![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/161321655/rectangle_large_type_2_fdf5e33d963ab922bdb87c0e6cf3b011.jpeg?width=1200)
東京国際映画祭2024 特別上映「千里江山図」
![](https://assets.st-note.com/img/1731161632-EkJKUFgn9mdZReYB7tDp4wQx.jpg?width=1200)
《只此青绿》は非常に特別な映画です。美しい衣装、美術、そして舞踊を通じて中国文化の美しさを表現しています。この映画を日本の観客に紹介できることを誇りに思います。
— 市山尚三 東京国際映画祭選考委員会主席 (画像中央部の訳文)
東京国際映画祭で特別上映された「千里江山図」(原題:只此青绿)
市山さんが仰っているとおり、とても素晴らしい・美しい・感動的な作品でした。
この作品を観に行こうと思ったキッカケは、中国版InstagramのようなSNS小紅書にお勧めとして流れて来たのを見て、ブルー系の衣装に乱れぬダンスはなに??となり、映画であることまでは理解し「観れる機会はないな。。。」で終わりました。
しかし映画祭の上映リストを全て確認すると「コレはもしやあの作品???」と直ぐに調べ、同じ作品であることが分かりました。
作品解説
北京の故宮博物院に収蔵されている北宋時代の絵巻物「千里江山図」にインスパイアされた舞踊劇「只此青緑」を映画化した作品。現代の研究者が900年以上の時空を超えて北宋時代の画家・王希孟の心に入り込み、中国十大名画のひとつと言われる「千里江山図」がいかにして創造されたかを目撃するというファンタジックなストーリーが、青緑色を基調とする美しいダンス・シーンとともに展開される。
一切のセリフはなく、字幕で解説が入り、冒頭では青年画家 王希孟は落款(署名や印章)を残さず10mにも及ぶ画を描き上げ、18歳の若さで亡くなったと。当時芸術家でもあった皇帝に彼の画は認められなかったなどが解説され、印章を彫る・作る過程をダンスで表現されスタートしていきます。
画に必要な布・墨・筆・顔料など、そして彼の創作過程が全てダンスで表現されています。
なぜ落款がない、なぜ若くして亡くなった、なぜ皇帝は認めなかった等、
どれも諸説ある中、ドラマティックにストーリー化し、VFXとダンスの融合による美しい映像美、流れる音楽もステキで、後半はずっとウルウルしていました。
私だけがこんなに泣けるのかな?とSNSで検索すると、同じように涙した方がいらっしゃり、また本国の方々も涙している映像もあって、胸を打つ非常に素晴らしい作品で、心から観に行ってとても良かったと思えた作品でした。DVDやBlu-rayで発売されたら、絶対欲しいと思っています!!
色々と気になり出し、帰りの電車で調べたところ、そもそもこの作品は舞台が先にあり、2021年8月に初演され、非常に人気を博し2024年4月には500回以上の公演、また2024年3月にシンガポール公演も行ったそうです。
まだ海外公演の計画があるようで、日本公演も計画にあるなんてAIが調べてくれました。来年来てくれたら嬉しいですね。王希孟を演じた张翰(チャン・ハン)さんの生のダンスを見てみたいです。
![](https://assets.st-note.com/img/1731226559-HKoCEaV6UFOBjx4nbJLctkY3.jpg?width=1200)
映画の元となっている千里江山図の詳細をご紹介します。
北宋時代の若い画家、王希孟によって制作された有名な青緑山水画です。この作品は、青緑山水画の代表作であり、現在は北京の故宮博物院に所蔵されています。
1. 作品概要
名称: 千里江山図(せんりこうざんず)
作者: 王希孟(おう きぼう)
年代: 北宋時代(1120年頃:日本は平安時代の後期から鎌倉時代初期)
サイズ: 幅 51.5 cm × 長さ 1191.5 cm
形式: 長巻形式の絵画
2. 特徴と技法
『千里江山図』は青緑山水画の技法を用いて描かれており、鉱物性顔料である石青や石緑を使って、鮮やかな青と緑の色彩が特徴的です。これにより、広大な山水風景に神秘的で華やかな雰囲気が生まれています。
色彩: 明るく鮮やかな青と緑が、山や川の自然美を引き立たせています。
構図: 幅広い視野で千里の景観を一望するような構図。雄大な山々、川の流れ、村落、田畑などが詳細に描かれています。
遠近法: 当時としては高度な遠近法を取り入れており、奥行きと広がりを感じさせる風景の描写が見られます。
3. 歴史的背景と評価
王希孟は皇帝宋徽宗のもとで画才を見出され、短期間で才能を発揮しました。『千里江山図』は、彼の数少ない現存する作品であり、その完成度の高さから、わずか18歳で描いたとは信じがたいほどの技量を示しています。
評価: 全体的に高い評価を受けており、中国絵画史上の傑作とされています。その色彩と広大な風景描写は、後世の画家たちに大きな影響を与えました。
伝説: 作品が完成後、王希孟は短命で世を去ったとされ、その死因には諸説があります。過労や病気、あるいは作品の内容や技法に関連した様々な説が存在します。
4.歴代皇帝の鑑蔵印
『千里江山図』には、後世の様々な皇帝たちがその所有を示す印を押したことで知られています。
乾隆帝(清朝): 乾隆帝(1711年 – 1799年)は清朝の第6代皇帝で、芸術品を愛し、膨大なコレクションを有していました。『千里江山図』にも彼の収集品であることを示す多くの印を押しており、その収集と鑑賞への情熱がうかがえます。
嘉靖帝(明朝): 明朝の嘉靖帝(1507年 – 1567年)もこの作品に関心を持ち、自身の印を押したことで知られています。彼も芸術と文化に深い興味を持っていた皇帝の一人です。
5.公開状況
『千里江山図』は、2017年に北京の故宮博物院で一般公開されました。この際、多くの来場者が詰めかけ、5時間待ちの行列ができるほどの盛況でした。その後、2022年には東京国立博物館で特別デジタル展「故宮の世界」が開催され、『千里江山図』の高精細デジタル映像が公開されました。この展示では、実物の展示ではなく、デジタル技術を駆使した映像で作品を鑑賞する形式でした。
デジタルでもいいので、私も拝見してみたいです!!