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記事の中で映画、ゲーム、漫画などのネタバレが含まれているかもしれません。気になるかたは注意してお読みください。
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永井豪の集大成 バイオレンスジャック(ネタバレあり)

この記事は、2022年12月10日に自分のホームページで公開したものになります。

概要

永井豪の漫画で、永井豪の最高傑作にして集大成。
手塚治虫ばりのいわゆる「スター制」で、今までの永井豪漫画のキャラクターが、たくさん出演している。

連載誌を変えながら、延べ17年をかけて、ちゃんと完結した。
「少年マガジン」で1973年7月から1974年9月まで。
「月刊少年マガジン」で1977年1月から1978年12月まで。
「週刊漫画ゴラク」で1983年8月から1990年3月まで。
「少年マガジン」+「月刊少年マガジン」と「週刊漫画ゴラク」で別々にコミックスが出ていたが、後に中央公論社から完全版として発売されたものは統合されている。

ちなみに、2021年より「月刊ヤングマガジン」誌上で、デビルマンのスピンオフ作品でもタッグを組んだ衣谷遊が「バイオレンスジャック20xx」を連載している。こちらは舞台を現代に移したリメイクで、まだ連載中である。

それでは、この作品を語っていきましょう。


用語集

関東地獄地震

19XX年(最初は197X年だった)9月1日13時から起こった、マグニチュード7.8の大地震。
房総半島は、水没により陸から完全に切り離され、「房総島」となった。
また、地震による断層により、関東は切り離される。
その後の群発地震により復興を諦められ、孤立した土地となる。

震災後2年後くらいと思われる「黄金都市編」では第二次地獄地震と呼ばれる大震災が起きて、池袋あたりは海中に沈没する。
また、震災から6〜7年後には土地の隆起により、再び房総半島がつながる。

ドラゴン

スラムキングが己の威容を誇るために作った、戦国時代のような騎馬武者軍団。
中には現代兵器で武装した「重騎馬軍団」など様々な部隊がある。

外道会

自ら「外道」を名乗る、ヤクザからもはみ出した人間達が関東に逃げ込んだ集団。
スラムキングの後ろ盾があるため、関東では最大の暴力団。
作中では本拠地が「外道街」と呼ばれている。

登場人物

ここでは全編に関わる人物のみ紹介します。

バイオレンスジャック

突如、地獄地震後の関東に現れた巨人。
2メートル20センチの筋肉質の巨体だが、「大男の動きではない、サッカー選手のスピード」で動ける。
ナタのような大きいジャックナイフを振るい、彼の現れた町が戦いに巻き込まれる(暴力が吹き荒れる)事から、通称「バイオレンスジャック」と呼ばれる。

後に女の姿をしたバイオレンスジャック、
少年の姿をしたバイオレンスジャックも現れる。
たくさんの不思議な能力を使うが、その正体は謎に包まれている。

スラムキング / 銅磨高虎(どうま たかとら)

信州の名門・銅磨家の当主。
地獄地震後の関東を恐怖と暴力で支配する。

生まれつき異常に発達した筋肉の持ち主で、
その力を外に発していないと自分自身の骨や内臓を締め付けてしまうため、赤ん坊の時から鎧を着て生活している。
その怪力で馬ごと斬れる刃渡2メートルの「斬馬刀」を軽々と振り回す。

スラムクイーン/日野火美子(ひの ひみこ)

スラムキングの愛人兼ボディーガード。
「宝塚」のような装束を身につけている。
物語当初は12人いるという設定だったが、すぐに筆頭の一人だけになった。

超能力者で予知能力とテレパシー、そして念動力を使う。
武器はその念動力を用い、細い針金で作った「なめし針」を操る。

逞馬竜(たくま りゅう)

関東地獄地震により孤児になった少年。
5人兄弟中唯一の男子という事で姉達に甘やかされて育ったが、自分を命を賭して守ってくれた姉の分も生きる為、生まれ変わる。

この群像劇の主人公。

天馬三郎(てんま さぶろう)

関東地獄地震で生き残った少年。
雑貨店を営む両親と暮らしていたが、「地獄の風編」で、暴走族に対して抵抗できない大人達に檄を飛ばしていた。物語最後にジャックから「関東はお前の様な男を必要としている」と言われ、ジャックに憧れ、大男へと成長し、ゲリラを指揮するようになる。

逞馬竜と関東の覇権を争うようになる設定であった。

海堂猛志(かいどう たけし)

関東地獄地震により孤児になった少年。
「関東鬼相撲編」で、元力士達にいいように使われていたが、反旗を翻す。
しかし、逆襲され仲間や恋人を殺されて、復讐に燃えるも自身の非力さを感じ、ジャックを自分の命と引き換えに雇う。
その代償として「心正しく生きよ」と告げられ、後に逞馬竜の軍に加わる。

飛鳥了(あすか りょう)

関東のスラムキングの経営するレストランのボーイだった。
恋人の牧村美樹と逃亡したため、捕まり、見せしめに「人犬」にされる。

ご存知デビルマンのキャラだが、その正体は‥

牧村美樹(まきむら みき)

関東のスラムキングの経営するレストランのウエイトレスだった。
スラムキングの愛人にされそうになり、恋人の飛鳥了と逃亡したため、「人犬」にされる。

他の登場人物はあらすじで紹介します。

あらすじ

*紹介する各章の順序は「完全版」の構成順です。巻数は「完全版」からで、元がマガジンかゴラクか記します。
*登場人物→ストーリー→ネタバレありの結末の順でご紹介します。未読の方は極力、ストーリーまで読んで、ネタバレはスルーして下さい。
*登場人物はカッコで元の永井豪作品名を入れます。例、(*「デビルマン」)
*長いので先に結末などの考察を知りたい方は「目次」からスキップして下さい。

東京滅亡編(1〜2巻)*マガジン版

*主な登場人物
逞馬竜
逞馬ユリ
くとみ先生

*場所
逞馬家の周辺(高円寺あたり)→笹塚→三鷹→丹沢山

*ストーリー
5人兄弟で唯一の男である小学5年生の逞馬竜は、姉達に甘やかされて生きてきた。
そんな逞馬竜が後に「関東地獄地震」と呼ばれる大地震に巻き込まれる。

*結末(ネタバレあり)+解説
くとみ先生や姉(ユリ)に身を挺して守られ、逞馬竜は関東に生き残る。

今の漫画だと、こんなに長いプロローグ的なエピソードは打ち切られてしまいそうですが、この長いエピソードのおかげで、この後の荒唐無稽なエピソードのリアリティが増しています。

関東スラム街編(2〜4巻)*マガジン版


*主な登場人物
バイオレンスジャック
逞馬竜
ゴロ(逞馬竜のグループの孤児)
ブンタ(逞馬竜のグループの孤児)
順子(逞馬竜のグループの孤児)
黒部(逞馬竜とは別のグループのリーダー)

スラムキング
スラムクイーン
飛鳥了(*『デビルマン』)
牧村美樹(*『デビルマン』)
外道会(日本中のヤクザからのはみ出し者の集団)

*場所
荻窪

*ストーリー
震災から一年後、逞馬竜はバイオレンスジャックと出会い、スラムキングの経営するレストランに行く。そこはジャックの奢りかと思いきや、「暴力で払う」と言い、逞馬を巻き込んだ乱闘となる。メンツの立たないスラムキングは、見せしめのため、逞馬を含んだ震災孤児達300人をヤクザ組織外道会に襲わせる。

*結末(ネタバレあり)+解説
ジャックに煽られて逃げ込む外道会のヤクザ達を、犠牲を出しながらも震災孤児達は倒し、勝利する。その後、ジャックはスラムキングに一騎打ちを挑み、それに勝利する。そのため、震災孤児達のいる震災砦に、スラムキングの配下ドラゴンが襲いかかるも、逞馬竜の知謀でこれを退ける。

初めてのバイオレンスジャックvsスラムキング。
結果はスラムキングの面を拳で叩き割ったバイオレンスジャックの勝利。

地獄の風ヘルスウインド編(5巻)*マガジン版

*主な登場人物
バイオレンスジャック
炎ジュン(*『グレートマジンガー』)
剣鉄也(*『グレートマジンガー』)
天馬三郎
けいこ先生

ダンテ(名前のみ*『魔王ダンテ』)

*ストーリー
震災前、暴走族「地獄の風」に恋人、鉄也を殺された炎ジュンは復讐を誓う。
震災後、とある平和な街を襲う暴走族「地獄の風」、街の元女子高生けいこ先生を攫われるが、炎ジュンとバイオレンスジャックが戦う。ロケット矢、マシンガン、拳銃などを駆使して炎ジュンは暴走族を追い詰めるも逃してしまい、追いかけるが逆に捕まってしまう。

*結末(ネタバレあり)+解説

バイオレンスジャックの活躍により、けいこ先生と炎ジュンは助け出される。
炎ジュン、天馬三郎、けいこ先生と、後に再出演するキャラがたくさん出た一編。

激闘! 門土編(6巻)*マガジン版

*主な登場人物
バイオレンスジャック(女ジャックと少年ジャックも)
早乙女門土(*『ガクエン退屈男』)
身堂竜馬(*『ガクエン退屈男』)

*場所
都内→熊本→刑務所(関東以外)→震災後の関東

*ストーリー
学生運動で「神の牙」と名乗る組織で大暴れした門土と竜馬。
九州に逃亡するも警察に捕まり、死刑で別の刑務所に護送される途中に脱走する。
そこから、震災後の関東へと逃亡するのだった。

*結末(ネタバレあり)+解説
バイオレンスジャックにより被災者達の霊が、地獄地震の光景を門土と竜馬に見せるも、自分たちが助かることしか考えない二人に、ジャックは「関東に生きる資格はない」と言い放つ。
一度は関東から追い出されるも、再び関東に上陸する二人。

物語最後に、女の姿と少年の姿のバイオレンスジャックが初登場。
しかも、いつもバイオレンスジャックが連れている鳥に変身する。

ドラゴンの砦編(7巻)*ゴラク版

*主な登場人物
バイオレンスジャック
咲子(サキ)
村野誠(マコ)
朱紗真弓

スラムキング
スラムクイーン
殺し屋3兄弟

*ストーリー
関東で、売春で金を貯めるサキとマコ。
二人は偶然にバイオレンスジャックと朱紗一族の娘、真弓と出会う。
二人は真弓を朱紗一族の元へ届けると言うが。

*結末(ネタバレあり)+解説
金のため、真弓をスラムキングに売ろうとする二人だが、予想に反して、真弓を殺そうとするスラムキング。それを止めようとしたため二人は処刑される事に。その時、真弓の超能力が目覚め、全ての人を皆殺しにする。
しかし、それはサキが見る幻想(?)だった。
バイオレンスジャックは「これも一つの可能性だ」と言い、サキは真弓をスラムキングの所へ連れて行くのをやめる。

ゴラク版の最初のエピソード。
そのため、状況説明のためのエピソードという感じであり、実際にはバイオレンスジャックとスラムキングは戦っていない。
また、マガジン版から、「凄ノ王」の連載を経て、バイオレンスジャックの新たなキャラクターとして、朱紗一族が登場した。

黄金都市エルドラド編(8〜9巻)*マガジン版

*主な登場人物
バイオレンスジャック(女と少年も)
早乙女門土(*『ガクエン退屈男』)
身堂竜馬(*『ガクエン退屈男』)
錦織つばさ(*『ガクエン退屈男』)

逞馬竜
スラムキング
スラムクイーン

*場所
池袋

*ストーリー
地獄地震によって、銀行の金庫に金塊を残した池袋を人は「黄金都市」と呼んだ。
金塊を巡って、様々なヤクザ組織がはびこる中、震災以前から金塊の護衛に当たっていた自衛隊が「黄金の軍隊」と呼ばれ、今も守っている。
自衛隊は震災で狂ってしまい、自分たちの命よりも金塊を守る狂気の集団と化していた。
そこへ辿り着いた門土と竜馬。
関東羅刹組に見出され、金塊争奪戦へと参加する。
ジャックが現れた事により膠着状態が緩和され、自衛隊員の中に旧友を見つけ、一気に金塊獲得に活路を見出した門土だったが‥

*結末(ネタバレあり)+解説
野望に燃え、自分を評価してくれた羅刹組の若頭を殺してまで、全てを手に入れようとする門土。しかし、関東が一つになった時でなければ、金塊の存在は火種にしかならないと思うジャックと意気投合した逞馬は、子供の体の小ささを活かし、金塊を全て外に運び出す。
その事を知らない門土はヤクザ達や自衛隊との戦いを制して、金庫にたどり着くも、金庫がもぬけの殻である事に気づき、衝撃を受ける。門土は金塊の埋めた場所をかけて、ジャックに一騎討ちの勝負を持ちかける。バズーカ砲による勝負であり、当初、ジャックのバズーカ砲に細工をする予定だったが、若頭を殺されたつばさの復讐により、門土はバズーカ砲で死ね。瀕死のジャックを関東羅刹組や、駆けつけたスラムキングとドラゴン重騎馬軍団が迎え討つ。ジャックとキングの一騎打ちの最中、関東を再び大規模な地震が襲う。
門土を失い、竜馬は意気消沈の中、門土の死体から首を切り、バイオレンスジャックへの復讐を誓う。黄金都市付近は海に沈み、門土の首を持った竜馬は海を漂い。ジャックはキングに切られた腕を咥え、去って行く。

マガジン版の最後に当たるエピソード。
物語の主軸は、ヤクザひしめき、軍隊が守る金塊争奪戦だが、逞馬達がジャックへの認識を改める回でもあり、一つの区切りとなっている。

関東地獄街編(10〜11巻)*ゴラク版

*主な登場人物
バイオレンスジャック
アイラ武藤(*『ゴッドマジンガー』)
リッキー(*『手天童子』)

マッドザウルス

*場所
東京駅八重洲地下街

*ストーリー
地獄地震によって、八重洲地下街に閉じ込められた人達は、商店街の食料を食べながら、地下を掘り進み、脱出の機会を伺っていた。閉じ込められた人々は、普通の市民のA地区、ならず者達のB地区、元ファッションモデル達のC地区に別れて暮らしていた。震災直後、閉じ込められ助からないと思ったA地区の一般市民達は、C地区のファッションモデル達を襲った。その事件のせいと、閉じ込められている事から、地下街は「関東地獄街」と呼ばれるようになる。外に出ようと掘っていた壁から、バイオレンスジャックが見つかり、そこから、B地区のならずもの達が他地区の人間に襲いかかる。

*結末(ネタバレあり)+解説
A地区はほぼ全滅し、C地区も強姦され、何人か殺されたが、ジャックの活躍により、ボスのマッドザウルスなどを倒した。

レイプしようと襲いかかる暴漢達を狼男のように描いたり(本当に変身したわけじゃない)、ゴラク版の抽象的な描写が進んだ回であった。
また、エピソードとしてはコンパクトな尺であったので、うまくアニメ化された。
*アニメの感想などは後述します。

疾風ドラゴン編(11〜12巻)*マガジン版

*主な登場人物
バイオレンスジャック
炎ジュン(*『グレートマジンガー』)

*ストーリー
バイオレンスジャックとドラゴンの精鋭、「二天疾風隊」の戦い。

*結末(ネタバレあり)+解説
途中、助けてくれた炎ジュンを治癒し、関東の外にテレポートさせ、ジャックはドラゴンに勝つ。

「月刊少年マガジン」での番外編ともいうべきエピソード。
しかし、「週刊少年マガジン」で生き残った炎ジュンを綺麗に退場させていた。
ここからゴラク版へ向けて、ジャックの超自然的能力が凄くなっていく。
しかも戦闘シーンの最後は、ドラゴンの部隊が文字通り大きな竜の姿となる抽象的な描写。
また、物語冒頭で門土と竜馬が出てきて、時系列などの整合性がおかしいな、と思いましたが、後々のエピソードでそこは解明されます。

関東鬼相撲編(12〜13巻)*マガジン版

*主な登場人物
バイオレンスジャック
海堂猛志

*ストーリー
震災孤児である海堂猛志達は鬼川部屋の元力士達に、いいように使われていた。
仲間を殺され力士達に刃向かった海堂は、恋人のるみと共に木に吊るされリンチにあっていたところをジャックに助け出される。しかし、他の仲間を心配した二人は、鬼川部屋へと戻って行く。

*結末(ネタバレあり)+解説
戻ると仲間達は首を吊られ殺されていて、るみちゃんもレイプされそうになり、舌を噛んで自害します。食糧調達の雑用のため生き残された海堂は、ジャックに自分の命をかけて、復讐を依頼します。見事、仇を取ったジャックに海堂は「命を売ったので、なんでもする」と言いますが、ジャックは「心正しく生きよ」と言い残して去って行きます。

後に、逞馬竜の猛将となる海堂猛志のエピソード。
しかし、それよりも「人間ダーツ」が悪い意味で話題になりましたね。

死神警察編(13〜15巻)*ゴラク版

*主な登場人物
バイオレンスジャック
早乙女門土(*『ガクエン退屈男』)
身堂竜馬(*『ガクエン退屈男』)

*ストーリー
権力を傘にきて、やりたい放題の警察署がある街に辿り着いた門土と竜馬。
早速、よそ者ということで強姦魔に間違われ、警察に捕まるが、被害者の女の子を連れ脱走する。しかし、再び捕まってしまうが、嘘のドラゴン襲撃の情報を言い、助かる。
その頃、女の姿のバイオレンスジャックは、住民達に警察にいいようにされて黙っているのかと訴える。そして、竜馬の嘘だったドラゴン襲撃が本当になり、街は戦場と化す。

*結末(ネタバレあり)+解説
警察vsドラゴンの戦いが膠着し始めた頃、マンホールに隠れていた街の住民が女バイオレンスジャックに導かれ、残った警察やドラゴンと戦う。その暴力の渦に巻き込まれていく門土と竜馬。その頃、バイオレンスジャックは警察署長の死神と戦う。実は死人である死神を倒すため生と死の狭間の亜空間を作り出し、死神を葬る。

この章からジャックは人によって見え方が違うという話が始まり、女のジャックかと思うと男のジャックと入れ替わったりして、かなり内面的な話になっていきます。
当初は震災後の人々の群像劇で、少年達の成長物語でもあったはずですが、その部分を残しつつもジャックの存在が、どんどん超自然的になっていきます。

そして、黄金の都市編を読了後の方には「えっ、なんで門土生きてるの?」と思い、大人の事情のリブートかと思われるかもしれませんが、しっかりと竜馬との会話を見て下さい。
後に「あっ!」となります。

野獣王国編(15〜16巻)*ゴラク版

*主な登場人物
バイオレンスジャック
響真吾(*『キングボンバ』)
アイラ武藤(*『ゴッドマジンガー』)

*ストーリー
女の子に間違われ、レイプされそうになったりしながら、関東を生き延びてきた響真吾は、ジャングル化した土地に逃げ込む。そこは動物園の飼育係だった男キバラが動物達を従え、未開人たちの様な王国を作ろうとしている場所だった。
そこへ「関東地獄街編」のアイラ武藤達も暮らしていた。
偶然、アイラと出会い、また、虎と心を通わせ従えた真吾は、キバラ達に襲撃される。

*結末(ネタバレあり)+解説
アイラ達を攫われた真吾は、ジャックをイメージしたという彫像「キングボンバ」にアイラを救いたい祈りを捧げる。ジャックは身体から光の鳥を飛ばし、キングボンバの像+真吾+光の鳥が合体し、ジャックの姿となる。ジャックと化した真悟は殺された虎を蘇らせて従え、キバラ達を倒し、アイラたちを救出する。

少しマイナーな永井豪作品「キングボンバ」の主人公や設定が一部使われている。
また、「関東地獄街編」で生き延びたアイラ武藤達も再出演。
ここでは、もう様式美されてしまった残酷描写が出てくるのと、ジャックが見える人と見えない人がいたり、また、見える人でも見えなくなったりと、その超自然的存在に拍車がかかる。
また、光の鳥は別の存在というよりは、一部であるというのが鮮明に描写された回であった。

ハイパーグラップル編(16〜18巻)*ゴラク版

*主な登場人物
バイオレンスジャック
アイアンマッスル(*『アイアンマッスル』)
ファイアービーナス(*『アイアンマッスル』)

朱紗真悟(*『凄ノ王』)
合田(*『凄ノ王』)
早乙女門土(*『ガクエン退屈男』)
身堂竜馬(*『ガクエン退屈男』)

*ストーリー
ハイパーグラップルと呼ばれる格闘技で、父の仇を討とうとするアイアンマッスルは、関東の朱紗真悟の支配するアクアポリス未来市で行われる、世界選手権大会に参加する。それは文字通りの命懸けの試合だった。以前には存在しなかった海上都市を怪しみ、門土と竜馬もアクアポリスに侵入する。旅の途中でジャックの気を帯びたアイアンマッスルと、2人で1つの気を持つ門土と竜馬は危険人物として、朱紗真悟の抹殺命令が降る。そして、バイオレンスジャックもアクアポリスに侵入する。

*結末(ネタバレあり)+解説
朱紗真悟の精神エネルギーでできていたアクアポリスは、ジャックの強い精神エネルギーの影響で壊滅する。ジャックは朱紗真悟の魔界との扉を閉じ、勝利する。また、アイアンマッスルは親の仇の息子と戦い勝利する。竜馬は朱紗真悟から言われた「門土は死んでいて、竜馬が超能力で作り出した者だ」という事に疑念を抱いていた。アイアンマッスルは死んだと思っていた父親と再会する。

「アイアンマッスル」と「凄ノ王」をモチーフに、精神の力とは?という作品の根本に迫った章。これだと永井豪作品の中でジャックが最強という事になりますな‥
そして、ついに死んだ門土の謎に突っ込んでいきました。意外と無理がない「黄金都市編」の続きが連想されます。

鉄の城編(19巻)*ゴラク版

*主な登場人物
兜甲児(*『マジンガーZ』)
ジム・マジンガ(*『マジンガーZ』)
独田地獄斎(*『マジンガーZ』)
兜十蔵(*『マジンガーZ』)
兜剣造(*『マジンガーZ』)

早乙女門土(*『ガクエン退屈男』)
身堂竜馬(*『ガクエン退屈男』)

*ストーリー
機会道流空手の次期当主を巡って、創始者の兜十蔵の息子、兜剣造と独田地獄斎が争っていた。しかし、兜剣造がニューヨーク支部に出かけたまま行方不明となったため、独田地獄斎の陰謀を怪しむ兜十蔵はアフリカ支部の青年、ジム・マジンガ(通称 Z)を後継者に決めた。アフリカ人が跡を継ぐのを嫌悪した者達が、関東に兜十蔵とZをおびき出し襲撃した。それにより、兜十蔵は死亡、Zは失明してしまった。兜十蔵の孫の甲児は、わずか13歳ながら、仲間を連れ、失明したZを取り戻し、関東に「鉄の城」と呼ばれる道場を作った。そこに独田地獄斎の魔の手が迫る。

*結末(ネタバレあり)+解説
実は生きていた兜剣造が独田地獄斎を倒し、Zは殺し屋の罠にハマり死亡したが、ニューヨーク支部のアフロディテとダイアナが阿修羅師範を倒し、事態は収束する。甲児達はヘリで関東を脱出する。

もう、完全なパロディの本編。
バイオレンスジャックすら1シーンも出てきません。
申し訳ない程度に門土と竜馬が絡みます。
「マジンガーZ」から「グレートマジンガー」への架け橋として重要な悪役だったゴーゴンから、アシュラ男爵、ブロッケン伯爵かと思いきやピグミー。
味方ではボスも出てくるし、女型ロボットの2人。
「マジンガーZ」を視聴していた方には笑えるでしょう。

黒の森編(20巻)*ゴラク版

*主な登場人物
バイオレンスジャック
スラムキング
飛鳥了(*『デビルマン』)
牧村美樹(*『デビルマン』)

秋葉優子
銅磨高次

*ストーリー
現在のスラムキングは、見せしめに人犬の美樹を土佐犬に犯させていた。
ドラゴン鬼面隊がジャックを追い詰める頃、キングは過去を思い出していた。
生まれついての怪力をコントロールできない、スラムキングこと童磨高虎は、18歳の時、家庭教師の秋葉優子と出会う。裸になり、自分の体を使って力のコントロールと優しさを教える優子だったが、その光景を獣の様な目で見ている者があった。キングの異母兄弟の銅磨高次である。ある日、我慢できなくなった彼は優子をレイプする。

*結末(ネタバレあり)+解説
ドラゴンは「黒の森」と呼ばれる場所にジャックを追い詰める。
そこは人の心を映し出す場所だった。
過去に、高次と優子の密会を目撃したキングは2人を殺し、屋敷に火を放った。
ジャックを切ったと思ったキングは、そこに優子の死体を思い出し、泣き叫ぶ。

成人誌である「ゴラク」に連載を移しての2エピソード目。
成人誌だから性描写解禁という感じで、冒頭から人犬が犬にレイプされるシーンで始まる。
また、今まで語られなかったキングの過去が語られる。
キングの過去紹介編というべきエピソード。

魔王降臨編(21〜22巻)

*主な登場人物
バイオレンスジャック(子供のジャック)
柳生十兵衛(*『ハレンチ学園』)
山岸八十八(*『ハレンチ学園』)
ヒゲゴジラ(*『ハレンチ学園』)

スラムキング
スラムクイーン

*ストーリー
震災後、セイント学園だった生徒の集団は一つのコミュニティを作っていた。
通称ヒゲゴジラと呼ばれたセクハラ教師は、洞窟で異次元の魔物と出会い、魔王ダンテと名乗り教団を結成して、途中、ドラゴンの女だけの部隊「紅竜隊」をも配下につけて、セイント学園を襲う。

*結末(ネタバレあり)+解説
子供のジャックの導きで魔の力を手に入れた八十八は、ジャックの力も借り、恋人の十兵衛を救い出す。スラムキングは「紅竜隊」の仇を取るためダンテ教団を殲滅する。

ゴラク連載後に書かれた番外編的作品。
逞馬竜やブンタの年齢的には、時系列は娯楽版の最初の方になると思われる。
最初の設定だったスラムクイーンは12人いる、という事から他のクイーンが登場する。
あまり、本編とは関係無い作品。

学園番外地編(22〜24巻)*ゴラク版

*主な登場人物
バイオレンスジャック(女と少年も)
番長介(*「学園番外地」)

スラムキング
スラムクイーン

*ストーリー
少年の姿のバイオレンスジャックは番長介が運営する学校に入った。
そこは世間をドロップアウトした大人や子供がマイペースに過ごせる場所だった。
その頃、スラムキングは女の姿や少年の姿のバイオレンスジャックが気に掛かり、何人も殺し屋を雇っていた。その中のひと組、ハイエナ3兄弟が学校へとやってくる。子供の一人を殺され、怒った少年の姿のバイオレンスジャックはハイエナ3兄弟を殺す。また、その頃、女の姿のバイオレンスジャックも向かってくる殺し屋達と戦っていた。
凄ノ王が倒れ、スラムキングの力が増大するのを危惧したバイオレンスジャックはスラムキングを叩く事にする。それを予知能力で察知したスラムクイーンは全ドラゴンを魔王城に集結させる。

*結末(ネタバレあり)+解説
3人のジャックが集結し、超自然的な力を駆使して近代兵器にも勝つバイオレンスジャック。
スラムキングもジャックとの一騎打ちを望む。窮地に陥りながらも、キングの兜をナイフで叩き割り、勝利するジャック。
その頃、学校の一員だった舞は、一旦学校を辞めるも、真面目な格好になり、学校に戻る。

戦闘シーン満載の本編。
ジャックの不思議な能力のオンパレードとジャックの正体を仄めかす会話がありますが、これは全く関係ありませんでした‥
本編では珍しく、関わった学校の人たちがほとんど死にません。
筆者的には嬉しかったです。

奴隷農場編(24〜27巻)*ゴラク版

*主な登場人物
バイオレンスジャック(女と少年も)
菊野雪(*「あばしり一家」)
奴隷農場主クラーケン(*「あばしり一家」)
逞馬竜

スラムキング
スラムクイーン

*ストーリー
地震により隆起した土地に奴隷農場を作り、スラムキングの加護を得た正体不明のクラーケンという人物がいた。そこに奴隷狩りで捕まり菊野雪が入ってくる。時を同じくして、熊用の罠に大男(バイオレンスジャック)が引っかかる。奴隷として働かせるため、ジャックの両目を潰す。菊野雪は男達の魔の手から身を守るため男のふりをする。ある日、些細な事で奴隷の反乱が起きた。その隙に監禁されているジャックに食料や酒を届ける菊野雪。ジャックと関わりながら、雪は過去を思い出していた。雪は教師に襲われていたところを助けてくれた異母兄弟達を探しているのだ。ジャックを中心に反乱を企てる雪だったが。

*結末(ネタバレあり)+解説
少年の姿のバイオレンスジャックが逞馬竜を説得し、内側からは奴隷達の反乱が、外かは逞馬竜の軍がクラーケン農場を攻撃する。スラムクイーンの予知により、逞馬を叩くためドラゴンを動かすスラムキングだったが、ジャックの見せる地獄自身の幻により、ドラゴンは逃亡。女の姿のジャックと戦うも逃げられる。クラーケンはセスナ機で戦うもジャックに倒される。死に際に記憶が蘇ったクラーケンは、雪の探していた兄だった。かくて奴隷農場は逞馬竜により解放される。逞馬に止まるよう説得される雪だったが、兄を探しに旅立つ。

奴隷に反乱という映画のような話。久しぶりの逞馬竜の登場で、やっと「関東三国志」へと繋がっていきそうになる。また、ジャックの存在の不思議さが際立った本編。潰された目が戻るどころか、一瞬でいつもの服装になり、ナイフも出てきた。また、ドラゴン全員に幻覚を見せ、女の姿のジャックはキングに足を切られると、足はウサギに、本体は鳥に、鞭は蛇に変身した。

アイアンカイザー編(28〜29巻)*ゴラク版

*主な登場人物
バイオレンスジャック(少年も)
小角裕(*「邪神戦記」)
アイアンカイザー(*「手天童子」)

スラムキング
スラムクイーン

*ストーリー
ある日、人型の兵器がドラゴンを襲った。
それはアイアンカイザーと呼ばれるミサイルなども装備した関東外部からの兵器だった。
その実験材料として選ばれた小角裕は生き延びる為、アイアンカイザーをスラムキングのいる魔王城へと誘き寄せる。
単なる遠隔操作のロボットと思われたアイアンカイザーだったが、電波を撹乱しても動き出し‥

*結末(ネタバレあり)+解説
アイアンカイザーは震災で別れた小角裕の母親だった。
小角裕との復縁を迫るアイアンカイザーだったが、アイアンカイザーに育ての親を殺された小角裕はこれを拒否する。
少年の姿のバイオレンスジャックの導きもあり、スラムキングの元へ誘導するのに成功する。キングはアイアンカイザーを倒し、アイアンカイザーの脳みそがだけが小角裕にすり寄っていく。

「手天童子」のキャラを使った悲しいエピソード。
本編の進行的には新しい魔王城の建設が描かれる。
また、本編で初めて、「関東地獄地震から6〜7年くらい経っている」と時系列が語られた。

陽炎編(29〜30巻)*ゴラク版

*主な登場人物
ブンタ
逞馬竜
陽炎

*ストーリー
ある日、ドラゴンの一部隊を包囲した逞馬軍は、投降を迫るも拒否されたので倒した。
その夜、ブンタ達一味は倒したドラゴンの死体から追い剥ぎをしていた。その中で一人、まだ生きのある女を見つけ、匿う。その女、陽炎は実は逞馬竜を夫の仇と狙う刺客だった。

*結末(ネタバレあり)+解説
ブンタにうまく取り入り、ブンタに逞馬竜を殺すよう仕向ける陽炎だったが、逞馬竜の想いを盗み聞きしたブンタは感動し、逞馬竜を殺そうとした陽炎を射殺する。

最初からバイオレンスジャックを読んでいる方には胸熱エピソード。
もう「北の国から」の蛍とか、「渡る世間は鬼ばかり」の眞を見ているような気分にさせられる。あのブンタが、こんなに大きくなって、性欲のある反抗期の少年になって、と感慨深いものがあります。
永井豪は少年のムラムラしているところとか、野心を持った時の表情の描写が上手い。
陽炎は、その名の通り、儚く散っていきました。
あと、順子が大人の女になってる!

ハニー編(30〜32巻)*ゴラク版

*主な登場人物
バイオレンスジャック(女と少年も)
如月ハニー(*「キューティーハニー」)

スラムキング
スラムクイーン
飛鳥了(*『デビルマン』)
牧村美樹(*『デビルマン』)

*ストーリー
この章は作品中で章分けしてあります。

プロローグ 天使の集合
父親の石油王の莫大な遺産を受け継いだ如月ハニーは、行方不明の兄の探索を探偵に依頼する。そこから、兄は地獄地震後の東京にいることが分かり、独自で探索することを誓う。
その兄とはスラムキングに人犬にされた飛鳥了だった。続々とかつての孤児院の仲間を集めるハニー。年齢も人種も違うが顔立ちが似ている7人はそれぞれを「〇〇ハニー」と名乗る。
莫大な財産に物を言わせ、輸送機などを用意し、関東に降り立つ7人のハニー。
その頃、キングにいじめ抜かれている飛鳥了は少しづつ過去を思い出していた。

その一 乾きの町
「将軍」と名乗る男が井戸を支配する街に行ったフラッシュとミスティは、街を解放し、住人に飛鳥了の写真を見せるが、不自然なリアクションで知らないと言われてしまう。

その二 ゴーストタウン
人が見当たらない街に行ったキューティーとアイドルは、人の気配を感じる。それは少年の姿のバイオレンスジャックだった。ジャックに飛鳥了の写真を見せた二人は「関東に住む者なら誰でも知っているが、誰も答えないだろう」と言われる。

その三 マッドタウン
アル中でおかしくなった人間ばかりの街に行ったパワーは酒場で謎の占い師に会う。その占い師の水晶玉には飛鳥了の人犬にされる前の過去が映っていた。気づくと占い師は消え去り、外に出ると女の姿のバイオレンスジャックがおり、「二人のその後は魔王城にて分かる」と言われる。

その四 魔王城
ヘリにて魔王城の上空に来た如月ハニーは、ついに人犬の姿にされた兄を発見する。
飛鳥了は人犬にされた時の事を思い出していた。

*結末(ネタバレあり)+解説
ハニー達の輸送機の場所を掴んだキングは、輸送機の撃墜を命じる。
ハニー達は逃げる為にフラッシュとミスティを関東に置き去りにする。
逃げ際に魔王城を破壊したハニーに怒り心頭のキングは人犬達を殺そうとする。
そこにバイオレンスジャックが現れ、闘い。ドラゴン達が駆けつけると去っていく。

やっと飛鳥了が人犬にされる過去が漫画化されました。
ひどいですね〜
そして、漫画はどんどん抽象度を増し、この章では毎回、ハニーがプールに飛び込みするところから、イメージが広がっていきます。
そして、ジャックの光る鳥がミサイルを撃ち落としたり、割れたナイフが元に戻ったり、だんだんなんでもありな感じになってきてますね‥

天馬編(32〜33巻)*ゴラク版

*主な登場人物
バイオレンスジャック(女と少年も)
スラムキング

天馬三郎
けいこ先生
女蛮子(*「おいら女蛮」)

*ストーリー
「地獄の風編」に登場した天馬三郎はジャックに憧れて成長し、ジャックのような巨体になっていた。彼はゲリラを編成し、ドラゴンに戦いを挑む。ドラゴン黄竜砦を落とした天馬達ゲリラは砦を維持せず、投稿するドラゴンの兵士たちを味方にして、散り散りとなる。天馬三郎を捉えるようドラゴンから依頼を受けた外道会は、けいこ先生を人質にとる。たった一人で外道会に殴り込む天馬三郎。

*結末(ネタバレあり)+解説
けいこ先生を殺され、自身も殺されかけた時、バイオレンスジャックから光の鳥が飛び出し、天馬三郎の肉体へと入る。バイオレンスジャックと化した天馬三郎は外道会を殲滅し、関東を変えることを誓うのだった。

やっと出てきた天馬三郎。スラムキング、逞馬竜と第三勢力となるべく物語が進展しました。

ズバ蛮編(33〜35巻)*ゴラク版

*主な登場人物
バイオレンスジャック(女と少年も)
スラムキング
スラムクイーン
ズバ蛮(*「ズバ蛮」)
ジャンヌ(*「ズバ蛮」)

逞馬竜
黒部(逞馬軍黒鷲の砦の大将)
海堂猛志(逞馬軍)
ゴロ(逞馬軍)
ブンタ(逞馬軍)
天馬三郎
身堂虎之助(*「学園タイクツ男」)
フラッシュ(*「キューティーハニー」)
ミスティ(*「キューティーハニー」)

*ストーリー
スラムキングの息子、ズバ蛮は要衝外界空港を任されていた。逞馬軍の襲撃に見せかけ、物資を横取りするズバ蛮。言い訳のため逞馬軍の黒鷲砦を落としてみせるズバ蛮。
その頃、関東に置き去りにされたフラッシュとミスティはミッドタウンで身堂竜馬の双子、身堂虎之助と会い、フラッシュは虎之助に拉致される。
ズバ蛮はあえて、黒鷲砦の黒部を殺さず、敵味方の死体を奪い、外界に売る。
逞馬軍は、その報復に猛将、海堂猛志を送り出す。両軍入り乱れる戦闘の中、スラムクイーンは第3の勢力が現れるのを予知する。

*結末(ネタバレあり)+解説
第3の勢力は天馬三郎だった。黒龍砦を落とした天馬三郎に、バイオレンスジャックの存在を感じ取ったキングはバイオレンスジャックを倒しに向かう。1対1の戦いの中、クイーンに導かれズバ蛮が天馬三郎を倒しに参戦する。かろうじて黒龍砦を取り返したキングだったが、黒龍砦以南が天馬三郎の勢力下となってしまう。

ついに関東三国志の幕開けです。
やっと海堂猛志が再登場しました。
筆者としては、どうやって逞馬軍に入ったのかのエピソードを読みたかったです。
また、ズバ蛮の過去と、これ以降の伏線として、身堂虎之助が登場しました。

骨法編(36〜37巻)*ゴラク版

*主な登場人物
バイオレンスジャック
スラムキング

日野火美子(スラムクイーン)
夢彦(*「骨法伝説夢必殺拳」)

*ストーリー
関東地獄地震直後、予知能力を持つ少女、日野火美子は武道、骨法を使う青年、夢彦と出会う。1年後、心霊治療もできる火美子は街の者達に担がれ、その街、新邪馬台国の女王となった。できたばかりのドラゴンで関東を制圧し始めたスラムキングは、新邪馬台国の噂を聞き、侵攻する。

*結末(ネタバレあり)+解説
敗北を予知した火美子は夢彦に二人だけの逃亡を提案するが、夢彦は拒否する。善戦虚しく蹂躙される新邪馬台国の住人達。雑魚を蹴散らし、自分を迎えに来る者に従うと誓う火美子。なぜかバイオレンスジャックが現れ、火美子の覚悟を問いただす。火美子を迎えに来たのはスラムキングだった。火美子はスラムクイーンだったのだ。

夢彦とジャックの会話で、ジャックが見える者は「関東を動かす者」、そして、ジャックの牙が見える者は「暴力を欲している者」と物語の核心につながるセリフが出ました。
また、当時、流行っていた格闘技、骨法を大々的に取り上げていますね。
エピソード最後に出てきた、夢彦は生きているは後に繋がります。

九龍編(37〜38巻)*ゴラク版

*主な登場人物
バイオレンスジャック(女も)
ズバ蛮(*「ズバ蛮」)

ドラゴン九龍隊(以下九名)
ジンメン(*「デビルマン」)
シレーヌ(*「デビルマン」)
サイコジェニー(*「デビルマン」)
帳火龍
幽鬼丸
ガムジー
丁童
シンバ
ジェロニモ

*ストーリー
ズバ蛮はバイオレンスジャックを呼び寄せる暴力を起こすため、自らの配下で、外人超能力者達のドラゴン九龍隊を街に呼び出す。街に現れたジャックと九龍隊の死闘が始まる。その頃、スラムクイーンは女の姿のジャックが助太刀しないように天馬の元へドラゴンを侵攻させる。

*結末(ネタバレあり)+解説
数々の九龍隊の攻撃を退け、ジャックは行方不明になり、その街は地震と噴火に見舞われる。また、天馬はドラゴンの侵攻を防いだ。

「デビルマン」のパロディキャラが出てきたり、かなり超能力バトル漫画と化してしまった本編。いわゆるバイオレンスジャック本体と、よく鳥の姿で語り掛けてくる超常的な存在、そして、女の姿のジャックと、どこまでが一緒で違うのか、よく分からない‥

身堂編(39巻)*ゴラク版

*主な登場人物
バイオレンスジャック(少年も)
早乙女門土(*『ガクエン退屈男』)
身堂竜馬(*『ガクエン退屈男』)

身堂虎之助(*「学園タイクツ男」)
フラッシュ(*「キューティーハニー」)
ミスティ(*「キューティーハニー」)

*ストーリー
門土と旅する竜馬は門土の死を思い出しかけ、虎之助の見ている光景を見そうになっていた。
フラッシュを探すミスティは外道街の奴隷市へ向かう。同じく外道街についた門土と竜馬は外道かいの岩尾という男と出会う。二人を知っているという岩尾の言葉に竜馬は過去を思い出しかける。その頃、虎之助は竜馬を殺しに来て、岩尾と出会い、岩尾は思い出した過去を少年の姿のバイオレンスジャックに語る。

*結末(ネタバレあり)+解説
岩尾が語るには、黄金都市の地震後、岩尾は門土の首を掴んでいた竜馬を助ける。竜馬は門土の首を焚き火に焚べた後、焚き火で自分の顔を焼いた。その後、竜馬は二つに分裂し、顔に火傷を負っている方といない方に分かれた。そして、元気な門土の姿があった。虎之助は並行世界の黄金都市後の竜馬だった。竜馬の存在を許せない虎之助は、竜馬に決闘を挑む。ドッペルゲンガーを殺した後を危惧したジャックは二人の決闘に水を差し、二人が同一人物である事を告げる。それを認識した二人が一つになる時、身堂の超能力で作られていた門土が消滅する。それを嫌った虎之助は自身が竜馬とは完全な別人と思い込む事により、門土を復活させる。虎之助の元にフラッシュは残った。

やっと、語り明かされる死んだはずの門土の謎。しかし、並行世界にまでしなくても、竜馬が超能力で門土を作ったでいい気もしますが‥ 並行世界となると黄金都市編以降の二人が出てくるエピソードは別世界の話という事になってしまう気が‥

また、なぜか少年の姿のジャックがいつもの子供くらいから、高校生くらいの見た目に成長しています。結局、このエピソードだけでしたが‥

超高層の悪魔編(40巻)*ゴラク版

*主な登場人物
バイオレンスジャック(少年も)
早乙女門土(*『ガクエン退屈男』)
身堂竜馬(*『ガクエン退屈男』)

身堂虎之助(*「学園タイクツ男」)
フラッシュ(*「キューティーハニー」)
ミスティ(*「キューティーハニー」)

*ストーリー
門土と旅する竜馬は旧新宿の高層ビル街へと潜入する。そこは亡霊達の支配する墓場だった。黄金都市の住人達が竜馬迫る頃、門土は本物の門土の亡霊と出会い、合体される。本物の門土を認めたくない竜馬は門土と戦う。

*結末(ネタバレあり)+解説
勝負は門土が勝ったが、竜馬は門土の肉体を消滅させる。逆ギレした竜馬は、虎之助と一つになり、ジャックを殺そうと襲いかかるが倒される。

最後、門土と竜馬が高層ビルに行かないシーンが描かれていたので、また、ジャックの力で行かなかった事にしたのかと思いましたが、ジャックのナイフに思い切り血が滴っていたので、今回は本当に倒したようですね。どちらにしろ、マガジン版から長々と登場していた二人が作中から退場になりました。筆者は虎之助が、フラッシュのおかげで更生していく話が見たかったですが‥ 結局、門土と竜馬は敵役なのですね。

ここで死んだ門土のセリフで、関東は異常だ、その中心にバイオレンスジャックとスラムキングがいる、というものがあったので、この時点で結末はできていたのでしょう。

ジャンヌ編(40〜42巻)*ゴラク版

*主な登場人物
バイオレンスジャック(女と少年も)
スラムキング
スラムクイーン
ズバ蛮(*「ズバ蛮」)
ジャンヌ(*「ズバ蛮」)
大倉波太

逞馬竜
黒部(逞馬軍黒鷲の砦の大将)
海堂猛志(逞馬軍)
野田五郎 通称ゴロ(逞馬軍)
ブンタ(逞馬軍)
天馬三郎

*ストーリー
ドラゴン百鬼隊に入った大倉波太は、ズバ蛮の姉、ジャンヌに気に入られ、その世話係になった。ジャンヌは幼少のトラウマから心は幼児のままで、力は父スラムキング譲りの怪力だった。たまに過去を思い出し暴れるジャンヌを波太は愛の力で止めます。その頃、キングは逞馬竜を叩き、ズバ蛮も巻き込むべく行動を開始した。フェリーで海堂猛志の砦を襲うドラゴン。海堂は砦を捨てて、ズバ蛮の守る外界空港へと向かう。砦の囮となりゴロ死亡。

*結末(ネタバレあり)+解説
黒部の黒鷲軍と合流した海堂は、ズバ蛮の逃げた外界空港を奪取する。外界空港でキングのドラゴンを迎え撃つ海堂。その後、ズバ蛮の仕掛けた罠に嵌り、海堂は外界空港を見捨て逃亡する。キングと逞馬軍本体の戦いとなり、双方、痛み分けとなる。
その頃、ジャンヌと結ばれた波太は砦から逃げ出していた。

ジャンヌの話と並行しながら、戦国ものの合戦が描かれる本編。初期からのレギュラーのゴロが戦死しました。ジャンヌちゃん、これ以降出てこないのが寂しいです。

炎の魔人編(42巻)*ゴラク版

*主な登場人物
バイオレンスジャック(女と少年も)
スラムキング
スラムクイーン
炎魔(*「ドロロンえん魔くん」)

*ストーリー
ある日、炎魔と名乗る男が魔王城に訪れる。最近、関東に妖怪が出現するのはスラムキングの心の病が原因だという彼は、妖怪退治が治療法なので退治してやると話す。キングから報酬をもらい二人の仲間と妖怪退治をする炎魔はジャック達と戦う。

*結末(ネタバレあり)+解説
炎魔一味と3対3で戦うジャック達。勝利ののち、キングの心の病は治る。

「ドロロンえん魔くん」から炎魔と雪子姫、カッパエルが参戦。カッパエルが雪子姫をクンニしているのがエロいですね。話としてはキングの超自然的な面の話。そして、キングがうなされて怪物(龍っぽい姿)に変身するのを冷めた目で見ている飛鳥了。いよいよキングと飛鳥了の正体の伏線が描かれ始めました。

逆襲ハニー編(43〜45巻)*ゴラク版

*主な登場人物
バイオレンスジャック(女と少年も)
如月ハニー(*「キューティーハニー」)

スラムキング
スラムクイーン
飛鳥了(*『デビルマン』)
牧村美樹(*『デビルマン』)
結木夢彦(*「骨法伝説夢必殺拳」)

*ストーリー
前回の関東への侵入から1年後、如月ハニーは傭兵を雇い、兄、飛鳥了を救出すべく、再び関東に侵入した。ハニー達7人だけでなく、外界から軍隊を雇って行動するハニー。逞馬竜と同盟を結び、魔王城に攻撃を仕掛ける逞馬軍とハニー達。戦闘の隙に魔王城に侵入するハニー達。戦力不足を補うため、逞馬竜は天馬三郎と同盟を結ぶ。地雷などで劣勢になった逞馬軍だったが魔王城の司令室を奪ったハニー達により、形勢は逆転する。その頃、クイーンがキングの前に立ちはだかった。

*結末(ネタバレあり)+解説
ハニー達が司令室を奪えるように導いたのはクイーンだった。クイーンは夢彦を招き入れる。夢彦とキングの決闘の最中、ハニー達はことごとく魔王城の罠にかかり絶命する。戦場では天馬軍が参戦し、ドラゴンの軍勢は劣勢になった。夢彦とキングの決闘は、クイーンが加勢したにもかかわらず、キングの勝利となった。夢彦の首を持ちクイーンのところにいったキングに、クイーンはなめし針での攻撃を試みるが跳ね返され、絶命する。自爆装置が作動し、崩壊する魔王城。「あなたを愛する者が待っている」というクイーンの最後の予知を受けて、人犬を連れ、魔王城を脱出するキング。全滅したハニー達が光になる姿を見たブンタと逞馬。キングを愛する者として待っていたのはジャックだった。二人の決闘が始まる。戦いの最中、ジャックを庇い絶命する人犬の二人。勝負はジャックがキングの首を切り落として終わった。犬の姿に変貌する人犬の美樹。キングの首が不気味に目を見開いていた。

急展開ですな〜
「ハニー編」の時、震災後6年だったはずですが、この「逆襲ハニー編」では関東に残されたフラッシュとミスティが1年もほっといてと言っているので辻褄が合いませんが‥ 逞馬竜の成長ぶりからクイーンの10年間耐えていたの発言の方が正しい感じがしますね。つまり震災後11年。あっという間に天馬軍と同盟を結んで‥ 結局、天馬三郎はけいこ先生を殺された後、目の刺青とか急にしているし、もう少しここに至るエピソードが読みたかったです。この章が最終章なのは特に違和感はないですが、途中のエピソード欲しかったですね。
あと、人犬の美樹ちゃんが絶命して、普通の犬に変わるのは意味あったんでしょうか‥

蛇足ですがストリップの演目として「けっこう仮面」が出てきます。

魔王編(45巻)*ゴラク版

*主な登場人物
バイオレンスジャック(女と少年も)
スラムキング
飛鳥了(*『デビルマン』)
ズバ蛮(*「ズバ蛮」)

*ストーリー
陥落した魔王城後で、スラムキングの死を喜ぶズバ蛮だったが、復活したスラムキングに首を刎ねられる。なぜ復活したのか自分自身でもわからないキングに「おまえを生き返らせたのは私だ」という声が聞こえる。

*結末(ネタバレあり)+解説
声の主は人犬の飛鳥了だった。私はおまえだと語り、本来の天使の姿を表すサタン。キングが巨大化し、ズバ蛮の首が腹に合体する。その正体は魔王ゼノンだった。「真の魔王」とはサタンのことだった。サタンは再生させた関東で自身の後悔から、自分自身に厳しい試練となる生き方を与えた、それが人犬だった。そして悪の精神はスラムキングとなった。ハニー達が自分を救ったなら天使の心を取り戻し、負ければ魔神として復活し、この世界をもう一度「無」に返すつもりだった。ジャック達はサタンと同等の力を持つものとして、ジャック達を復活させたと言い、女の姿のジャック、子供の姿のジャックと合体し、姿が変わっていく。そして、デビルマン・不動明となったジャックは地球の上空でサタンと戦い、二人は抱き合いながら地球に落下していく。それから、100年後、関東の行政長官となった逞馬竜は黄金都市の黄金がもたらした復興などを思い出していた。

あちゃー デビルマンだったんかーいというラストでした。
もう少しリアルな戦国時代ものを読みたかったですが、途中から、かなり超自然的になっていったので、しょうがないですかね‥

感想

ともかく新しかった。
大地震後の無法地帯を描いた漫画は初めてであり、その暴力描写にビックリしました。
後々、漫画「北斗の拳」を読んだ時は、この「バイオレンスジャック」を思い出しました。
後の考察で触れますが、人質ごと首を刎ねるシーンや人犬などトラウマ級のてんこ盛りです。

また、「週刊漫画ゴラク」版では、どんどんと説明文がなくなり、心理描写や抽象的な描写も増え、最近の漫画に繋がる新しい表現が斬新でした。
そして、当初ほのめかされていた「関東三国志」的な合戦者になっていくかと思いきや、衝撃のラスト!
半ば、パターン化してきそうになりましたが、一気に畳みましたね。
そして、早乙女門土のエピソードなど、一旦連載が途切れたマガジン版からの繋がりは、有耶無耶にされるのかと思いきや、ちゃんと「なぜ?」に答えてくれました。

もう少し合戦ものを読みたかった気もしましたが、これで良かった気もします。

考察

ここでは例の結末などを語ります。

時系列

電子書籍で手に入るなどから完全版をお勧めしていますが、時系列的には過去の掲載雑誌である、少年マガジン→月刊マガジン→漫画ゴラクの順で考えて貰うのが大変分かりやすいです。
また、大まかな年代はマガジン編が震災と震災から1年後をメインに2年後くらい?(「黄金都市編」)までで、ゴラク版が主に6〜7年後となっています。
6年後くらいには一部の人間はヘリなどで出入りしている状況に変わっています。
スラムクイーンが、最後に10年間耐えてきたと語っているので「逆襲ハニー編」で震災後11年くらいでしょうか。

過去を思い出している話もありますが、ゴラク版は連載時の掲載順序が一番、理にかなっていますね。一部の例ですと「ハニー編」で魔王城がハニー達の爆撃で破壊され、そのせいで新しい魔王城を建設しますが、「アイアンカイザー編」を「ハニー編」より前に持ってきたので、「アイアンカイザー編」の魔王城の建設シーンが意味が分からなくなってしまっています。

以下、くどいですがゴラク版の連載順序。
ドラゴンの砦編→黒の森編→関東地獄街編→死神警察編→ハイパーグラップル編→学園番外地編→野獣王国編→鉄の城編→奴隷農場編→ハニー編→天馬編→骨法編→ズバ蛮編→身堂編→アイアンカイザー編→陽炎編→九龍編→超高層の悪魔編→ジャンヌ編→炎の魔人編→逆襲ハニー編→魔王編

*もし紙の本でないとダメな方は、マガジン版とゴラク版を別々に購入されることをお勧めします。特にゴラク版は各エピソードごとに1〜2冊にほぼまとまっていて、読みやすいです。

暴力描写

*非情階段(ひじょうかいだん)
関東地獄地震の時、逞馬竜は学校の校舎から逃げ出すために非常階段を使い、逃げようとします。同じように考えた他の生徒も非常階段を使おうとしますが、その時に地震の大揺れがきて、非常階段はちぎれて、生徒達は地面に叩きつけられてしまいます。その光景がさながら屋上から飛び降りた人間達のように凄惨な光景になったので、作中では非常階段ならぬ「非情階段」だと書かれています。(本当に死んだ生徒達の死体がグロいんですよね‥)

*人質ごと首を刎ねる
冒頭の「関東スラム街編」で、ヤクザが逞馬達に対して、同じ子供の人質をとった時、バイオレンスジャックが、その子供の首ごとヤクザの首もジャックナイフで刎ね飛ばしました。その迷いの無い非常さに、ヤクザ達が怯えて逃げて行くというシーンは「バイオレンス」というタイトル通り「暴力とは?」という事を考える上でもトラウマ級の衝撃でした。

*人犬(ひといぬ)
とにかく酷い‥
よくこんな事思いつくなというのと、それを漫画で表してしまった永井豪にビックリでした。
僕ら世代にとっては「デビルマン」以来、永井豪の作品はイケナイものを初めて見る作品になっています。

書くのもはばかれますが、人犬とは、スラムキングが見せしめのため、両腕、両脚を肘、膝から切断し、犬のように4足歩行するようにし、騒いだりできないように舌も切断して喋れなくした者をいいます。
本当に鎖で繋いでいるし、全裸なのが痛すぎる‥

→土佐犬
しかも人犬にしただけではなく、作品中では闘犬の土佐犬の雄に、人犬にされた牧村美樹がレイプされるシーンがあり、文字ではなく、本当に漫画で描いていたので、連載雑誌を読んだ時には言葉を失いました‥

ちなみに電子書籍版20巻「黒の森編」の冒頭に出てきます。

*人間ダーツ
「関東鬼相撲編」では、服を破り全裸にした女子校生を木に吊るして、ダーツの的がわりにします。この女の子、仲間の首吊り死体を見て、その後に複数人にレイプさせそうになると舌を噛んで自殺します‥
書いてて嫌になってくる展開ですね‥

この人間ダーツは「ハイパーグラップル編」でもでてきます。

映画「マッドマックス」のような世紀末感

正確には「マッドマックス2」ですね。
大地震後の無法地帯を描いたのは、本当は戦国ものの漫画を描きたかったが、あまり人気がないので、編集部のゴーが出ないから、仕方なく、このような設定にしたと後のインタビューで永井豪が語っています。流石に現代の日本では戦国時代のようなものを描くにも、社会的に無理がありますもんね。
ちなみによく言われる漫画「北斗の拳」はバイオレンスジャックの影響ではなく、映画「マッドマックス2」の影響だそうです。但し理由は似たような感じで、連載前のプロトタイプの「北斗の拳」は現代が舞台でしたが、武論尊が原作を描くことになった時、現代が舞台だと拳法で殺しあったりするのにリアリティが無いから、核戦争後の無法地帯という設定にしたそうです。

デビルマンの続編

色々な永井豪の過去作品の登場人物が出てくる中、なんと最後は「デビルマン」の続編であったことが判明して結末を迎えました。(すごいオチですな‥)
バイオレンスジャックの正体は、「デビルマン」の不動明だったのです。
飛鳥了は、そのままサタンでした。
スラムキングは一部、サタンの意識ですが、ズバ蛮と合体して魔王ゼノンとなりました。
個人的には「あの時の感動を返せ〜」と思ってしまいましたが、まあ、人類滅びなくて良かった、という感じでしょうか‥
前作「デビルマン」で滅んだ人類はサタンの神の力(創造力)により、復活する。
しかも不動明には、サタン並みの力を与えて。
本人は贖罪のために「人犬」となり苦痛を味わう。

いわゆるパラレルワールドや、やり直しの世界の元祖の作品となりました。
そういった意味でも永井豪の後のクリエイターに与えて影響って凄いと思いました。

パラレルワールド

今でこそ、ラノベなどのネタとして、ありふれていますが、この頃は新鮮でした。
作中の話や時系列は特に矛盾はありません。
ただ、「デビルマン」では人類は滅亡してしまっているので、その世界観のパラレルワールドです。

バイオレンスジャックの能力

最初は怪力とスピードが凄い、格闘漫画のキャラの様でしたが、なぜか歩いていると地震が起きたり、不思議な能力を見せるようになりました。
以下、段々と進化していった能力の一覧です。

地震を起こす。
幻覚を見せる
亜空間で人の体を治療し、別の場所(関東の外)へテレポートさせる。
亜空間を作り出し、ゾンビを元の姿に戻して殺す。
光の鳥を飛ばし、求める者を自分の分身にする
地震で出れなくなるような隙間に入る
精神体として10メートル以上の巨体になる
相手の精神の「魔」からの侵入路を閉ざす
瞬間移動する
全身から光の鳥を飛ばして攻撃する
目が潰れても、再生し服装もいつものものに変わる
地割れを起こし、建物を崩壊させる
超能力者の念動力を弾き返す
体に回った毒を1箇所に集め、内部から弾き出させる
切られた腕で人の頭を握り潰す
大地からの力で切られた腕や抉り出された内臓を復活する
噴火を起こす

ざっと、これくらいです。

3人のバイオレンスジャック

作中にはバイオレンスジャックの分身(?)として、女の姿のジャックと少年の姿のジャックが出てきました。
以下、その能力などです。

また、この3人ではないですが、鳥の姿でジャックに忠告したりする長老(?)のような存在もいます。

*女の姿のジャック
ジャックの周りを飛ぶ、光る鳥に姿を変える。
身に纏っていたマントの形を変えることができる。
サメに変身させたり、定番は鞭にして攻撃するパターンである。
性格は情の深い女性のよう。

*少年の姿のジャック
ジャックの周りを飛ぶ、光る鳥に姿を変える。
飛行していると呼べる様なジャンプをする。対空時間が長く、空中で方向転換する。
また、常人では引けないパワーを誇る弓矢を引く。
性格はいたずらっ子の様である。


以上が考察でした。

アニメ

OVA全盛期に3作がアニメ化されました。
1作目はアニメオリジナルストーリー(ハーレムボンバー編)、2作目は関東地獄街編、3作目は地獄の旋風(ヘルスウインド)編のアニメ化でした。2作目と3作目は大体スタッフが一緒なのですが、筆者個人としては2作目の完成度が高過ぎで、なぜ3作目でジャックの声優を変更したりしたのかが不思議でした。
ちなみに2作目のジャックの声はルパンの次元大介の声でお馴染みの小林清志さんでした。
なぜか3作目では悪役のダンテの声をされています。
2作目の関東地獄街編は、尺の長さ的にも原作が短いので、無理なくアニメ化できていました。また、発売元がアダルトビデオも手掛けているところでしたので、アダルト描写も手抜きせず、原作よりも抽象的にするところはうまく抽象的に表現して、しょぼくないエロに完成されていました。また、悪役のマッドザウルスの声が青野武さんでしたので、いい意味で変態っぷりが最高でした。是非ともDVDを再販するか、リマスターしてBlu-rayで発売して欲しいです。

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