お膳立てが必要ならまだ半人前 家事も仕事もボランティアも
こんばんは、Dr Fjです。
本記事は2020年10月1日に発表した記事の再掲です。
今日は、世のお父さん達には少し耳が痛い、『どれだけ家事/育児に参加していますか?』という話です。
国立社会保障・人口問題研究所が2018年7月に実施した第6回全国家庭動向調査によると、平日1日の平均家事時間が妻263分に対して夫37分と、その差は軽減傾向ではあるもの依然約7倍もの開きがあるそうです。
この資料で面白いなと思ったのは、家事の中に語られることの少ない、言い換えれば家事と認識されていない仕事、『見えない家事』があるという点です。「食品や日用品の在庫の把握」や「食事の献立を考える」などがそれにあたり、特に前者は88.6%が妻の分担となっているとのことで、こういった点が妻の不満につながることも少なくないようです。
まぁ、考えてみれば当たり前で、このあたりが自分で出来ていないような場合、例えば『夕飯は俺が作るよ』と夫がいきなり宣言してみたところで、材料や使う器具、行う工程などの準備はすべて相手がしないといけないということになります。材料用意して、どの器具を使ってどんな献立を作るのか。どれか一つでも欠けていたら、もちろん夕飯を作ることはできないのです。子供の家庭科の授業やお料理教室ではないのですから、これでは夫がいくら『家事を手伝って夕飯を作った』と主張しても、妻の不満が収まることはないでしょう。
同じようなことは、実は職場でも起こります。例えば私は整形外科医で、よく後期研修医の先生の手術の指導をすることがあります。彼らはなるべく手術を自分で完遂したいと願ってやるのですが、やはり経験値が足りずに工程の各所でちょこちょこ、気づかなかったり立往生したりすることがあります。というか、そもそも術前の何を考えてどのような準備をし、どんな道具を使うのかという、計画立案の段階からそもそも不十分だということもしばしばです。こんな時に、『この道具を用意しておくんだよ』『ここはちょっと僕にやらせて』と、指導医として微調整をして手術を無事成功裏に終了させた時の私の気持ち。普段よく『オンナ心がわからない人ね』と言われている私ですが、この時ばかりは世の奥様方の気持ちをおもんばかることが出来ているように思います。
また、災害時のボランティア活動でも同様のことが発生すると聞きます。『ボランティアに来ました~』と、何も持たずに被災地に来られても、実際には迷惑でしかないらしいです。自分たちの衣食住をしっかり面倒見れた上で、さらに被災者のために働ける人だけが必要とされるのです。これは戦場でも同じで、だからこそ被災地では自衛隊の方々が活躍されているのです。
つまりは表題の通り、『お膳立てが必要ならまだまだ半人前』ということです。世のお父さんたちには、何か一つで良いので、自分が責任を持つ要否の判断から必要な物品の準備、実際の工程に後片付けまで、一連の工程に責任を持つ家の中での仕事を見つけることをおススメします。