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誰もが可能性をもっている。収益化しにくい「ホームレス・難民」の領域に挑む―クロストークライブより

9月12日(木)のクロストークライブは、「難民・ホームレス支援:孤立しがちな人たちの可能性に焦点をあてる」をテーマに、3名のゲストをお迎えしました。

【ゲスト】
 ●市川 加奈さん/Relight株式会社 代表取締役
 ●渡辺 早希さん/NPO法人WELgee  理事兼リソース部門統括
 ●藤井 優花さん/ピープルポート株式会社 ZERO PC事業統括

難民も、ホームレスも、社会課題として話をする時には、属性でくくり、「支援の方法・社会の仕組み」をお話することになりがちですが、本来、一人ひとり、ご本人の意向も、置かれている状況も、もっているリソースや能力も、全く異なります。その中で、何とか目の前の人が自分らしく過ごせるように、日々向き合い、試行錯誤するゲスト3名のお話は、とても迫力と説得力があり、それでいて難しさを笑顔で吹き飛ばすポジティブさも持ち合わせた素敵なお話ばかりでした。その中から一部、話題にあがったことを共有したいと思います。

●何が一番難しい?

絶対的な解がない。生活保護に繋げられたら丸という訳じゃない。色んなバックグラウンドとご本人の価値観・意向がある。制度があっても活用できない、仕事にも繋げられないとなった時に、どれだけ今の状態でBetterな選択肢を見つけられるか。加えて、経済合理性の面の難しさもある。採用する企業からは、労働市場性の価値が問われる。紹介が難しい場合もある。それでもどうにかしていくという仕事だと思う。(市川さん)

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私たちは直接雇用している。だからチームメンバーがとにかく多様。20代から70代まで、5カ国のメンバーが働いている。日々の中で価値観や前提の違いをたくさん感じる。想定外のことが起こる。その環境をどれだけ楽しめるか。日本のカルチャーでもない、相手の国のカルチャーでもない、第3の”自分たちらしいやり方”が見つけられると、チームがぐっと高まる。それが面白さであり、難しさ。

2つ目めは雇用を増やすことが難しい。パソコンの回収の事業を大きくする程、社員を増やすことができる。ただ、難民の方には、仕事だけでなく、日本で暮らす上で、生活や家族の問題など、他にもたくさんの障壁がある。私たちは、仲間として一人の人生に寄り添っている。すごく手間がかかるし、急に人数を増やすことも難しい。でも、数にも挑戦していきたい。日本国内で一番雇用を生み出しているのはユニクロ。いつかそれくらいの数を雇用できるようになっていきたい。(藤井さん)

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団体としても、「実現すべきこと・やるべきこと」を常にアップデートし続けていかなきゃいけないような感覚。在留資格を更新をし続けなければいけない不安定さをどうにかできないかと事業をしているが、社会情勢の変化により、政府の見解・制度が変わっていく。その度にやるべきことが変わってくる。1年前に考えた事業計画が今は使えない。そういう変化に対応するのがとても難しい。

二つ目は、繋いだ後に、彼らが本当に活躍できるように伴走していくところは赤字であるということ。人材紹介業は、入職時にキャッシュポイントがある。でも、就職して終わりじゃない。祖国の情勢が悪化すると彼らも気持ちが沈んだり、家がなくなったりと、生活環境も、家族の問題も、日本で暮らしていく上で色々な障壁がある。一人の友人として、その先もずっと彼らに関わっていく。事業としては、その後のフォローは動くほど赤字になるのが実態。どう持続可能なかたちにしていくか。(渡辺さん)

●どういう想いで今の仕事をしているのか?

難民の課題に出会い、日本で難民の人が活躍できるようにしたい!と思っていたら、それを体現しているようなWELgeeがあった。学生時代にインターンとして関わりはじめたが、その頃は、今よりもっと事業収入やリソースがない中で活動していて、共同生活している寮で倒れるように寝ているスタッフを見てきた。すごく意義深いけど、これでは持続性がないなと感じた。だから、社員として参画するときに、バックオフィスがやりたいと志願。難民を支援することと、その取り組みを持続可能にしていく組織基盤づくり、両方に対してモチベーションがある。(渡辺さん)

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人生何回やりなおせたっていいじゃんと思っていて、そこに寄り添いたい。いろんなことに挑戦してみたけど、最終的に、今の組織で難民の問題に向き合っているのは、ベルギーの難民支援センターで、同い年の青年とした約束があったから。出会って間もない外国人である自分に、爆撃を受けた話などを詳しく話してくれた。話の最後に「なぜこれを話したかというと、君が日本に返った時に難民のために活動してくれると信じているからだ。」と伝えてくれ、想いを託されたような感覚があった。彼に応えたいと、向き合いたいという想いが根底にある。(藤井さん)

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東京の山奥出身で、ホームレスという存在が身近にいなかった。立川に出て行った時に、路上で寝ている人を初めて見た。自分は、地元で働き、田舎にとって「普通」の将来を想像していたけれど、「なぜ道で寝てる人がいて何もしないんだろう」ということがすごく気になった。何もできない自分がもどかしくて、知ってしまったら何かしたいと思った。調べていくと、日本は社会保障制度が充実していて、適切なタイミングで適切な支援に繋がれば生きていけそうだ、ということが分かってきた。では、なぜ繋がれないのか。ちゃんと繋がれれば生きていけるのに、機会を活かせていないのはもったいない。ちゃんと繋がることができる仕組み、枠組みができれば良いんじゃないかと、高校のころからずっと模索してきた中で、今の自分がある。(市川さん)

●すごく興味はあるけど、自分の生活も大事。収入やハードさが不安。

事業として成り立たせて、だれも無理なく回せたらと思っている。自分は、ボランティアもたくさんしてきたけど、その人に余裕があるときにしかできないものは、サステナブルじゃないなと思った。本来、すごく重要な役割。エッセンシャルでいたい。だからこそ、事業としてやることにこだわっている。いきなり飛び込むのは怖いなと思う時は、副業やプロボノから始めてみるのもおすすめ。ただし、そこにはスキルが必要になる。部分的に関わって、効率的に貢献してもらうには、専門性や能力が必要なので、その部分は注意が必要。キラキラしたプレゼンはしたけど、中はかなり泥臭い。現場を見てから踏み出すのを決めるのもいい。とはいえ、部分的に関わるよりも、えいやって飛び込む方が楽しい!そこは悩ましいな…(市川さん)

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自分が幸せなのって大事。私は、温泉が大好きなので、毎月、絶対温泉旅行にいくと決めている。それくらいはできる状況ではある。あとは、働き方の柔軟性は結構ある。残業もほとんどなく、あっても夜7時にはオフィスに誰もいない。やりがいもあるし、「誰と働くか」ということもあると思う。何を大切にしたいかによるかも。(藤井さん)

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人生のフェーズが変わると、優先順位が変わる。そこに理解があるメンバーは多い。そういう意味ではむしろ働きやすい環境だと思う。キャリアコーディネーターは、実は全員がパートさん。そんな風に始めやすいところから始めるのも選択肢としてありそう。自分はコロナの時期に入社をしたので、すぐに休業に陥った。その間は、他でバイトしながらやっていた時期もある。今は、本業だけで生活をしているが、自分の給料を上げるのも自分だという感覚はある。(渡辺さん)

●求人において、価値観とスキルをどちらを重視してる?

パート・アルバイトさんは想い重視。社員は、専門的なスキルはいらないが、ビジネス経験や数字に強い人であってほしい。(市川さん)

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想いや、志、うちで働くことにワクワクしてくれるか。泥臭い仕事なので、一緒に粘れるかは大事。(藤井さん)

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難民の知識とかは後からでもついてくる。大事なのは人と接し方や関係づくり。キラキラ見えるかもしれないけど、ここなら何かできるかも!じゃなくて、この組織に入ってやりたいことがあるという人がいい。自分の軸がある人がいい。(渡辺さん)

●色んな関わり方や支援がある中で、今の立場や関わり方へのこだわりを聞きたい。

正解はない。課題をどう解決したいかと、自分がやりたいことの掛け合わせ。何でもいいと思う。私は、質も大事だけど、量も大事。直接自分が雇用するモデルでは、インパクトが出しにくいと思った。多くの人にリーチしたいので、雇用先につなぐモデルを選んだ。(市川さん)

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私は顔が見えて、目の前の人を支援したい。だから敢えて距離の近さを大事にしている。(藤井さん)

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1社目をNPOにしたのは、多様な人やステークホルダーと関われる良さがある。(渡辺さん)


(参考情報)それぞれの事業内容の比較

違いがわかりやすいように、同一のフォーマットで事業や向き合う社会課題を表現していただきました。


■各団体の求人情報

Relight株式会社
ピープルポート株式会社
NPO法人WELgee

■各団体のプレゼンテーション動画
Relight株式会社
ピープルポート株式会社
NPO法人WELgee

「クロストークライブ」は、月2回開催しています。今後の予定は、DRIVEキャリアの特設ページ、または、NPO法人ETIC.のホームページからご確認ください。皆さんのご参加お待ちしております。


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