映画「ケイコ 目を澄ませて」

凄すぎて何を書けばいいか分からない。

良い映画は無駄が無いなと思った。
色んなボクシング映画を観てきて、どれも良かったけど、その中でも異色というか、とにかく凄かった。

冒頭のケイコのミット打ちで完全に釘付けというか、こりゃ凄いなぁと思って、それが最後まで続く。あっという間の映画体験というか、この映画にずーっと浸っていたい。

岸井ゆきのが完全にケイコ。
ボクサーとしての違和感が全くないというか、もうボクサー。
憑依しているというか、もうなんか愛しい。

佐藤緋美・松浦慎一郎・三浦誠己とか脇役が良すぎて、確実にこの3人のキャリアハイの作品になってると思う。岸井ゆきのにとってもだけど、作品が良ければ演者が良いに決まってる。演者が良ければ作品が良いに決まってるというか、もう出てくる演者がみな自然体というかそういう人にしか見れない。

会長役の三浦友和は圧巻。この作品の深さが増すというか、良いおじちゃんだなぁ。てか、ボクシングジムの会長ってみんな良い人だよなぁ。上に立つ者は威張らないというか、ボクシング特有の縦関係とでもいうんだろうか。ボクシングというものに魅了され翻弄される人の気持ちがわかった。

耳が聴こえないボクサー。
耳が聴こえないボクサーの孤独と苦悩も描かれてるけど、不器用に生きる美しさ・何かに没頭する美しさみたいな熱量を感じた。

劇的な何かが起こる映画ではないけど、それだからこそ観てる者が救われるような・何かを感じ取れるような映画だと思う。

映像が綺麗で、心と心が通じ合うような、言語では伝わらないものがある気がしたし、言語では現せない姿があると思った。

そして、近い将来日本を代表する、いや世界を代表する監督になる三宅唱監督の作品を映画館で観れた幸せ。映画に無知な僕には、この凄さの半分も伝わってないかもしれないと思って、もっと映画を観ないとなと思った。

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