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オンライン診療は今後どうなるのか?

新型コロナウイルスにより、オンラインの初診診療が可能になることが先日決定されました(時限的な措置です)。今回のコロナウイルスは、飲食業やホテル業や航空業界などが大きなダメージを受けていますが、医療業界も大きなダメージを受けています。大病院では、手術やコロナ以外の診療が当面延期になり、収入が減少しています。開業医では、患者さんの受診抑制が起きて、収入が減少しています。また若い医療者は、コロナ診療の最前線で戦わされ、疲弊していくでしょう。21世期の戦争は、経済戦争、ウイルスとの戦争など、20世期以前とは形を変えて繰り広げられていますが、そんな中、若い医療者には、「赤紙」が届き、最前線に送り込まれるシステムが始まりつつあります。これは医局制度や日本式年功序列システムのもと、若い医療者が目上や周囲の圧力から逃れられないためです。太平洋戦争のときもこんな感じだったのかと、考えてしまいます。というように、医療に関わる人たち、とりわけ若い人たちに大きな影響が出はじめているのが、現在の状況です。

さて、このような状況下、ただ粛々と目の前の仕事をこなすだけの状態になっているかというとそういうわけでもありません。個の移動やネット上での自由な発言ができるこの時代、医師たちがいつまでも為政者の思うがままに操られているとは限りません。特に、皆保険制度が壊れることはほぼ確実で、医療の自由化がいつか起こることはほぼ間違いないですから、それに気付いた人は、早々と現行の制度からいつでも離脱できるような準備を始めるでしょう。そして、今回初診も解禁されたオンライン診療は、特に若い医療者をエンパワーメントする可能性のある変革だと感じています。また、特に現在の状況では、オンライン診療により、医療従事者の安全を確保し、患者をトリアージすることで、本当に重要なケアを必要としている人だけに医療従事者を派遣することができるようになります。

オンラインによる診療行為の分類

詳しくは、こちらに載っているのですが、用語の定義をまとめたのが下図です。

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①オンライン診療

オンライン診療とは、「遠隔診療のうち、医師-患者間に置いて、情報通信機器を通して、患者の診察及び診断を行い診断結果の伝達処方等の診療行為を、リアルタイムにより行う行為」と定義づけられています。クリニックなどが導入し、クリニックのホームページから誘導されるようなサービスですね。

②オンライン受診観奨

これは、「遠隔医療のうち、医師-患者間において、情報通信機器を通して患者の診察を行い、医療機関への受診勧奨をリアルタイムにより行う行為であり、患者からの症状の訴えや、問診などの心身の状態の情報収集に基づき、疑われる疾患等を判断して、受診すべき適切な診療科を選択するなど、患者個人の心身の状態に応じた必要な最低限の医学的判断を伴う受診勧奨」と定義づけられています。診断等の医学的判断を伴って、医療機関への受診観奨をすることのようです。

③遠隔医療相談

こちらは、「遠隔医療のうち、医師又は医師以外の者-相談者間において、情報通信機器を活用して得られた情報のやりとりを行うが、一般的な医学的な情報の提供や、一般的な受診勧奨に留まり、相談者の個別的な状態を踏まえた疾患のり患可能性の提示・診断等 の医学的判断を伴わない行為」とされています。診断等の医学的判断を伴わず、行うことも一般的な医学情報の提供や一般的な受診観奨に留まるということのようです。

これら3つを比較すると、特に②と③に関しては、なかなか曖昧な部分も多い分類をしていると思いますが、具体例は以下のようになっています。

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それでは、現状において、それぞれのサービスを展開する企業を見ていきます。

LINEヘルスケア

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24時間365日医師に相談できるLINEヘルスケアは、LINE上で医師に健康相談ができるサービスです。出資比率はLINEが51%でエムスリーが49%でLINEの連結子会社となります。現在は、③の遠隔健康医療相談サービスを提供していますが、今後、どんどんサービスを拡大していくものと思われます。LINEが保有する国内月間利用者数8000万人のユーザーベースと、「m3.com」における28万人以上の医師会員および16万人以上の薬剤師会員基盤が組み合わされ、今後かなり強力な日本でのオンライン医療プラットフォームとなることが予想されます。

平安好医生

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週7日24時間対応のオンライン診療プラットフォームを運営しています。ユーザー数は2019年12月31日の時点で3億1500万人に達しました。新型コロナ肺炎の流行期間中、同プラットフォームのアクセス数は4月8日までに累計11億人となり、新規ユーザー数は11倍に増加しました。平安好医生の1日あたりのアクティブユーザー数(DAU)は542万人で、2位以下の企業のDAUは10万~18万人にとどまっており、オンライン医療分野の企業の中でダントツの1位になっています。

2016年シリーズAで5億ドル(約550億円)を調達し、2017年にはソフトバンク・ビジョン・ファンド(SVF)から4億ドル(約440億円)を調達し、2018年5月に香港上場を果たしています。時価総額は現在日本円で、1兆4000億円近くまで伸びています。

平安好医生では、医療AI問診から、医者ネットワークによる24時間の健康コンサルテーション、遠隔診療、病院予約、検診予約などのリアル医療サービス、薬品配達、オンラインで健康食品や健康用品の販売、など一気通貫で全ての医療サービスをオンラインで提供しています。

下図:平安好医生の株価

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TELADOC

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Teladocはアメリカ最大手のオンライン診療サービス提供企業で、米国だけで約3500万人の会員を持ちます。インフルエンザの流行や新型コロナウイルスの影響で、アメリカでも遠隔診療は注目を集め、Teladocの株価は今年75%以上上がっています。2,400人以上の従業員を擁するTeladocは、175カ国以上、40言語以上でケアを提供しており、グローバルに50,000人の臨床医とつながり、雇用主、病院、医療システム、保険会社と提携してケア提供の変革を図っています。

インターネット調査会社によると、アメリカ人の75%が対面での診察ではなく、オンラインで医師に診てもらうことに前向きであることがわかりました。オンラインヘルスケアサービスはまだ黎明期にあるため、まだまだ成長余地があります。世界のオンラインヘルスケア市場は、2025年まで毎年約27%の成長率で成長し、市場規模は227億ドルに達すると予想されています。

Teladocは、現在、提供している医療サービスの種類の拡大に取り組んでいます。メンタルヘルスサービスは、拡大できる分野の一例です。米国では成人の約5人に1人がメンタルヘルスの問題を抱えており、Teladocも、これを重要な機会と捉えてます。約9000万人のアメリカ人は、メンタルヘルスサービスが十分に提供されていない地域に住んでいます。

Teladocはまだ若い会社で、2019年の売上高は5億5,331万ドル(前年+32.4%)、営業損益は8,044万ドルのマイナスですが、右肩上がりの拡大を続けています。Teladocは不況に強い事業を展開しており、COVID-19の拡大は、可能な限り医療機関の待合室を避ける意識をもたらし、同社の事業の拡大に役立っています。

下図:Teladocの株価

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GoogleのAI皮膚科診断

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Googleは、「皮膚疾患の鑑別診断のための深層学習システム」で、プライマリケアでよく見られる皮膚疾患を対象とした深層学習システム(DLS)を開発しています。患者の症例に関する同一の情報(画像と患者のデータ)を提示された場合、DLSは26の皮膚疾患について、米国の認定皮膚科医と同等の精度を達成できることが示されました。この研究は、専門トレーニングを受けていない一般の非皮膚科医でも皮膚疾患を正確に診断する能力を高めることができる可能性を示唆しています。今後は、こういったシステムが組み込まれたオンライン医療により、一般的な皮膚科クリニックはオンライン中心の提供となる可能性もあります。

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日本の現状は

他の国のサービスと比べると、日本はオンライン医療の分野でも他国に大きく遅れをとっていることが分かります。日本のLINEヘルスケアはまだ始まったばかりで遠隔健康医療相談のみの提供です。オンライン診療ソフトを提供している企業もありますが、医療プラットフォームやAIの組み込みなどでは、米中の企業には見劣りします。医療は、免許制であり、国ごとの閉鎖性が高い業種ですから、ある程度国内の産業は保護されます。そのことが逆に、新しいサービスの浸透を妨げているとも言えます。


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