテルに対し売り上げの最低保証も行っており、ホテル稼働率の低下とともに二重の苦しみとなっています。

リテシュ・アガルワル氏は、従業員へのビデオメッセージの中で、同社の収益がここ数週間で50~60%以上急落したこと、また、同社のキャッシュが深刻な状況下に置かれていることを認めました。COVID-19の発生によってもたらされたこの危機に対応するために、OYOはすべての制御可能なコストを削減し、設備投資を削減し、積極的な拡大を放棄すると述べました。

OYOは現在、5000人のレイオフを行なったとともに数千人の従業員を一時的に休職させています。アガルワル氏は今年の残りの期間の給与を放棄し、同社の経営陣は25~50%の減給を受けています。OYOは、ホテルの一部を検疫センターとして提供したり、医療従事者や航空乗務員などを受け入れるために提供しています。

先月末、米国政府は20兆ドルの景気刺激策を発表しましたが、その中で旅行業界は最大の受益者となっています。インドでも、OYOは政府に救済を求めざるを得なくなるかもしれません。

中国では、さらに別の問題を抱えています。一部の中国の従業員やホテルパートナーによる不正行為が原因で、中国の数百人のOYOのホテルサプライヤーは、同社が約束を破り、以前よりも少ない金額を支払っていたことに不満を抱きました。その結果、多くがOYOのプラットフォームから離れていきました。OYO中国では先月末までに、最上級幹部のSam Shih氏を含む少なくとも3人のOYO中国のトップが会社を去りました。会社の全体のスタッフはピーク時の8,000-9,000人から3,000人以下に減少しました。しかし、一方では、COVID-19の状況とインド全土でのロックダウンのため、短期的・中期的には中国がOYOにとって最も有望な市場であることに変わりはありません。中国は、COVID-19から回復しつつあります。

世界中で、OYOよりもはるかに優れた財務内容を持つホテル企業の価値が低下しています。米国のホテルチェーンMarriott International及びHilton Worldwideの株式は過去3ヶ月間に40%以上下落しました。OYOのライバルである中国のHuazhu Hotels Groupの株式も同じ期間に30%以上下落しています。

今後1−2年のCOVID-19の危機を乗り切るためには、昨年末に15億ドルを調達したばかりですが、OYOは別の大規模な資金調達ラウンドを必要とするかもしれません。ただ、ソフトバンクGはOYOを救済するかは分かりません。WeWorkの時に散々叩かれましたので。ソフトバンクGはこれまですでに15億~20億ドルをOYOに投資しており、同社の株式の約48%を保有しています。

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