#32 登山から考える山の持続可能性~環境とレジャー~
こんにちは、GTです。
最近ほぼ初めての登山で「金時山」という山に登ってきて、そこでいくつかの観点から持続可能性について感じたこと、考えたことがあったので、それについて書いていきたいと思います。
金時山の概要
「金時山」は、神奈川県と静岡県を跨るところに位置している山です。日本三百名山の1つに数えられていて、山頂からは天気が良ければ富士山を見ることができます。(行った日は残念ながら霧がかって山頂からは何も見えませんでした)
金時山には金太郎伝説が残っていて、山頂にはまさかりが置いてあって記念撮影スポットになっていたり、登山コースの途中に金太郎が幼少期に遊んだとされる岩があったりしました。
人気のハイキングコースになっていて、登山者数は年間で10万人近くいるようです。
環境面での持続可能性
1つ目の持続可能性は環境の観点です。
山頂には公衆トイレが設置されていましたが、そこのトイレは「バイオトイレ」と呼ばれる方式のものでした。バイオトイレとは、簡単に言うと排泄物を微生物の力で分解して肥料として利用できるように処理するものです。
通常私たちが使っているトイレは水洗式と呼ばれるもので、排泄物を水を使って流して下水道でまとめて浄化処理しいています。
でも山頂には水がほとんどなければ下水道に繋ぐのも大変です。かと言ってトイレがなくその辺で用を足す人が多いと排泄物による環境汚染に繋がります。
バイオトイレは排泄物を直接微生物で分解するので、水を使わずに済むのと下水道に接続する必要もありません。
山の環境を守ることと、山頂の制約条件をクリアすることを両立させる方法としてバイオトイレが採用されているということだと思います。
ただし、バイオトイレを設置するにも維持管理していくにも当然お金がかかるので、利用料金として100円を支払う形式となっています。
レジャーとしての持続可能性
2つ目の持続可能性はレジャーの観点です。
金時山は自然はさることながら、年間10万人近い登山者がいるレジャースポットとしての側面もあります。どのようにレジャーとして持続可能にしていくか、いくつかの工夫がされている点と同時に課題もあるように見えました。
まず工夫がされている点としては、マネタイズを図ろうとしている点です。
上で挙げたバイオトイレも利用するのに100円を支払う形となっていて、必要となる費用を賄うために受益者負担で利用料金として徴収されています。見ている限りではちゃんと100円を払っている人が多く見受けられたので、登山者のモラルの高さにも支えられつつ仕組みとしては回っているように思います。(100円の支払いはトイレ入口にある小さな賽銭箱みたいなものに入れる形式でした)
他にも、山頂のお店では名物メニューを打ち出していて、せっかく山頂まで登ってきたから食べて帰ろうという雰囲気づくりができています。具体的には、なめこ汁やしめじ汁、金太郎にちなんだ「まさカリーうどん」といったものがあります。昼食はコンビニで買って持参していましたが、せっかくなのでとまんまと術中にはまってしめじ汁を食べました。
課題として感じたのは、もっとマネタイズが図れるんじゃないかという勿体なさです。名物メニューはあって盛況でしたが、店のスペースで座って食べることが前提になっていました。なので、盛況であることの裏返しとして、混んでいて座れないと諦めて食べない人もいるということです。「まさカリーうどん」はともかくとして、なめこ汁やしめじ汁は立ったままで食べることは難しくなく、大鍋で作っておいたものを食器に盛って提供する簡単なオペレーションで回すことができるはずなので、立ち食いというオプションを増やすことで売り上げは確実に上がるでしょう。
さらなるマネタイズの必要性を感じたのは、登山道の整備です。特段の悪い部分というまではなかったんですが、簡易的に板で補強している階段は板が割れていたり、板を固定する金属の棒が露出していたりしているところが少なくありませんでした。また、休憩スペースとして表示されていたところにはボロボロの机と椅子が置いてあって休憩できるようなところではなかったりと、登山体験を高めるための改善ポイントは少なからずあったように思いました。
そして、それを実際に行うためにはお金が必要で、どこでマネタイズするか、そのマネタイズをどう最大化するかは重要な観点だと思います。
富士山でも山梨県側からの入山料が必要になるなど、環境を維持するためのマネタイズの在り方が変わってきているように思います。
入山料を徴収するようにすると、登山客が減少する方向になったり、徴収しているかの管理コストが必要になるので、下手するとマイナスになる可能性もあります。あとは(無視すればいいと思いますが)有料化に対する批判も起こります。
上でも書いたように登山客はモラルが高い人が多いと思うので、使途を明確にして示した上でPayPayで寄付を募るというやり方もあると思います。登山ルートの入口や途中、山頂にQRコードを配置するようにしておけば、徴収にかかるコスト(人件費)もほとんど発生しないでしょう。そして、モラルが高い登山客は比較的高い割合で寄付してくれるのではないでしょうか。
また登りに行きたいと思うくらいに好きになった山なので、持続可能な形で登山がし続けられることを願うのと、個人としてそこに何らかの貢献ができるとよいなと思います。
ではでは、また次回お会いしましょう。