正しいマーケティングの寛容さ

From:Dr.kappa
水曜日、午後7時23分
日本、本州

突然ですが、昨日買ったものを思い出してみてください。

それらは全て最も安いものだったでしょうか?

おそらく違うと思います。

確かに、全ての買い物で最も安価な物しか購入しない方もたまにいらっしゃいます。

10円安い卵を買いに隣町まで行く、など。

ですが、彼らのような方は稀で、ほとんどの方々は何らかの「理由」があって、多少の追加の出費を選んでいます。

・面倒が省けるから
・好みだから
・気が向いたから

など。

例えば脳科学では、我々はまず感情的に判断し、後からその判断を論理的に正当化していると考えられています。

それぞれシステム1、システム2と呼ばれていると、以前お話ししましたね。

言い換えると、仮に同じ物を買うという、同じ行動だったとしても、判断に至った感情は違う可能性が高いと考えられます。

人間はそれぞれ異なる世界を持っているので。

(世界という言い回しは現代思想から取っています。

今はだいたい「価値観」のようなものと思っておいてもらえればOKです。)

なぜこのような話をしているのか?

それは前回のメールの補足をしたいからです。

2日のメールで、「ライバル」が嫌厭する市場の方が稼ぎやすい(と私が考える)理由を解説しました。

そして、特にビジネスに多いと思いますが、なぜか競うことが好きな方が多い印象があります。

競合という言葉自体が競うことを前提にしていますね。

ですが、正直言って、これはセンスがありません。

(もっとも、私自身、ビジネスを始めた当初は競合と競ってしまっていたのですが。)

なぜ我々は競ってしまうのでしょうか?

その理由を考えてみると、資本主義という交換の論理を基にした仕組みの中で生きているからではないか?と私は考えるようになりました。

(この点は私の理論の原理の1つに関連するので、今度お話しします。)

皆で同じサービスを打ち出し、皆で1つのパイを奪い合い、皆で苦戦するのは、とても戦略的とは呼べません。

私の友人の経営者は「戦いを略すること」が戦略だと言っていますが、私もその通りだと思います。

冒頭で尋ねたように、私たちはそれぞれ異なる「理由」(感情)で判断をしているので、狙う感情(core complex)をズラせば、仮に「似た」サービスを提供していたとしても、競い合わずに、皆が利益を拡大させることが可能です。

良い例が無いかと考えたところ、ミュージシャンがわかりやすいかもしれません。

音楽を日常的に聴く方々は少なくありません。

ですが、それぞれ異なる感情で聴いています。

ある方は励ましてもらいたいから。

別の方は感動して泣きたいから。

あるいは、同じ方でも別の時には気分を上げたいから特定の曲を聴く場合もあるでしょう。

そして、ミュージシャンはそれぞれが売れてもパイを奪い合うことにはなりません。

1人の消費者が、複数のグループの曲を、異なる感情で聞くからです。

それどころか、1人のミュージシャンから音楽が好きになったら、他のミュージシャンの曲も聴くようになり、パイ自体を大きくできる可能性があります。

一方で、以前お話ししたMさんが始めようとしている事業の市場(外国人エンジニアの紹介)においては、4社も5社もほぼ同じサービスを打ち出しており、1つのパイを奪い合う苦しい戦いをしています。

こんな市場で同じサービスを打ち出したら、自分たちが苦しいだけでなく、競合も苦しめることになってしまいます。

その結果、例えば競合がリストラせざるを得なくなったら?

たとえ顧客は喜んでくれたとしても、競合(やその社員)は泣くしかないのでは無いでしょうか?

私はこのような手は社会貢献だとは考えません。

寧ろ、顧客だけでなく、「競合」やその社員にまで利益をもたらす、戦略的な手こそ好手だと考えます。

正しいマーケティングはそんな寛容さを持っているのかもしれません。

P.S. ちなみに、私はエンヤやマイケル・ジャクソン、カーペンターズなどを好んで聴いています。

ただ、聴かず嫌いは無いので、オススメの曲がありましたら教えてもらえると嬉しいです。

(追伸2は省略)

最後までお読み頂き、どうもありがとうございました。

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Dr.kappa
私は現役の理論物理学者として研究者を行なっています。ただ、アカデミアの世界は経済的に厳しく、優秀でも諦めてしまう学生さんが多くいます。私は将来的に彼らに自力で稼ぐ力を付けてもらえる会社・奨学金の設立を目指しています。サポートはその為の資金に活用させて頂きます。