![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/172084897/rectangle_large_type_2_896e8ab4e5d1b673671deb2b551212fa.png?width=1200)
【ネタバレ】劇場版ジークアクス考察。アレの正体RTAと情報理論
ネタバレ注意
前回の記事と同様にネタバレ全開なので注意です。
未視聴勢には、騙されたと思って劇場に行ってくれ!!
記事画像は適当です。
前回ジークアクス視聴初見時の脳を焼かれた独立傭兵の叫びを記事にしました。
で、今回はその続きです。ジークアクス2周目を観てきたので、それの考察的なものになります。あ、もちろん2週目の特典も手に入れてきましたよ!
![](https://assets.st-note.com/img/1737886359-YC3TUyjG2tOia9cJvoNhpguk.png?width=1200)
で、やはり初見の際よりも多くの情報が得られました。
今回の記事はそれを元にちょっとした考察をしてみたいと思います。
キーワードは情報理論そしてRTAです。でも1/2の確率で間違ってるかも……!!
間違えてても面白ければいいよねという感じで🙇♂️
「シャノンの薔薇」
記事画像は適当だと言ったな……あれは嘘だ。
この話をするためにバラの画像にしましたよ。
シャロンの薔薇、ないしはシャノンの薔薇。
私はシャノンの薔薇と聞き取ったのですが、たしか3回くらいしか劇中で呼ばれないので聞き取りづらくて🫠
とりあえず……オレは、シャノンの薔薇で行く。
今回の考察記事はシャノンの薔薇という名称を前提としているので、シャロンの薔薇が正式名称だった場合にはプギャーな文章になります。
そういうわけで1/2の確率で間違ってる考察という、今だからしか書けないような未確定な与太話記事ということで……!
まぁ、でも、もしかしたら両方にかけたネーミングかもしれないし(予防線
トミノメモとの関係(まえがき)
こんなnoteよりもっと有名な方がシャノン読み派なのでご紹介。note株式会社のCXOである深津貴之さんのこちらの記事です。$${\footnotesize{note使いやすいですありがとうございます。}}$$
「シャノンの薔薇」は、映画前半のクライマックス、ソロモン落としで出てきたキーワード。
シャアがニューガンダム的な発光消滅RTAをしたとき、同時に「グラナダ基地の地下で消失した」とされる何かだ。
劇中では一切の説明がない謎ワード「シャノンの薔薇」だが…実はかなりマイナーなガンダムネタの中に、「シャノンの薔薇」の正体を暗示する資料がある。
それはガンダム世界の死海文書こと「トミノメモ」だ。
「νガンダム的な発光消滅RTA」という表現が秀逸な深津さんの記事ですが、トミノメモについて言及する慧眼にも目を向けざるを得ません。
トミノメモとは、「ガンダムが打ち切りの憂き目に遭わなかったとき、本来展開される予定であったとされる構想メモ」のようなものです。詳細については以下を参照してほしいのですが……
実は初代ガンダムは打ち切り作品だったのだという事実は一部にとっては非常に有名ですが、知らない人にはかなりの衝撃でしょうか。
それはさておき、この事実を踏まえると富野由悠季監督の手による「機動戦士ガンダム」には、3種類の展開(厳密には4種類)が構想されていたということになります。
機動戦士ガンダム(TV版:1~43話)
機動戦士ガンダム(劇場版3部作。TV版を踏襲)
トミノメモ(本来の37~52話)
機動戦士ガンダム(小説版。まったくの別物。主人公が戦死)
いずれの作品でも描きたいメッセージはきちんと描ききっているという手腕には絶賛しかない部分なのですが、一方で「それぞれの作品でしか描かれていない要素」があるというのも事実です。
前回の私の記事では、TV版でホワイトベースと呼ばれていた強襲揚陸艦がペガサスと呼ばれているという点で小説版の影響を指摘したりなどしました。
そして深津さんは月の地下というキーワードからトミノメモとの関連性を指摘しています。もちろんこれはシャノンの薔薇のことです。
同様に、本作がトミノメモを意識していると目される点は他にも複数指摘できます。
最大のものはシャリア・ブルの搭乗モビルアーマーがキケロガへと変更されており、原作のブラウ・ブロではない点です。
実はこのキケロガというのはトミノメモにおいてシャアが乗るモビルスーツに冠されていた名称なのです。
後にGジェネなどに参戦する際に、別途デザインも起こされているそうです。しかしあくまでMSという設定を踏襲しており、MAである本作の外見とは似ても似つきません……
ただ、有線サイコミュを搭載しているという共通点はあるようです。
そういうわけでトミノメモにあったキケロガが登場する一方で、トミノメモではシャリア・ブルはTV版同様に戦死しています(この際の登場機はゲルググ)。
一方で、小説版ではシャリア・ブルはシャアの右腕として大きく活躍します。こちらでは搭乗するのはブラウ・ブロです。
キケロガに乗ってシャアの右腕として活躍するシャリア・ブルという本作の状況は、トミノメモと小説版の両方を重ねたようなものとなっているわけですね。
……と、ここまで書いてやっと思い出しました。
beginningで休戦協定が結ばれたのが宇宙世紀0080年1月3日(TV版設定の1月1日ではない)のがずっと気になってたんですが、これトミノメモ版の和平交渉の日付なんですよね。まずそこで気づくべきだった……🤔
ともかく、深津さんの推測を鋭いと私が思ったのはそのあたりにあります。
情報理論との関係(本編)
トミノメモを踏襲している可能性のあるシャノンの薔薇なのですが、なぜ「シャノンの薔薇」という名称なのかというのは非常に気になるところです。
(シャロンの薔薇の可能性もあるんですけども)
これについては、実は記事タイトルにもある情報理論の観点で一つ興味深い候補が挙げられます。話は情報理論の父と呼ばれるクロード・シャノンという人物に遡ります。
情報理論の父
はい、ある意味ではもうこれで本題終わっちゃうんですけどね。
もちろん、ちゃんと解説してまいりますよ、えぇ。
まずはWikipediaの引用からどうぞ。
クロード・エルウッド・シャノン(Claude Elwood Shannon, 1916年4月30日 - 2001年2月24日)はアメリカ合衆国の電気工学者、数学者。
情報理論の考案者であり、「情報理論の父」と呼ばれた。情報、通信、暗号、データ圧縮、符号化など今日の情報社会に必須の分野の先駆的研究を残した。アラン・チューリングやジョン・フォン・ノイマンらとともに今日のコンピュータ技術の基礎を作り上げた人物として、しばしば挙げられる[※ 1]。
20世紀科学史における、最も影響を与えた科学者の一人である。
彼、クロード・シャノンは情報理論の父と呼ばれていますが、現在のコンピュータの基礎を作り上げた、というかデジタル電子回路と呼ばれる今日動いている大半の電子機器の理論を生み出したうちの一人とされています。
デジタル電子回路というのは……うーん、きちんとした説明をすると大変なので大雑把に言うと、ハッキリとした数値として現象を扱えるようになった新時代の電子回路です。
アナログ時計とデジタル時計を思い出していただくと分かる通り、アナログは「だいたいこれくらい」しか扱えない一方で、デジタルは「カッチリこの数字」というのだけを扱います。
![](https://assets.st-note.com/img/1737892405-uGz3Ao2CqNXJTFWxwyDYHlLM.png)
![](https://assets.st-note.com/img/1737892409-hKnV2ji76UgDTMmN1tFL5SPW.png)
カッチリ扱えるということは、100円と200円を足せばちゃんと300円になるということです。こういう処理をできるもの(の一種)をデジタルコンピューターなんて呼んだりもします。
コンピューターが数字をカッチリ扱えるのは、中で数字をビット(bit)という単位で管理しているからです。
少しゲーム機に詳しい人は、ファミコンを8bit機と呼んだり、ニンテンドー64は64bit機だと知っていたりしますね。
そう……ビットなんですよ。
「シャノン」と「ビット」
![](https://assets.st-note.com/img/1737893506-8ck9AV1WvQBNaHlEtpo2hCwO.png?width=1200)
画像は「プレミアムバンダイ SDガンダム No.57 NT専用モビルアーマー」より
ジークアクス作中では赤いガンダムに搭載されていたビット兵器。
偶然の一致かもしれませんが、奇妙な符合を感じます。
現実世界における……デジタルにおけるビットという言葉は、binary digitを略したbitであり、ジョン・テューキーという人が生み出したものです。しかし、それを今日知られる情報量の単位として初めて利用して論文に起こしたのはシャノンその人です。1948年のことでした。
シャノンはこの逸話以外にも、この分野であまりにも大きな功績を残しました。その功績から「シャノンという単位」として科学史に刻まれています。蒸気機関で有名な「ジェームズ・ワット」の名前が「ワット(W)」という単位になったような扱いですね。
で、単位「シャノン(Sh)」が何を意味するかというと、情報量やエントロピーを表すものとされています。
ここでいう情報量というのは、記事タイトルにもある情報理論的な意味での「情報量」です。オタクがいう「情報量が多すぎる~~~!!!!」とはちょっと違う意味かもしれません。
あと、データ量とも「だいたい同じ」ですが非なる概念です。
何いってんだコイツ……まるで意味がわからんぞ!
いえ、ちゃんとご説明を申し上げますゆえ……!
「情報量」とは?
情報量(じょうほうりょう)やエントロピー(英: entropy)は、情報理論の概念で、あるできごと(事象)が起きた際、それがどれほど起こりにくいかを表す尺度である。
「それがどれほど起こりにくいかを表す尺度」ですって。
……うーん、正直なに言ってるんだか。たとえ話で考えてみましょう。
![](https://assets.st-note.com/img/1738107194-TLrqezB4wRbn7t9CuIS1ApNo.png)
そこらの中古屋で古いアナログテレビを買ってきました。電源をいれると「ザー」と音がする砂嵐ノイズの状態が表示されました。
これは情報が全然ない状態です。アナログ電波はもう停波していて情報がないのでこの状態になってしまうのですね。
ザーという画面を眺めつつ音を聞いていたら、ノイズにちょっとした揺らぎが起きて、一瞬「ザッ」みたいに音の強弱が生じたとします。
これは別に、アナログ放送が再開したとかいうわけではありません。ただ、近所で雷が発生して電波に影響した可能性があります。
よく登山へ行く方なら、AMラジオを雷探知に持参するなんて話も聞いたことがありますよね。
この一瞬の「ザッ」という変化は、近くに雷が発生したかもしれないという判断に使えるひとつの情報になります。
やがて近所の雷が増えたのか、なんか急にノイズの発生が元気になりました。ザッという音の強弱がリズムを刻み始め、ザッザッザッザッザザ!と音を奏でました。
は! か! た! の! しお!
いやそんなこと起こるわけねぇだろ
……という、それこそが「それがどれほど起こりにくいかを表す尺度」としての情報量の概念です。
シャノンという単位は、この情報量=どれほど起こりにくいか、を示しています。具体的に、1シャノンは「起こる確率が1/2の出来事が持っている情報量」を指します。
![](https://assets.st-note.com/img/1738135595-PEoMt5aJbAdIKR2n4y6uZ1C7.png)
イカサマしてないコインを投げて、表が出るか裏が出るかの情報量が1シャノンです。言い換えると、表と裏、YesとNo、真と偽、ONとOFF、0と1……という「どちらか」を表せる量が1シャノンなのです。
ちょっとコンピューターに詳しい人なら、もう気づいたかもしれません。
実はビットとシャノンは情報量として同じ単位を表しています。
情報量の意味では1ビット=1シャノンなのです。
ただし、1シャノン(情報量)ぶんの情報は、1ビット(データ容量)のあるストレージに格納できます。それならもうビットでよくね?という感じで歴史的経緯もあってビットという単語が使用されているため、シャノンという単位を見ることはちょっとありません。
ISO(国際標準)でも、情報量として使うならシャノンを使えと書いてあるのですが浸透してない模様です……私も知らなかったよぉ
あと「エントロピー」とは?
シャノンは「情報量とエントロピーの単位」なのでした。
次はエントロピーとはなんなのか見てみましょう。
エントロピーとは、乱雑さ(ごちゃつき具合)のことです。
エントロピーの単位とは、数値が低ければ低いほど整然としていて、高ければ高いほど散らばっている状態であることを示しています。
たとえば整理された部屋はエントロピーが低い状態で、散らかりきった部屋はエントロピーが高いと言えます。
そして、このエントロピーには、勝手に減少することはけしてないという性質があります(エントロピー増大の法則)。
![](https://assets.st-note.com/img/1738136161-MeLyuw5XsPB0oYAvcZlVNg2p.png)
要するに、本棚から落ちた本が、勝手に本棚に戻ることはないのです。
一度雑然としたものが、勝手にきれいに整うことはありえません。
整える(エントロピーを下げる)には、外部からの働きかけ(掃除や片付け)が必要になるわけです。
……で、これは宇宙を支配する法則なので、なにも部屋の散らかり具合だけを表現するものではありません。
![](https://assets.st-note.com/img/1738137733-w7eqiKNcSGptoymTuzHI160k.png)
コーヒーに角砂糖が溶けるのも、エントロピーが増大するからです。砂糖はコーヒーの中に雑然と溶け込んで、元の整然とした角砂糖には戻ってくれません。
また、温かいコーヒーが冷めてしまうのもエントロピーの増大です。コーヒーカップのあたりに集中していた熱エネルギーが、部屋の中へとまばらに散らばってしまうわけです。
もし仮に散らばってしまった熱を集めてくれる妖精さんが居たなら、コーヒーは冷めません。それどころか、部屋中の熱エネルギーをコーヒーカップに集めてカップは無限に熱くなるし部屋は絶対零度まで涼しくなるはずです。
ですが、そんなことは不可能……
……不可能なはずなのに、できてしまいそうな仕組みを考えた人がいました。マクスウェルの悪魔と呼ばれたその仕組みは、もしできちゃったら簡単に永久機関が作れるじゃん?という発想でした。
いや、そのりくつはおかしい……でもなにがおかしいのかわからない……
そうして、かのシュレーディンガーの猫よろしく物理学者たちの頭を悩ませること、100年以上。
長くなりますので、ここでは結論だけざっくり言いますと……
マクスウェルの悪魔は実在する。
ただし、悪魔を続けて働かせるには情報を燃料として与える必要がある。
「意味のある」情報を「意味のない」情報へと「燃やす」ことで
情報から熱エネルギーを得られる
つまり
情報はエネルギーへと変換できる
シャノンという単位は情報量の単位でもあるしエントロピーの単位でもあるというのは、こういうことです。
情報量がわかれば、それがどれくらいのエネルギーに変換できるかというエントロピーも計算でわかってしまうからです。
こうした考え方は情報熱力学と呼ばれ、こういう悪魔を実際に作ることで本当に情報が熱エネルギーに変換できることも実験的に確かめられています。
……と、ここまではエントロピーと情報量の関係についての前置きです。
だって、ここまではガンダムに関係ない話ですものね。
エントロピーと熱的死
じつはこのエントロピーというお話、ガンダムにガッツリと関わったことがあります。それも宇宙世紀作品で。
ガンダムUCという作品では、ラスボス「フル・フロンタル」が主人公バナージの心を折るために「刻の終わりを見る」という体験をさせています。
これは、なんかニュータイプ的な力をもって「どれだけ頑張っても宇宙は最終的にこうなるんだよ」という未来の果てを見せるというものでした。
「こうなるんだよ」というのは、エントロピーが増大し尽くして宇宙が熱的死を迎えた状態のことです。
そこではすべてが乱雑に発散しきっていて、もはや何の活動も起こらない。いくら争っても人間は進歩せず、だから最後はこんな冷え切った世界に……って、そんな何億年だか先のことを人間に責任問われても困る。
結果的にバナージ君が「それでも!」となって説得に失敗しフロンタルさん敗退となる(そらそうよ)のですが、気になるのはちょっぴりエントロピーの話がニュータイプに関わっていることです。
ガンダムUCという作品は富野監督の手によるものではないのですが、その前提にあるのは富野監督が手掛けられた初代ガンダムから逆襲のシャアでニュータイプが引き起こした様々な事象です。
ニュータイプであるバナージを圧倒するために、熱的死の世界を見せるフル・フロンタルと、それを精神力で討ち破るバナージ。
この描写は、エントロピーが発散し尽くし冷え切った熱的死の世界に、バナージが熱をもたらしたようにも見えます。
それはつまり、増大しきったエントロピーを何かで下げようとする動き。
何かって? それはおそらく人としての意志の力。
精神力も、ある種の情報と呼べるのではないでしょうか?
人の意志や精神、脳波というものも、情報だと言えないでしょうか?
ジークアクスで起こったゼクノヴァという現象を含め、サイコミュ(や後のサイコフレーム)は、人の意志によってとんでもない現象を多々起こしています。
それらを「なんかそういうもの」と受け取るのでも十分だと思います。
ですが、もしかしたら……と考えてみるのが、おそらく考察という活動です。
考察の内容が正解か否かは別として、考えることで作品に対する愛着を深めるための遊びが考察だと私は思っています。
人の意志が奇跡を起こすだけのエネルギーとなった、というのは作中の描写からも間違いないとして。
その裏付けとして、情報量とエントロピーの関係があったのではないだろうか、という説を唱えてみるわけです。
そしてそこには、シャノンという単語も地味に関わっています。
「起こりにくい」ということ
ここで先ほどの情報量という言葉を振り返りますと、
情報量(じょうほうりょう)やエントロピー(英: entropy)は、情報理論の概念で、あるできごと(事象)が起きた際、それがどれほど起こりにくいかを表す尺度である。
「それがどれほど起こりにくいか」を表す尺度とのことでした。
あなたの使っているスマホのストレージの空き領域には、何も入っていないわけではなく意味がない何かが入っています。
ストレージにデータを保存するというのは、意味がない何かを写真やソシャゲのデータに書き換えるような話であって、ノイズを音楽に書き換えるようなものであって、普通に過ごしていたらまず起こらない変化をメモリという物理的な物体に与えていることに他なりません。
その「まず起こらないことを起こしている分量」こそが情報量と呼ばれるものの正体なのです。 ※大まかな説明
つまり情報量の単位であるシャノンという単位は、自然には起こらないことを引き起こしている量を示す単位なのです。
そう考えると、シャノンの薔薇という言葉にも、自然には起こらないことを引き起こす何かがあるのではないか(そのためのネーミングではないか)と考えられたりしないでしょうか?
「シャノンの薔薇」の正体?
未来とは可能性か、あるいは必然性か
ようやく本格的にガンダムの話に戻ります。
本作を見ていて誰でも嫌でも頭をよぎるのは、「もし~だったら」というifの展開であり、別の可能性というものです。
もしもあの改札の前で 立ち止まらず歩いていれば
君の顔も知らずのまま 幸せに生きていただろうか
そもそもガンダム(シリーズ)はスーパーロボットの系譜ではないので、おじいちゃんが残してくれたロボットに乗る宿命を負っているだとか、母親の魂が宿った人造人間に乗ることを強いられているだとか、そのような状況に流されてこうなるべくしてなったという物語はほとんどありません。
何かしらの偶然による邂逅を物語の発端として描いています。ですが、物語を司る神の視点でいえば、これは偶然ではなく必然です。
本作ジークアクスも、もしあのときジーンのザクが故障していたら、もしシャアに閃きが訪れていたら……という偶然が重なった結果の物語です。しかしその偶然は神(制作者)の意図という意味では「必然」です。
メタ的な観点でいえば、作中の登場人物は例外なく知らぬ間に必然の糸に絡め取られているわけですね。
ただ、本作においては、自然な状態だったらこうであっただろうというモデルケースがすでに存在します。原作のTV版機動戦士ガンダムです。
視聴したガンダムオタクたちが口々にこんなことが許されていいのかと叫ぶのも、自然な状態だったらこうならなかったはずだからです。
ジークアクスの面白い所 pic.twitter.com/YqxyHaUJVn
— しばジェアン (@wasp_house) January 23, 2025
つまり本作の現在の状態は、単なる必然の糸だけではなく自然には起こらないことが引き起こされているわけです。
しかしそれは一体、誰によって? もちろん、最終的には神の意図だとして……
メタ的な観点ではなく、作中の枠組みにおいて、アレを誰かが人為的に引き起こしているという可能性はないのでしょうか?
アレというのは、たとえばシャアに与えられた閃き……うまく表現できませんが、ニュータイプを導くかのように訪れるアレです。
シャノンの薔薇とは、自然にはあり得ない可能性の出来事を無理やり手繰り寄せるデバイスなのではないでしょうか?
かなり突飛な説だとは自覚しています。
しかしながら、ゼクノヴァは相当にあり得ないことをやっています。
あれは暴走による結果あまりに露骨な結果が出ただけであって、本来はもっと少しずつ、ボタンを掛け違うようにあり得ない結果へと誘導する何かだと考えられないでしょうか?
その掛け違いが、シャアにガンダムを奪い取らせるというあの決定的なひらめきの場面へと至らせたのではないでしょうか?
再考:ニュータイプ能力
まず大前提として、ここではガンダムシリーズの作中で見られるエスパーじみた能力をその描写から考えることだけを主眼に置きます。富野監督の発言からも垣間見られる「ニュータイプの本質」についてはここでは議論対象としません。
「ニュータイプとは、戦争なんぞせんで済む人類のことだ。 超能力者達のことではない」というのが「本来論じられるべきニュータイプの本質」を言い表した象徴的なセリフであることは付記しておきます。
シャアは刻が見えると言いました。これは原作にもあったセリフであり、それに連なる宇宙世紀ガンダムシリーズでも幾度となく向き合われてきた表現です。先ほどのUCの件もそうでした。
ガンダムシリーズにおいて(狭義の)ニュータイプは未来を予知する力を持つとされており、戦闘においては敵の動きを先読みして超精密な偏差射撃や神憑り的な回避を行うとされています。
つまり、短期的な未来の予知によって危険な事象を回避し、また有利な事象を選択できるからこそ、ニュータイプは「戦争の道具として」非常に優秀なのです……
……と、そう言い切りたいところなのですが。
ここには、まだ別の解釈の余地があります。
未来の予知なのではなく、「自分の思った形に未来を確定させている」という可能性が排除できないのです。
「きっとこう避ければ当たらないな」と思ったなら実際に回避できる未来へ到達してしまうし、「きっとこの辺を撃てば当たるな」と思ったなら実際に命中する未来へと到達してしまう。
なにせ本人も周囲の他人も、本来あるべきだった未来を知るわけではないので、未来を予知したのだとしても、予知のとおりに未来を変えたのだとしても、結果的にその違いを把握することはできません。
実はこのことは、ジョジョの奇妙な冒険に登場するボインゴのスタンド能力でよく話題になります。
予言が100%当たると豪語する彼の能力ですが、実は辻褄が合うように未来の方を変えている(運命を強制している)という可能性が指摘されています。
また本作ジークアクスでも、作中の登場人物たちは本来の未来を知るわけではないので、ジオンが勝利したというこの世界線の結果を何ら疑問に思ったりはしません。
本来の結果と違う、と騒げるのは本来の結果を知っている我々だけなのであって、作中の彼らはそれが「もたらされた」ものであったとしても気づくことはないのです。
もしも、そうだとしたら。
シャノンの薔薇とは、ニュータイプ能力を極端に強化することで無理やり未来を捻じ曲げるシステムだと考えることが出来ないでしょうか。
ニュータイプが持つ未来を選び取る能力を強化することで、無理やり望む結果を引き出すという意味です。
本作はシン系作品のフォーマットをもって、初代ガンダムの再解釈という要素もまた含んでいます。
実はニュータイプ能力とは人の意志の力によって未来を望んだ形に強制的に書き換える能力なのだと再定義することは、本作におけるソロモンの落下阻止もそうですし、人の心の光によって地球へと落下していくアクシズを地球から引き離したという奇跡にもまったく矛盾するものではありません。
それに何より、偶然の邂逅から自分の意志で掴み取るというガンダムシリーズのテーマとピッタリ来てる気がするんですよね(個人の感想です
……まぁ、そのおかげでシャアは未来を掴み取るどころじゃない話になってしまった可能性があるわけですが……
シャア発光消失RTA
ガンダムジークアクス、シャア発光消失%のRTA、はーじまーるよー!
はい、よーいスタート。
今回のレギュレーションではオープニングカットが認められていますので、計測開始地点は一年戦争の開戦から8ヶ月が経過したところからです。
ただし開始前にオプションを開いて、特殊デバイスの使用を許可しています。本RTAの目玉であるシャノンの薔薇の利用ですね。
このシャノンの薔薇ですが、一年戦争中の乱数をなんかいい感じにいじってくれるデバイスです。有識者おじさんの解析によると、利用ONにしてプレイ開始すると、0079年6月のフラナガン機関設立フラグが立つと同時に乱数調整を始めてくれます。
ですが、この乱数によって変化するのはニュータイプの行動に関連するものだけで、実際にどういう変化が起こるかはわかりません。まぁトータルで見るといい感じに調整してくれるんで、初心者向けのレギュだと言えますね。
はい、説明してる間にオープニングが終わりましたので実際にプレイしていきます。言い忘れたんですが、今回は陣営でジオンを……おっ、これはいいですねぇ! ジーンのザクが故障してます。これは良いパターンだ。
オープニングカットされてるんでわかんないんですが、たぶん前の戦場でシャアが出てないですねこれ。ジーンが死んでると余計な演出が増えるんで、これ良いパターンです。
それでぇ……おっ、来ましたねシャアザク、これは調整成功パターンです。シャアが前線に来たので、これからお祈りタイムです。サイド7に潜入して……ここ今回は音を出すようにしてあるんですけど、成功すると独特な効果音がなるんですよ。
ぼちぼちフレクサトーンでニュータイプの音を出す練習してます
— こ〜〜りんッッ!! (@DajareKoorin) September 18, 2022
ちょっと近づいて来たんじゃない…?🤔 pic.twitter.com/nfTnXxG5XM
あーっ、来ました! シャアの襲撃行動引きました。これはいい!
えーと、説明しますと、ニュータイプの行動ターンにキロリロリーン!という効果音が鳴ったら調整が成功してます。あとは額の前に✨️みたいな光が見えたときは乱数が一気に2つ進むんで、成功率が上がるやつですね。
で、今回何がいいかっていうと、ジーンのザクが故障してるんですよ。ここはデニムのザクが故障しててもシャアは潜入できるんですけど、ジーンは民間人に被害を出すんであの天パの義憤フラグを立ててガンダムの奪取に失敗しやすくなるんですよね。
で、これは……たぶん次の行動も、ここは決まるかな……よし、最高の展開来ました! 5倍以上のエネルギーゲイン!
ガンダムの奪取に成功です。そうするとここは増援でキャノンが来ますけれど、性能差があるんで負けることはないですね。唯一気をつけるのは、デニムの行動はニュータイプじゃないから操作できないんですね。
今回のレギュでは、基本的にニュータイプの行動を操作してジオンの勝利を目指していきます。
(中略)
ワッケインの行動は……あーこれ、このパターンは想定してなかったなぁ。ソロモンをグラナダに落として痛み分けを狙ってきてますね。
んー、ですが、今回はマ・クベの嫉妬ポイントが高いんでシャアの艦隊だけグラナダに待機してたんですよね。
どうしようかな……これシャノンの薔薇がグラナダの地下にあるんで、破壊されると困るんですよね。
よし、ここでオリチャー発動! シャアの部隊でソロモンを割ります! ペガサスが強襲揚陸艦で助かった!
それからなんやかんやあって、爆破ポイントにも無事到達! ヨシ!
じゃあ俺、あとはザク爆破して帰るから……
……は? シャアちょっとお前なにやって……あーあーあーあー!
今回のシャア、ガルマルート通ってないし改心フラグも立ってないから裏切るやつじゃん!
い、いや、まだ、シャアの行動時の乱数調整があるから……って、効果音鳴ってないじゃん!
ふーざーけーるーなー!
やべぇよやべぇよ……これもう詰んだ……
!?
なんだコイツ、こんなとこに連邦の軽キャノンいるじゃん!
こいつに操作ターゲット移せばシャアを襲撃して止めてくれるんじゃね?
……おっ行けた。やっぱニュータイプなんすねぇ
よーし、じゃあ赤いやつぶっ壊しちゃって!
グラナダがかかってるんだからさ!
ファッ?!
えっ、なにこの……なに……?
あ、アルテイシア? 知らなかったそんなの……
……シャア埋まっちゃった。
え? これもしかしてザク爆発しないからダメなヤツでは?
いやいやいや、ちょ、ペガサス……あーニュータイプ誰も居ねぇ!
そうだ、シャリア・ブル先生! ちょっとだけでもお話を……あぁ呆然として行動不能になってる!!
あーもうこれ……あとはもうシャアの行動ターンを連続スキップしてなんとか判定増やして乱数で奇跡引くしか……
!?
あ、アルファ型サイコミュ?!
あっ、もしかしてお祈り通じたやつ??
よっしゃあーーーーー勝ったああーーーーー!!
やっぱり走者たるもの日頃の行いと祈祷力が……あれデバイスが光っ――
シャノンの薔薇が「そう」だったとすると
完走した感想ですが……
えぇと、上記のような解釈は自分で言うのもなんですがトンデモです。
しかしこの観点に立つと、作中に散りばめられたモチーフが意味を持つものとして立ち上がってきます。
「シャノンの薔薇」が「私の思うようなもの」だった場合に、それぞれのモチーフがどう解釈できるのか、みてみましょう。
星条旗はまだ月面にある?
シャアがニュータイプのようだと告げるフラナガンとの会談シーン。アメリカ合衆国の宇宙船などが展示されていたのは、作品を視聴していて奇妙に印象に残ったシーンなのではないでしょうか。
TV版でもヒトラーを旧世紀の人物とギレンが言及するなどのシーンはあるのですが、ここまで露骨に宇宙世紀は西暦の延長である(我々が過ごしているこの世界の未来である)と表現するシーンは原作にはあまりありませんでした。
月面基地であるグラナダに、人類で最初に月面に到達したアメリカの遺産を置くのは言うほど奇妙な話でもありません。しかし作劇的に必要な描写だったのかという点では少々気になります。
そもそもフラナガン博士との会話を博物館みたいなとこでやる必要あった?という話になるわけで。
もしこれがアメリカ合衆国出身のクロード・シャノンがこの世界に存在したことを示す意図であったなら、こうした演出に意図を見出すことが出来ます。まぁ後編の鳥居と対比させる意味なだけかもしれないけど。
神社の鳥居
マチュとニャアンがキマシタワー邂逅する印象的なシーンはビルの上の神社(または御社?)において行われました。鳥居がありましたね。鳥居とは、神域と俗世を隔てる結界であり門です。
そして本来、神社の護りとして鳥居とセットで思い起こされるべきモノがあります。そう、狛犬です。コマ犬。
狛犬というのは2体1対で、多くは神社の入口などに鎮座しています。なぜ2体1対かというと、あうんの関係であるからです。阿吽とは、始まりの音「阿」から終わりの音「吽」までを指すものであって、つまり宇宙全体を指します。
神域を宇宙と見て、その始まりから終わりまでを円として繋ぐことで結界としているという説もあります。
また、阿吽の呼吸というのは非常に息がぴったり合っているという意味にもなっていますよね。
この阿吽という概念は、古代インドのサンスクリット語がシルクロードを辿って日本にやってきたものだと言われています。一方で、これと似た概念は西洋にも存在しました。
いわゆるΑΩというのがそれで、新約聖書に由来しています。ヤハウェの言葉としての「私はアルファであり、オメガである」という言葉がそれです。現代英語のアルファベットではA-Zとも表現される通り、始まりから終わりまで、つまり全てであり永遠であるという意味です。
ウロボロスと呼ばれる自らの尾を噛む蛇の姿は、始まりと終わりを接続し永遠や不変、完全などの象徴として、各文明に類似の意匠が伝えられています。
……ところで。
赤いガンダムにはアルファ型サイコミュが搭載されていました。
それに対抗できるとされるジークアクス……シャリア・ブルさんのいうところのガンダムクァクスには、オメガサイコミュが搭載されていました。
「赤いガンダムには、同じ力を持ったクァクスでなければ対抗できない」みたいなことをイケボで仰っていましたが……
結果として、赤いガンダムとジークアクスはポメラニアンズ(犬)でマヴになりました。
ここまで来ると偶然の取り合わせではないでしょう。
ただし、「それが何を意味するのか」は現状わかりません。
「神域」を守護していると考えるのが自然といえば自然かも、ですが……
ひとつの考え方として、宇宙の始まりから終わりまでというのは、終着点である宇宙の熱的死と強く関連しているというのはあります。
また、アルファ(阿)が開くものであり、オメガ(吽)が閉じるものであるという考え方もできます。
アルファが開いてしまった可能性をオメガが閉じるという意味で、同じ力を持ったものでなければ対抗できないという考え方もできるでしょう。
ある確定したひとつの未来を「捻じ曲げよう」と思ったとき、まずは未来を可能性により発散させ、そして発散した可能性からひとつの結果へと収束させる必要があります。
いわゆる多世界解釈……世界線は無数に存在できるという立場に立ったとき、ある時点から分岐する世界は枝のように無数に存在します。しかし、ある時点からごく近い未来に存在できる枝には限りがあります。
ある時点から歴史をやり直せるのだとしても、それには限界がある……詰みセーブという現象が起こるわけです。
真の意味で未来を書き換えようと思うのなら、そうした限られた可能性分岐という枷を取り払う必要があります。つまり可能性の発散です。
そしてその中から、望む未来を選び取る。つまり可能性を収束させるわけです。
……なんか、すごく難しく書いちゃいましたが。
$$
\begin{array}{|r l|} \hline
& 【さくせん】 \\ \hline
▶ & ガンガンいこうぜ \\ \hline
\end{array}
$$
↑こういう未来があったとき
$$
\begin{array}{|r l|} \hline
& 【さくせん】 \\ \hline
▶ & ガンガンいこうぜ \\
& バッチリがんばれ \\
& いろいろやろうぜ \\
& いのちだいじに \\ \hline
\end{array}
$$
↑こうやって選択肢を広げて
$$
\begin{array}{|r l|} \hline
& 【さくせん】 \\ \hline
& ガンガンいこうぜ \\
& バッチリがんばれ \\
▶ & いろいろやろうぜ \\
& いのちだいじに \\ \hline
\end{array}
$$
↑こうやって選択決定する必要あるよね、ってだけの話です🫠
このあたり、私のフォロワーさんならご存知かもしれませんが「ドラガリアロスト」という作品の中核に存在した概念に非常に類似しています。
ドラガリアロストのイベント「神竜降臨」を踏まえて、造物主たちの能力について考察したので資料にまとめました(1/3)
— 漂流いかだ (@KOR_jiyugiga) April 10, 2022
まずは概要とバハムートの詳細から。資料のあとの方では某キャラストの内容に触れるので少しご注意ですー
#ドラガリ #ドラガリ考察 pic.twitter.com/m5l517RNH2
世界を可能性により拡散させる存在が可能性の神であるはじまりの竜バハムートであり、世界をひとつの結果へと収束させる存在がはじまりの人ゼノスでした。
過去にツイートで資料にまとめてますので、ドラガリをご存じなくともご興味ありましたら、ぜひ。
中の人は?
ソロモンでの一件。本当にあの軽キャノンの中にいたのがアルテイシアだったのかすら、シャアの直感以外の根拠がないので実は不明です。
でもやはり、ピンポイントにシャアだけを狙ってきた軽キャノンが偶然の登場であったとは考えにくい……
注:前回の記事ではアルテイシア登場機はG-3ガンダムだと指摘したのですが、2回目を見たら軽キャノンでした。お詫びして訂正します……
なお軽キャノンはガンダムが奪取されて仕方なくガンキャノンの実戦データをフィードバックして作られた機体であり、原作における「ジム」に相当する機体だとわかります。なにせ形式番号がRGM-79なので。
また、直後にシャアが埋もれてゼクノヴァが起きたわけですが……あれがもし他の誰かの軽キャノンだったらどうだったのだろう、というのは少々気になります。
相手が実の妹(アルテイシア)でなければシャアが遅れを取らなかっただろうという話もそうなのですが、本作においてニュータイプがニュータイプと戦闘したシーンも、おそらくここしかありません。エグザべ少尉ェ……
同じ力がぶつかり合うことで別の不測の事態が発生した可能性はあるのかもしれないな、と。
インストーラーデバイスの謎
ゼクノヴァ発生時、シャアが居た空間は円形に削り取られたように消失しており、一方で赤いガンダムはどういう因果かシュウジの元にたどり着いています。
このとき、ガンダム本体以外のものがどうだったのかは状況を把握するヒントになりますね。
まず、ビット。出撃時は満載で8機装備していましたが、消失時は2機のみ随行していました。そして再登場時にも2機引き連れて戦闘を行っています(エグザベ少尉との戦闘で損壊)。
また、その2機には十分な推進剤があり、すぐ弾切れする頭部バルカンにも残弾があったことには注目です。
一方で、ニャアンからインストーラーデバイスを購入(前借り?)した後には赤いガンダムはガンダム・ハンマーを使用しています。
シャアは携行しなかったのにどこからガンダムの名のつくものを手に入れたのかと考えましたが、気づけば答えは簡単。アルテイシアの軽キャノンが振り回してましたね。連邦らしい俗っぽい武器だとか言いたそう
おそらく軽キャノンが放置したものが、赤いガンダムと一緒にどこかに「転移」したのでしょう。
周囲の抉れた岩塊やソロモンの構造材の一部も赤いガンダムと一緒に何処かへ転移した可能性が考えられます。
ところで、ガンダム・ハンマーについて。
シュウジが「昨日壊れた」と言いながらインストーラーデバイスを買うハメになったのは、エグザベ少尉との戦闘でビット(とバルカン)を失ってハンマー使うしかなくなったからという可能性が考えられます。
つまり、インストーラーデバイスにはガンダム・ハンマーの使い方が入っていた可能性が微レ存……?
カネバン有限公司ザクにインストーラーデバイスを挿した際にはジオン軍のOS?のようなコンソール画面が表示されていた描写がありました。
一方のジークアクスはついさっきまで実戦をしてた最新鋭機体なので、おそらくジオン製の武器なら問題なく扱えるでしょう(実際はトメノスケ・ヒートホークしかまだ使ってないけど)。
それに対して、ガンダム・ハンマーは先の経緯を考えると軽キャノンが振り回していた連邦製の武器だと思われます。
一年戦争からアプデがされてないのだとしたら、赤いガンダムには連邦製のハンマーを使うプログラムが入っていない……そのためにやむなくインストーラーデバイスを使った可能性があるのかな、と。
ただその場合、疑問が残るんですよね。
前日にエグザべ少尉と斬り結ぶのには普通にビーム・サーベルを使っていたし、シュウジの隠れ家でも特に問題なくビーム・サーベルは肩に2本刺さっている。それなのにニャアンから全財産を叩いてまでデバイスを買わなきゃならなかった理由がわからない……
ビーム・サーベルなんて初見のシャア(や原作アムロ)ですら「あっこれかぁ!」くらいのノリで使っていた基本武装なので、1戦交えたくらいで使えなくなるかなぁ、と。
一年戦争から数年メンテされていなくてダメになったという説もありますが、それにしてはビットの推進剤もバルカンの残弾もきちんと補充されていたので整備されている感はあります。
民間に払い下げられたザクならともかく、戦争の最前線で使われていた赤いガンダムでソフトウェア的に使えなくなるってことはないでしょうし……飛び道具が欲しかったって話なんですかね?
それか、あるいは……いや、そんなことあるかな……
最初の遭遇戦のときは、シュウジが乗っていなかったとしたら……?
ガンダムの中の人
シュウジが赤いガンダムの関係者だとわかるのは、マチュとニャアンとでキーキャラ3人が揃ったタイミング。なのでその前の宇宙での遭遇戦のときには、誰が乗ってるか不明だったわけですよね。
あの時点でシュウジが乗っていたとは言っていない。
また、オメガサイコミュが搭載されていたジークアクスとは違って、赤いガンダムはアルファ型サイコミュしか搭載していない。つまり操縦は基本的に手動のはずです。
そのうえで、背後から完全有利な状況で襲いかかったエグザべ中尉と対等以上に渡り合っている。いちおう彼、フラナガンスクールを首席で卒業して新型機を任される程度に優秀なはず……
要は、手練れすぎる。
謎めきまくってるシュウジだし実際それくらい腕前がある可能性はもちろんあるんですけれども。どこで操縦を学んだのですか?
……そんなわけで「あるとしたら」の話として。
「誰か」が勝手に乗って出かけていたとしたら?
ビットは「なにもしてないのに壊れた」し、バルカンは残弾切れになってたし、ビーム・サーベルはそんなのあるの知らないし。
そういう状態なら、ハンマー使うか……って判断はあるかもしれない。
そしてそうだとして、無断で飛び回ってるような誰かがいるとでも?
いるとして誰が? 誰だろう、とガンダムが言っている……
……まさかね?
いや、でも、宇宙世紀ガンダムの過去作を知ってると、類似の例はありはするんですよ。ガンダムNTという劇場放映もされた作品で、ニュータイプ研究所の実験で犠牲になった少女の魂?がMSに囚われて無人のまま宇宙を自分の意志で飛び回って放浪していたという実例が。
まさか、とは思いますが……
あ、もちろんそれがシャアかどうかはまた別の話です。
そういえば「バイト」だわ
ガンダムに誰かが宿っている……
言い換えるとガンダムに誰かが保存されていると考えたときに、ちょっと気になる話。
情報量とデータ量というよく似た概念があります。
1ビット(1シャノン)の情報は1ビットのデータ領域に保存できるので、ほぼ同じものという感じで扱われますが……よくストレージに保存するときの容量として言われるのは、このデータ量です。
って、ここまでは先ほど書いた気がしますね。
ところで、データ量の単位には、普通はビットは使わずにバイトを使います。
スマホの通信データ量もコレなので、「ギガが足りない!」というのはギガバイトのことだったりします。
じゃあ、ビットとバイトの関係性はなんでしょうか?
1バイトというのは8ビットを挿します。
つまり、データ量としていろいろを議論するとき、そこには必ず8ビットが見え隠れしているのです。
8、ビット……?
そういえばシャアの赤いガンダム、ビットを8機装備してましたね……?
無重力区画とはいえ、あんなに満載して大丈夫かなと心配したものでした。
考えすぎのような気もするんですけど……
情報の保存という話に微妙に関連ありそうな、なさそうな……まぁいいや、今日からお前のこと1バイトガンダムって呼ぶからな!
それで、ゼクノヴァって結局なんなの?
語源について調べてるのですが、今のところタイヤを扱っているZeknovaさんというメーカーにしか行き着いていません……この店名自体がそもそもどういう意味なのだろうわからん😭
もう全ッ然わかんないんですけど。
ただ、ニュータイプや人々の意思が集まりすぎた結果、なにかが起きたっぽい描写はあったかなぁと……すぐ下に大勢の人が住んでるグラナダありますからね。
このへんは情報が足りないので、まだ考えないほうがよいのかもしれません。
全然違うかもしれないけど
シュウジってガルマに似ているような気がする(唐突
![](https://assets.st-note.com/img/1738062829-SZDceF3z6kix4VhfPKBd2XUR.jpg?width=1200)
![](https://assets.st-note.com/img/1738062872-f3PaXLbosyNVc4FEJ8uTeW5m.png)
シャリア・ブルさんもちょっと雰囲気違うわけだし……
ザビ家兄弟の末弟であるガルマ・ザビは、ジークアクス作中では然る事情で戦線を離れたとされているので、おそらく生存はしていて。TV版準拠なら、一年戦争時点ではシャアと同じ20歳。
そしておそらく(ザビ家への復讐などを考えさえしなければ)シャアが生涯で一人だけ得た親友でもあった人物であったり。
シュウジ・イトウという名前がどことなく偽名っぽい(Gガンダムに同名のキャラが他にいる)こと、もしも仮に20歳でも偽れる範囲17歳教徒かもしれないなら、シャアに絡む人物というのも多少は……うーん……
あ、そういえばガルマは元々MS乗りなので操縦の腕はあるのか🤔
余談ですが、シャリア・ブルさんは小説版の設定準拠なら一年戦争時点で28歳、ジークアクスでは34歳だそうです。あの色気で? えぇ……
「薔薇」の意味
植物のバラは、宇宙世紀においても珍しい植物ではないようです。
それゆえ、従前の宇宙世紀ガンダムシリーズではバラ(薔薇)という単語に特に深い意味はありませんでした。
「でした」というのは、2014年に発表された富野監督によるTVガンダム作品「ガンダム Gのレコンギスタ(以下Gレコ)」を経た現在は事情がまったく違うからです。Gレコは宇宙世紀が終焉した後の世界が舞台なのです。
Gレコでは、過去の高度なテクノロジーは封印され、科学技術の進歩もタブー視されるという独特の世界観を構築しています。例によって宗教の狭義で
一部の人間のみが「ヘルメスの薔薇の設計図」と呼ばれる「高度なテクノロジーが記されたデータ」を知っており、主役機(G-セルフ)も、そうしたある種のオーパーツとして建造されています。
設計図をもとに組み上げたけど組んだ人にも全容がわからないというガンプラ初心者かな?という感じでロールアウトさせられているので……
この「ヘルメスの薔薇の設計図」の公式による紹介文は以下のとおりです。
宇宙世紀の遺物である可能性も秘めた、高度なテクノロジーが記されたデータがこう呼ばれている。
一部の人間のみがその存在を知っている。
この通り、「○○の薔薇」は今日では秘匿された何らかの技術産物、特に宇宙世紀を想起させるガンダム語になっています。
Gレコは初代ガンダムを制作した富野監督が手ずから制作したものですから、やはり意識するなというほうが無理があります。
ところで、ヘルメス(Hermes)というのはギリシア神話の神ヘルメースのことであり、これを英語読みするとハーミーズ、フランス語読みするとエルメスになります。
原作ガンダムをご存じの方には、エルメスというのがニュータイプと切っては切れない関係性にあることはご存知のことかと思われます。
Gレコ作中においての「ヘルメスの薔薇」は、ヘルメス財団がその名の由来となっています。が、ヘルメス財団の名の由来は私は把握していません。
続いた戦争で深刻なエネルギー不足となり、宇宙世紀は終焉した。そして傷ついた地球を再生させるために身を挺した人々がヘルメス財団の源流であるとされています。
「戦争なんぞせんで済む人類」の心を持つ人たちがニュータイプという概念を意識してヘルメスという単語を引っ張ったのか、あるいはそういうわけではないのか……?
そのあたりも含めて、薔薇という単語もなかなかに気になる要素です。
いや、単なるファンサの一環と考えるのが自然なのかもですかね?🤔
……といった感じで、だいぶ考察内容も煮詰まってきましたので、このこの記事もこのあたりで区切りとさせていただこうかと存じます🙇♂️
おまけコーナー
非常に長い記事をお読みいただきありがとうございました。
まとめを書こうと思ったのですが、2回目視聴で気付いた細々とした部分の感想をもって代えさせていただこうと思います。
あとはロクな考察はありませんので、アタマ休めにご笑覧くださいませ。
シュウジの匂い認証
どうやらニュータイプの第六感的なものを、本作では嗅覚で表しているようですね。マチュもなんかクンクンしてましたし。
で、マチュを赤いガンダムの格納庫へ連れて行くとき、さり気なくニャアンもシュウジの匂い認証に合格してたんですよね。
この味は!………ウソをついてる「味」だぜ…… - ブローノ・ブチャラティ (ジョジョの奇妙な冒険) #9514 pic.twitter.com/tdrW5NwvYj
— 🇺🇦 漫画/アニメ名言bot 🇺🇦 (@anime_quote_bot) February 23, 2022
……味覚認証じゃなくてよかった。本当に良かった。
シャアは孤独
前半部分を見てて気づいたんですけど、シャアものすごく独り言が多いんですよね。ガンダムを操縦しながら全部状況を口に出してくれる。
シャアのぼっち解像度が上がってしまう……
原作でシャアのつぶやきにツッコミ入れてくれたアムロが不在ってのが大きいのかもしれませんが😁
だから目立つな、と
学生の方が目立たないと思って
↓
あいつら難民だけは目ざとく見つけてくるんだ
↓
あんた学生じゃないね。その学生服、ホンモノじゃないだろ?
↓
目立ちすぎだ
(たぶんサングラスのことを言っているのではない)
(難民を目ざとく見つけたわけでもない)
目の色が変わる?
なんかニュータイプっぽい人たち、目が人間離れした色合いのような気がする……いや、キャラデザの都合かもしれないけど。
でもシャリア・ブルさんが目立たない色合いだし、キラキラを見たら目が鮮やかになるんだろうか。
そこんとこどうなんですかね? シャアさん……って変な仮面のおかげでわからずじまいじゃないか! 謀ったなシャア!
「さん」
シャリア・ブルさんのイケオジオーラが強すぎて、どうしても文中で「シャリアは~」って書けない……シャリアさんって書けばいいけど、やっぱり「シャリア・ブルさん」って書きたくなる……
でも仕方ないよな……マ・クベだってマとは書かないしな……
社長は何者?
カネバン有限公司のアンキー社長。
「あの子は間合いがわかってる。本物かもしれない」という意味深発言がPVでもピックアップされてますが、この人、どこまで……?
気になるのはジークアクスのコクピットを覗いた際に何かを察するかのような反応をしたことと、マチュの戦いを見てシャリア・ブルさんと同じリアクション(わざわざ重なるようなカット切り替えをしている)こと。
……いや、待って?
社長、シャリア・ブルさんより年上なの?(35歳)
牙とか生えてるぜ
……ハァ?
ジークアクスを解析していたとき。ギミックとかあるんだろとか言ってましたが……牙とか言った? 聞き間違いかな……聞き間違いだよね……?
どことなくエヴァっぽい出で立ちで、母親と同じ声帯でガォォォォォン!とか叫びながら暴走するとかいうオチないよね……ないよね……?
昔のスパロボはハロの顔グラフィックで人工知能が「ガォォォォォン!!」と吠えてるのがシュール。画像は1994年3月25日発売のスーパーロボット大戦EX。 pic.twitter.com/m9gUU8xYqi
— ユウ@26 (@Yu266) April 28, 2016
※ハロの声優がマチュ母と同じ釘宮理恵さんだというお話
実は同じ
全高18.0m、本体重量43.4t
原作でも本作のガンダムでもこの数値は同じです。※パンフレットより
細身に見えますが、やはり同じ機体ということでしょうか。
あるいは、技術がちょっとだけ違うのかも。
なお、赤く塗ると1t増えます。塗料の分かな?
そしてジークアクスは42.4t。微妙に軽い。
しかし本家宇宙世紀では、ガンダムMk-Ⅱが33.4tというアホみたいな軽さを実現しています。なんでや!
……実はこの圧倒的な軽量化は連邦系のムーバブルフレームという新世代設計によるもので、その一方でジークアクスは明らかにジオン系モノコック構造ということで整合性は取れています。さすが。
染めてるのかな?
マチュの同級生、みんな髪の色がリアル系な髪色なんですよね。そしてその他のキャラの髪色もやや誇張がありつつも割と現実的な髪色。
マチュちゃんもしかして髪染めてる?
ともかく、変装しろって言って最初に帽子被せたのもなるほど納得。
同じように、もしかしたら5倍のエネルギーゲインも変装の一環なのかもしれない。
「その平らな胸は目立つ。これを詰めておけ」
……アリよりのアリだと思います!
俺もやったんだからさ
こんなこと考えてるやつもいるんだなーってことで、よろしければコメントとかTwitterでとかワチャワチャご意見いただければ幸いです!
みんなでいろいろ事前予想とかできるから一層楽しいので……お前も考察沼に入らないか?