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球団ヒストリー81.雑誌掲載からのご縁

フリーライター根本賢一さんとの出会い

雑誌「baseball clinic」のライター根本賢一さんから取材依頼の電話を受けたときのことを、球団代表國本さんはよく覚えているという。
「釣りをしていて海の上だったんですよ。船のエンジン音がうるさくて、すごく聞き取りづらかった」そうだ。

前述したが、雑誌『Baseball clinic』での根本さんの連載”クラブチーム風土記”はまだ始まったばかり。鹿児島ドリームウェーブは第4回目の掲載だったという。(『球団ヒストリー78.知っていただくこと』参照)

当時のドリームウェーブと言えば、たった一度(2012年)だけ全日本クラブ野球選手権本戦に出場したのみ。しかもその本戦は初戦で敗退している。
特に有名であったわけではない。

なぜ、ドリームウェーブにお声掛けくださったのか。
ご本人にお話を聞くことができた。

「全日本クラブ選手権に出てましたよね?」
やはり、全国大会への出場も、チームを知ったきっかけの一つだったらしい。

しかし、全日本クラブ選手権に出るチームだけでも16チームはある。
その中でなぜ取材対象として挙がったのかというと、根本賢一さんが『早稲田大学スポーツビジネス研究所』の研究員であることがその理由の一つだった。

『早稲田大学スポーツビジネス研究所』

早稲田大学スポーツビジネス研究所(RISBResearch Institute for Sport Business-通称リズビー)のHPを見ると、研究概要に関してこういった記載がある。

従来からのスポーツ環境の変化により、様々な問題解決の社会的ニーズが高まっている。企業スポーツ・プロリーグ全体では独立採算の経営の必要性が叫ばれ、部活動の存続が厳しい学校教育の現場では校内施設の有効利用の問題が浮上している。

しかし、これらの問題は、単に市場原理に任せると、収益性の低さからスポーツ産業の土壌が育ちにくいため、解決には至らないのが現状である。

そこで、現在、産・官・民の相互協力の下問題解決が図られているが、そこに、スポーツ産業学会の中核的メンバーが揃っている早稲田大学が、調査・分析の面で加わり、企業・行政・民間が抱える問題への解決策を提供していく。
同時に、既存の問題解決だけでなく、総合型地域スポーツクラブやプロスポーツリーグ等の新たなスポーツビジネスモデル提言や、クラブマネジャー養成等の人材育成にも力を入れ、多方面からのスポーツ産業の研究を進めていくことについての社会的ニーズも大きく、これに応えることが本研究所の使命と考える。
本研究所で実施する研究は、大きく分けて以下の通りである。
・スポーツ産業に関するデータの収集・分析
・による地域振興・モデル検証
・スポーツを通じた新しいビジネスモデルの提言・検証・構築
・スポーツ産業における人材育成、それに伴うプロフェッショナルヒューマン ネットワークの構築

早稲田大学スポーツビジネス研究所HPより

スポーツビジネス。
スポーツに情熱を注ぐならばお金のことは度外視が美しい、という風潮は、まだ根強く残っている気がする。
しかし、本気でスポーツと関わるからこそ、先立つものは必要。
そこを無視していては、続けられるものも続けられず、才能が活かしきれずに終わるという話も後を絶たない。

社会人野球クラブチームにとっても、活動費の壁は永遠について回る課題である。

では実際に、全国のクラブチームはどのように運営しているのか。
そんなアンケート調査を、全国約270のクラブチームに対して行ったという。

その中で、運営に関し様々な取り組みを講じているドリームウェーブが目に留まった。「國本代表は広告代理店を経営されているし、いろいろな工夫をされていたので、掲載したら面白いかな」ということだったそうだ。

広がった世界

身近に前例のないクラブチーム運営に常に頭を悩ませていた國本代表。
根本さんとのご縁は、球団運営がより安定発展する糸口になった。

大きくは二つ。

ひとつは、第一回目の『クラブチーム運営勉強会』に参加したこと。
北は北海道から、全国大会に出場経験のある7チームが集まっての勉強会。2014年に和歌山で第一回が開催され、その後も少しずつ参加チームが増えながら2024年現在も続いているそうだ。
國本代表、この勉強会への参加は「非常に実りあるものでした」と話してくださった。
このことに関しては、後日別記事として記したい。

もうひとつは、『地域スポーツクラブの”法人格”を取得しよう!』という本の著者である谷塚哲さんをご紹介いただいたこと。
このころ國本代表は、球団の法人化に関してずっと考えていた。
法人化するということは決めていたけれども、はたしてNPO法人がいいのか、一般社団法人がいいのか迷っていたそうだ。
このことが、谷塚さんに相談する中で道筋が見え、2015年には一般社団法人として法人化している。

こののち、根本さんの推薦によって國本代表も『早稲田大学スポーツビジネス研究所』の研究員として名を連ねることとなる。
それによって、野球のみならず他スポーツ界に関する知見も大きく広がったはずだ。

そして出会いから10年がたった現在も、そのよき関係は続いている。



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