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20200905 (普及版)夏に見たい映画「うる星やつら2 ビューティフルドリーマー」批評5番勝負+1 大賞 「僕たちは決して『うる星やつら』にはなれない」

いざ、大将戦!

夏休みは終わってしまいましたが、高校生クイズは今の時期だろうということで、夏休みの残業感をお届け。

最後のテーマ。
「僕たちは決して『うる星やつら』にはなれない」

映画のエンディングで明らかになる映画のループ

「あの人らと付き合うのは並大抵の事やおまへんで、ほな行こかー」

夢邪鬼の一言とともに、映画のエンディングであり、テーマ曲でもある『愛のブーメラン』がかかり始め、エンドロールが始まります。

このエンドロールこそが公開以来、おそらく最も語られ、ビューティフルドリーマーをビューティフルドリーマーたらしめていっているといっても過言ではないでしょう。

エンドロール、映画のタイトルのズームから徐々に引いていき、友引高校の全景がパンで写ります。

ここで、友引高校が本編中でどういう役割をしているか、本編のサクラのセリフを引用しましょう。

「築60年、木造モルタル三階建ての時計塔校舎、いつから四階建てになったのかのォ」
「あの連中が、中でどんなドタバタを演じているか目に浮かぶわ」

本編における「通常世界」では友引高校は木造モルタル造り3階建てであるべきですが、夢邪鬼の作った世界では4階建てとなっています。

ある意味では、猿の惑星で、変わり果てた星と地球をつなぐものが自由の女神であったように、友引高校は作品中において夢の世界と現実を分けるメルクマークとして存在していました。

それでは、エンドロールで現れた友引高校は何階建てだったのか。

これは、自分の目でご確認ください。

友引高校から離れていく視点

映画を見ている観客にとって、友引高校は『うる星やつら』そのものです。

永遠に続く文化祭前日の喧騒。親しい友人たちと無責任かつ無制限にやりたいことをやれる環境。

そして、その世界は映画のヒロインであるラムによって担保されている。

しかし、映画の中盤以降、夢邪鬼がラムの夢を自らのものにしようとし、それが悪夢へと変わり、夢が崩壊していきます。なぜか、その過程において、私は、物悲しさを感じてしまいます。

その物悲しさの正体が、エンディング、友引高校から離れていく視点に象徴されています。その視点は、「また映画の初めに戻って、友引高校へいらっしゃい」ということなのです。

この映画自体が、「夢」の世界であり、ここに永遠に私たちがい続けることはできない。すなわち、「私たちは『うる星やつら」にはなれないのだよ」と優しく突き放してくれているのです。

夢から覚めて生きる世界へ還らせてくれる

副将戦で、私は、美しい夢の正体は「永遠の今」だったと述べました。

「永遠の今」というのは哲学者の西田幾多郎の言葉です。過去と未来を結節する「今」しか私達には存在していない。私たちは「永遠に続く今」を生きているということを表現しています。

ラムは、今が永遠に続くことを望み、それが、「美しい夢」であると本編では定義されました。ただ、よく見ると、そこに「生」はない。「夢」というのは寝ている状態で見るのであれば、人間は「仮死」の状態であり、そこに生きるという行為は入っていません。

つまり、生きている私たちは、「美しい夢」の中に生き続けることはできないのです。

それはアニメでもいいですし、マンガでも、映画でも構いません。ゲームも含めたいところですが、eスポーツも出てきて、オンラインゲームも興隆し、そこには限りなく現実の人間関係や契約関係が持ち込まれ始め、もはや、「生」の世界の論理が侵食しています。

ビューティフルドリーマーは他のアニメ作品と違い、現実への帰還、そして、現実に疲れた時、100分の美しい夢を見せてくれる映画なのです。

夢なんて見るもんじゃない、叶うもんじゃない、叶えるものだから

安室ちゃんの初期の歌の歌詞です。

ビューティフルドリーマーのような仲間、世界はあり得ないのなら、夢を現実に創り出してしまえばいい。それが許されるのが人間です。

ですから、どんちゃん騒ぎしながら、何かを作り出していく、ベンチャーのような仲間たちと起業をするのもありでしょうし、実際、アニメの世界で描かれたことは次々と現実になっているようにも思います。

夢を見たなら、それを目標に。君の「美しい夢」は必ず醒めて、現実になるよ。

ビューティフルドリーマーの隠れたメッセージはそこにあるのかもしれません。

それでは、最後にお聞きいただきましょう。

ビューティフルドリーマーのエンディング。

愛はブーメラン!


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「文化こそ、付加価値の源泉である」といえる、21世紀の日本を目指した、思考実験と結果まとめの日記です。(ちょこちょこ雑談も入ります)

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