ケーキと共に:見る、食べるから作る、デザインするへ 不可能を可能にする
おはようございます。
フードアートのTeatraです。
まだNote書き出して間もないので、自分の作る物を作るようになったきっかけなんかを、書いていこうと思います。
前回、パンについて、書きましたので、今回はケーキです。
子どもの頃、父がよくケーキを買ってきてくれたことが、原点な気がします。色々な所から、ケーキを買ってきて、子ども達に試食させるのが、うれしかったようです。
その頃のケーキは、ですから、見るもの、味わうもの。時々、パティシェーの方が、クリームなどを絞っているのを、見たりして、きれいな物だなあと
思っていました。
お菓子作りを始めて(クッキーは小学生の頃から)、段々にケーキの方に行くのですが、ふわふわのちゃんとしたスポンジを焼きだしたのは、大学生の頃でした。まだ西洋風のケーキを焼いていましたね。
手で卵を泡立てられることに こだわっていた私は、ふうふう言いながら、泡立てしていました。が、あるとき、手動のミキサーに出会い、泡立てがとても楽になりました。そして、曲がりなりにもケーキが焼けるようになったのです。
好みなのですが、チーズケーキなどは 特別好きではなかったので、いわゆるスポンジ生地のケーキを焼いておりました。それから、ケーキデコレーションを習ってみたいと、思って、大分年月がたってしまいました。
事態が急転するのは、アメリカに行ってからです。日本の1/10の値段でケーキデコレーションが習えるのです。仲買人がいない、ケーキはケーキミックスを使って 自分で焼いてくる、という点から、安くなっており、4回のクラスで、25ドルほどでした(2600円ぐらい)。
おまけに先生は親切、丁寧で、とても観察力があり、良いところは見逃さずに 褒めてくださる方でした。クリス マリン先生、ありがとうございました。
ウィルトンというケーキ用の型を作っている会社が、先生を養成して、そこでケーキデコレーションを教えているのです。そこに通って、3つクラスを取りました(Cake1~3)。
貧乏学生の私でも、取りやすいお値段、そして、周りの生徒達はプロやセミプロなどもいました(ケーキデコレーションでお金を取っている人達)。その人達は、例えばバラができない、等の理由で、今まで自己流だったところを習いにくるのです。
そこに混じって、外国人で、ケーキデコレーションは初めての私。6人のうち、アマの生徒は私ともう一人だけ。周りはさすがに上手でした。
私は、初級の、シェルボーダーと言われる、ケーキの周りに絞っていくパターンがうまくできませんでした。先生のは、ぽてっとした厚みがあって、美しくマリリン モンローのようなのですが、私は手に力がないため、絞った物は、ぎすぎすに痩せた欠食児童のようでした。
うんうん言いながら 絞っていると、先生は、「シェルボーダーはそれでいいです(形は正確にできていた)。後は家で練習してね。」って優しく言って、次に進ませてくれました。(日本では、こうは行かない。できるまで、練習、ってなると思います。)
そして、とても難しい(とされている)バラが、一回でできると、それも先生は見逃さず、褒めてくださいました。また、力はないけれど、正確に絞る線の太さがコントロールできる特性も 見抜いてくださって、褒めてくださいました。
無理にできないこと、しなくていい、好きなこと、やってみたいこと、うまくできることをすればいいんですよ、という力強いメッセージをいただきました。それは、人に教える立場になったときの私にも、生かされています。
これらが、後に、複雑に入り組んだケルト模様を細かいアイシングの線で絞る私のスタイルにつながってきます。編み物や織り物などを、アイシングで表現することを 思いついたのです。ケーキデコレーションが 他の分野につながった瞬間です。
ケルト模様で、「ケルズの書」という聖典を絞り、その元本が保管されているアイルランドのトリニティーカレッジの図書館に、写真をお送りしました。とても驚かれました。これを絞ったのは、世界であなたが初めてと言われました。一度、元本(聖書)を見に、うかがいたいですね。
また 私はアルフォンス ミューシャが好きなので、1メートルぐらいある、ミューシャのポスターをアイシングで作りました。元々、大きなサイズでパリに展示された、という歴史事項を読んだからです。これはアート学校での作品になりました。
その写真を、ミューシャ博物館(チェコにあります)と、お孫さんのミューシャ財団をロンドンでされている、ジリ ミユーシャさんに送りました。こちらも驚かれ、喜ばれました。(英語で手紙をつけました。)
さて、例のケーキ教室で、もう一つ、気づいたことがありました。プロである他の生徒が、そのクラス用の卒業制作をするとき、習ったパターンだけ、お手本の形だけで作ってくるのです。技はあるけれど、デザインができない人もいるんだな、と分かりました。あるいは、自分でどういう形にしたい、ということに 興味がないのかもしれません。
そこで思ったのが、いわゆるケーキ職人、という方達。技はすごいけれど、思いを形にして、新しく作る、ということをあまりしないような方達です。
なので、わかりました。私はケーキデコレーション技術を身につけて、デザインもしながら、オリジナルな物を作っていきたい、ということが。
それから、ケーキデコレーションの技術を更に練習したり、勉強したり、を続けています。
コレット ピーターズさんに、立体や表面の加工をすることで、ケーキが3Dのアートになることを教えられたり、別の先生に、等身大のケーキが作れるのだということを習ったり、セリ先生に、ランベス法という、何重にも重ねて、建築のように(カトリック聖堂)作る方法を習ったり(イギリスのキャサリン妃のケーキはこれでした)、ケーキの勉強と研鑽は今も続いています。
アメリカでは、製菓学校に行かなくても、アート学校で彫刻などを学んだ人達が、ケーキデザイナーになっています。立体への理解があるためだと思い、励まされています。
この頃では、ケーキのデコレーションの技をクッキーにも転用しています。大きさが小さいので、材料を無駄にしなくて済んでいます。
アメリカにいた頃は、材料が安いし、場所も広く取れるので、知り合いの結婚式用に三段のウェディングケーキをデザインして、作りました。
ケーキってできあがりを見ると、難しそうだけれど、1つずつステップを踏んで作っていけば、作れます。私もウェディングケーキまで できます。
日本では材料が高かったり、甘い物が嫌いという人やダイエットしている人が多くて、ケーキを作ってもあげる先が見つからないこともあり、最近はクッキーを作ることが多いのです。
それから、日本のケーキはフランス式のが多い気がします。普通の一段のケーキも、もっと色々デザインできるのにな、とお店のを見ていて思います。カスタムケーキなど、有名店のを見ると、カタログから選ぶタイプで、あまりバラエティーがないので、もっと色々注文つけてくださって、一から作るというのを、やってみたいです。
ただ 個人的にアニメや漫画のキャラクターをするのは、興味がないので(理由:似ている・いない、で評価が決まり、一定の顔にする以外、デザインのオプションがない)、何かテーマだったり、その方の好きな物とか、言っていただけた方が自由にできます。
数年前に、ロシア型のしぼり用口がねが、世界中で話題になりました。それまでの口がねは、1つで1パターンしか絞れないので、バラなどは、中心部と外側の花びらを2種類の口がねで、絞っていたのですが、そのロシア型を使うと、一回で絞れるのです。
少し高めで、ものすごい力がいり(私にとっては)、使うのはバタークリームアイシングでないとだめ(ばりっと固まるロイヤルアイシングはだめ)という条件があるので、買いましたが、練習要となっております。
カップケーキなどの上に、お花を連続して絞れるので、便利といえば便利ですね。
このように、新しい器具や技法について、勉強を続けながら、ケーキを作っていきたいと思っています。
今回はこれでおしまいです。
お読みくださった方、ありがとうございました。
写真は、Noteに登録されているtwsnmpさんから、お借りしました。ありがとうございました。
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