痔の痛さとオールストップの話

痔が痛い。痛すぎる。
3日前から突然痛くなってきた。切れではない、イボの方である。
座薬と軟膏を使っているが一向に良くなる気配がない。
年々酷くなっている気がする。

人によって痔のタイプって違うと思うのだけど、私の場合肛門付近に痔核があって、排便の際にそれがプリっと出てきてしまうので毎度押し込まないといけないタイプ。
押し込み過ぎて刺激が強すぎても腫れ上がるし、押し込みが甘いとカントン包茎みたいなシステムで外に出たまま鬱血してめちゃくちゃ痛くなる。
一度痔様の機嫌を損ねると大体2~3日は苦悶の日々が続く。
こうなると立っても座っても痛い。仕事はかろうじて行くが家に帰ってきたら家事の一切を父にパスするくらい動けない。
本当にひどい時は痛みからか熱が出る。
一番良い体勢はうつ伏せで静かにしていることである。

あまりに痛くて、このまま肛門科に駆け込んで即時手術をお願いしたい気持ちに毎度なる。もしくは自分で痔の根元を縛って壊死させてしまおうかという衝動に駆られる。どう頑張っても自力で痔核を縛るなんて体勢的に無理なのだけど。

数年に一度、痔の悪化と休日が重なるタイミングで肛門科に行って薬を貰う。3年ほど前に行った時に思い切って手術の相談をしてみた。が。
「この程度なら薬で治るレベルなのでまだ手術しなくていいです」

は??????嘘だろ??????????????
こんなに痛いのに?私生活支障出まくりなのに?
看護師さんに再度確認するも、だいぶ面倒くさそうに
「どうしてもって言うのならアレですけど、しなくていいんじゃないですかね」と言われ、逆に酷くて手術進めるレベルが知りたいと思ってしまった。

この病院には2回しかかかっていないのだが、診察初回に忘れられないエピソードがある。

肛門科にかかったことのある方はお分かりかもしれないが、診察の際に診察部位だけ丸く切り取られた布?紙?のようなものを臀部にかけられる。
確か診察まではその上から目隠しでタオルがかけられていて、診察される時はもちろんタオルは取られる。
もろに肛門だけバッチリ丸見え状態で診察されるのだが、先生はおそらく一人らしく、その状態で先生が来るのをしばらく待っていた。
診察室は横並びで複数あり、入り口は仕切られているが奥は先生や看護師さんが行き来できるように繋がった作りになっている、よくある病院の作りだった。
パンツを脱いで診察台に横になり、スタンバイ完了の患者から診察していく。隣の診察室にもおじいちゃんっぽい人が入ってきたな、と思ったらすぐに私の番が回ってきた。
診察開始から1分経つか経たないか、急に先生が
『オールストップ!!!』
と大きな声で言った。
え?え?何事?と思うと先生は隣の診察室に行ってしまった。

診察室に一人残される私。肛門丸見えの状態で。
隣から聞こえてくる会話で分かったのは、どうも隣に入ってきたおじいちゃんは大腸ガンの方のようで、出血があり急遽来院したらしい。
私に聞こえないように、診察中の先生におそらく看護師さんが状況を伝え、おじいちゃんの対応が最重要優先事項だと判断されたのだろう。
それは緊急事態だ、大変なことだ、とこちらも理解した。
後ろ(というかお尻側)で看護師さん達もバタバタ動く気配がする。

ただ、診察途中なので肛門丸見え状態で放置され、誰も私の臀部にタオルをかけてくれない。多分それどころではない。
そのまま10~15分ほど経っただろうか。
最初は「オールストップ!」なんてドラマみたいなことあるのか、とか妙に興奮したり、聞こえてくるおじいちゃんの状況に心配したりしていたのが、7~8分過ぎたあたりがら謎の心細さと「肛門ってこんなに外気に晒していいんだっけ?」とよくわからない不安感が出てきた。

先生はなかなか帰ってこない。
何この状況、おもろいけどどういう状況?後でネタにして話そう、そうそうある経験じゃないし、ところで肛門ってこんなに外気に晒していいんだっけ?普段パンツで隠れてる粘膜みたいな部位だけど大丈夫?タオル掛けようかなどうしようかな、勝手にタオル触ったら怒られるかな?とぐるぐる考えていたら先生がやっと戻ってきた。

その後診察再開したのだけど、それまでのインパクトが強すぎて正直覚えていない。

家に帰って家族に話すくらいで、他の人に話す機会を待っていたのだがそもそも他の人と痔の話をする機会が全くなかった。
そりゃそうだよね、みんな痔の話恥ずかしいからしたくないよね。
私はめちゃくちゃしたいけどね。痔の辛さ分かち合いたいもの。

日記に書くか迷ったけど、とりあえず書いてみた。
今の痔の痛さを紛らわすために書いてみた。
恥ずかしくなったら消します。
どうか明日には痔様のご機嫌が良くなってることを願っている。

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