「病院の受診」と「健診」の違い ~「病院かかってるから健診受けていない」はアウト!!手遅れになる前に、はよ健診行け!!~
➀なぜ、この話題?
なんで今回の記事書こうかと思ったかというと、本当に多いから。コレ。
私は外勤がある関係で、色々な病院で働いています。2か月に一度だけの患者さんやコンサルト(他科の先生からの相談、紹介)で私の外来を受診される方も多く、所謂「初めまして」の患者さんが結構多いんですね。
そこで目にすることの多い、「どうみても問題だらけ」の患者さん。
一例を挙げると・・・
当院皮膚科で年1でサルコイドーシスのフォローをされており(何故か循環器内科のフォローなし)、大腸がんの手術+化学療法で外科に定期通院中の70歳女性の方。肝臓癌を発症してしまい、術前耐術能評価で当科に紹介となった。
聞くと、数年前から疲れやすいとのこと。年のせいだと思って放置していた。血圧を測ると180/100mmHg。たまにしか測らないらしい。
脈拍数は100/分、心室性期外収縮が頻発している。
胸部Xpを確認すると、最終撮影は8年前。前回の外科の術前検査ですね。
聴診すると心音がザーザー聞こえる。足は軽度の圧痕性浮腫がある。
カルテを振り返ると、各科の先生達がカルテを書いているが、誰一人として血圧や心雑音に触れていない。
もう嫌な予感しかしない。
私「健診はうけていますか?」
患「えー?ここに通っているから受けていないよ?10年以上、ここだけだよ。採血だってやってるよ。心電図?さあ・・・最後に受けたの覚えてないねえ。」
ハイ、こんな会話、1週間に数回はします。
②「病院の受診」の目的は?
ちゃんと指導をしていない医師もアレですが、関心の薄い患者さん側も問題だと私は思っています。
「先生が診ているから大丈夫」とお客様気分の方々が本当に多い。
10年以上通院しているのに、自分の病名すら言えない患者さんも多いですね。
「病院の受診」と「健診」は全く意味も目的も違います。
考えてみてください。
呼吸困難や胸痛、腹痛とかで救急車で搬送されて受診した方はともかく、多くの方は健診や開業医の診察を受けて、異常があって大病院に紹介されていますよね?
つまり、「発見された異常」を「専門医に突っ込んで調べてもらうため」に紹介された訳ですよね。
専門医は、良くも悪くも「その分野に特化している医師」です。
もちろん科が揃っていない外病院ではある程度他の分野もみているかもしれませんが、例えば大学病院では基本的に専門分野をみる時間が多い訳ですね。
だって、科がたくさんある=各分野のスペシャリストがいる、ということですから。
話を戻しますが、大病院の医師は基本的に「自分の関係のある分野」についてはちゃんとみていますが、関係ない部分はあまり気にしません。
レントゲン一つをとっても、
循環器内科:心臓の大きさ、胸水・肺鬱血の有無
呼吸器内科:腫瘍の有無、網状影や間質性、浸潤影の有無
を中心にみています。
特に循環器内科は癌についてはかなり知識が乏しいことがほとんどではないでしょうか?心臓に癌は滅多にできませんからね。
③「健診」の目的は?
では、健診はどうでしょうか?
健診は基本的に
・頻度が高く、早期に発見する意味のある(=早期に発見することで予後が改善する、QOLの低下を防げる)疾患を
・頻度の高くなる年齢から
・「これくらいの間隔で定期的にフォローすればいい」間隔で
・最低限の検査で、効率よく
発見することを目的としています。
つまり、特定の臓器ではなく、全身にざっくりとスクリーニングをかけて「調べる必要のある疾患が、ありそうか否か」を調べるのですね。
だから健診で心電図異常や心拡大、肝酵素上昇、腎機能障害、糖尿病等が指摘される訳です。胸部レントゲンで腫瘍が指摘されることもありますね。
逆に、甲状腺がんのようにスクリーニングをかけて早期発見する意味が乏しい疾患に対しては、癌であっても甲状腺エコーのような検査が健診で義務化されていない訳です。
この違いを理解していないと、
「病院にかかっているから大丈夫」という勘違いが生まれるのですね。
前述した通り、医療者側にも少なからず問題があると思っています。
でも、医療を利用する側なのに医療のことを全く調べない患者さんにも責任はかなりあると思います。
だから、手遅れになる前に私は健診を受けることを推奨しています。
たとえ「一見さん」であっても。
さて、いかがでしょうか?
最期に健診受けたの、いつか覚えていますか?
思い出せない方は、本当にヤバいと思ってください。
永く太く生きるためにも、体は本当に大切ですよ。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?