三浦大知から学ぶ、「男は顔ではない」という真理。
某有名掲示板・5chの有名な荒らしに、「顔デカスクリプト」と呼ばれる人物がいる。
それは5chが匿名掲示板であることをいいことに、スクリプトを使って名前欄や本文にでたらめな文や顔面損壊画像へのリンクを書き込み、人々が集まるスレッドを埋め立ててしまおうとする悪質な行為を働く人間であるが、ある日それへの対策法を考えていた5chの住民たちは、彼が名前欄に「顔デカ」という文字は決して使わないということに気付き、名前欄に「顔デカ」という文字を表示させ、他を非表示にすることで対策とするとともに、その文字を荒らしが使えないことを「顔が大きいことに強いコンプレックスがある」「貼るグロ画像が顔面損壊画像ばかりなのは自分の顔が大きいというコンプレックスから」とプロファイリングまでされてしまい、一躍笑い者にされることとなった。
今までの悪事の分だけ笑い者にされるのは因果応報というべきだが、こうもあからさまだとほんの少しだけ哀れにもなるものだ。
そんな前置きはさておき、本題に入ろう。
世の中、「男は顔」と言われることがしばしばある。顔が整っている人間であれば人間関係から就職まですべてが上手く行き、順風満帆な人生を歩めるし、顔が悪ければその逆、どこまでも底辺として落ちぶれていく人生以外を許されない、という言説である。
これは主に男性の外見を評論する立場である女性以上に男性からよく聞く言説で、実際にその通りなのかどうかはともかく、非モテの男性の間ではこれが唯一にして絶対の真理であるかのごとく語られるようになっている。
だが、この言説に真っ向から対抗する人間を一人、私は知っている。それが「三浦大知」だ。
三浦大知とは言わずと知れた名ありのシンガーの一人で、歌が上手いだけではなくダンスもお手の物、文字通りの「歌って踊れる」ミュージシャンとして人気を博す、今をときめく名アーティストの一人だ。
そんな三浦大知の話をなぜしようと思ったかというと、私は最近別件で「8番出口」というゲームについてネットで情報を調べていると、なんと三浦大知がこのゲームの実況をしていたことを知り、驚いた私は自分の持っている旧ツイッター(X、以下ツイッター)のアカウントで次のようなツイート(現ポスト、以下ツイート)をした。
文章が子供っぽくて申し訳ない。一応ツイッター上では周りに合わせてやや幼げなキャラを作っているので、このような口調になってしまうのである。
ともあれ私はこれを単なる感想として書いたつもりだったが、不思議とこのツイートはどんどんといいねが増えていき、最終的には140手前に迫るいいねを獲得した。
これに気をよくした私は、後日さらにもうひとつ三浦大知のツイートをしてみた。
するとこちらは先のツイート以上に伸び、インプレッション(表示回数)がなんと1万を突破するほどになった。
断っておけば、私のアカウントは超零細アカウントだ。普段から適当にツイートをしてもいいねがひとつもつかない事はザラにあり、インプレッションも20やそこらが普通というほどの底辺アカウントである。
それがいきなり、1万を超えるインプレッションである。私の他のツイートでここまで注目されたものを、他に私は知らない。
私は驚くとともに、こんな零細アカウントもここまで注目させる三浦大知の隠れた人気を知ることとなった。おそるべし三浦大知パワー!
そうして三浦大知の秘める可能性を知った私は、では一体私のツイートにいいねをした人は誰なのだろうと、いいねを押した人の内訳を調べてみた。
すると、主婦を中心として明らかに女性と思われるアカウントがその大半を占めていた。要するに女性がいいねを押した人間の大半なのである。
正直なところ、私は三浦大知の女性人気については考えたこともなかった。何しろ、――誤解を恐れずに言えば――三浦大知はミュージシャンの中でも歌は抜群に上手いが、美貌には恵まれていない。
そのため人気もマニアックな部類にあたるし、女性の人気も出にくいものだと思っていたからである。
それがこの、女性からの大量のいいねである。女性人気が低そうという認識はこの瞬間に覆され、地味ながらも女性の人気を集める名アーティストとして私の三浦大知への認識は転換された。
では一体なぜ三浦はそれほどまでに女性人気があるのか?女性の人気を集めるものといえば、たいていは美貌だ。一般的にイケメンと呼ばれる層は女性からの人気を集めやすい。
テレビドラマに出ている若い役者などがその典型で、高身長ですらりとした体型と甘いマスクを持つ男性陣がイケメンとして女性の人気をかっさらう中、低身長で小太り、クラスの隅で一人ラノベを読んでいるような「イケてない」男性などは女性から見向きもされないのが当然である。
それが三浦大知は違う。顔はイケてないのに、女性からの人気はむしろ十分に獲得しているのである。その不文律から脱せる理由はなぜか。
ここでは、なぜ三浦大知はそこまで人気なのかという人気の理由を探るとともに、女性が本当に男性に求めているものは何か、そして女性に人気になるということの条件とは何かということを探っていきたいと思う。
才能の塊・三浦大知の強さと弱点
三浦大知といえば、まだ弱冠12歳にして「Folder」という子供音楽グループのボーカルを務め、主に子供番組で人気を博していき、Folder解散以降もソロとして順調にキャリアを重ね(初アルバムがわずか18歳!)、コンスタントに新作アルバムやライブツアーも出し、最近ではゲーム実況も執り行うなど、活動の幅を広げつつ、20年以上の活動を通じミュージシャンとしてその名声を高めていった人物である。
彼には様々な才能がある。歌が上手いのは当然として、音楽活動の中では作詞・作曲も一部こなせるし、ダンスも上手い。特にダンスの上手さは特筆すべきもので、たいていのミュージシャンがダンスのセンスには恵まれない中、彼は自らそれをライブやミュージックビデオで披露してみせ、そのたびに観客を魅了する。歌も上手いし、ダンスも上手いという部分で、海外の名ミュージシャンであるマイケル・ジャクソンやアッシャーを連想する人もいるだろう。
だがそんな三浦大知にもひとつだけ弱点がある。それはたったひとつだけ、
「顔」である。
いや、人によって顔の評価などはさまざまであるし、あまりこの部分をつらつらと書き連ねるとルッキズムにあたるし、三浦氏にも失礼なので、彼の顔について問題をここで書くようなことはしない。だいいち私自身も他人の顔についてとやかく言える立場ではない。だから彼女も持ったことがないのだし。
だが、とりあえず一般的な観点で「イケメン」と言われる顔の特徴を挙げるなら、
・ぱっちりとした目
・薄い眉毛
・こけた頬
・尾翼が目立たない鼻
・凶器のように鋭利な顎
だいたいこんなところが挙げられる。この特徴を三浦大知に当てはめるのなら、なるほど確かにそれに当てはまっているとは言い難い。
あくまでも一般論として述べるなら、ミュージシャンというのは音楽の上手さだけにとどまらず、美貌にも恵まれていなければならないというのは鉄則となっている。
むろん例外はある。たとえば海外バンドでは美貌をウリにしていない層による成功したバンドが目白押しである。私の知っている限りではレッド・ホット・チリ・ペッパーズやボーイズ・ツー・マンなどだ。国内に目を向けてもadoのように顔出しをせずに売ったミュージシャンもいるし、サザンオールスターズなども美貌をアテにせずに売ったバンドのひとつだろう。
が、それでも国内ミュージシャンにとって売れる最大の要因は美貌である。
というのも日本の場合、チェッカーズから始まるアイドル文化の影響が非常に強く、たいてい音楽ランキングで一位をもぎとっていったり、歌番組に出演するミュージシャンは得てして美形ばかりである。
一時期は悪名高き握手券商法なども含めてアイドルグループであるAKBがランキングを独占していた時代もある。音楽番組では音楽を歌っているパートが人気なのではなく、ミュージシャンが喋っているトークのパートが視聴率が高く、歌を歌っているパートではむしろ視聴率が下がるという話は定説のように語られて久しい。
他に例を挙げれば、私が三浦大知と並んで好きな氷室京介がかつて所属していたロックバンド『BOOWY』でも、最初こそ男性ファンが大半を占めていたものの、末期になって人気が高まってくると女性ファンがボーカリストの氷室の美貌目当てに集まってきて、ギタリストの布袋が「女が氷室目当てにライブを見に来て、誰も俺のギターを聞いていない」とヘソを曲げ、それがギタリストの布袋がBOOWYの活動に飽きる原因のひとつ、ひいては解散の原因となったという話もある。
このことからも、日本人が音楽に求めているのは、むしろ音楽そのものではなく、アイドル的人気だということが分かる。
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