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球団ヒストリー12.「100回やっても勝てねぇ」
そのチームの力というのは、試合前のノックを見れば概ねつかめると感じるのは私だけではないはず。
ある公式戦。
クラブチームである鹿児島ホワイトウェーブは、企業チームとの対戦を控えていた。
これが初の公式戦ではない。
企業チームとの対戦も初めてではない。
しかし球団代表國本さんは、何度か目にしているはずの試合前のノックを見て愕然としていた。
「大人と子ども」。
打球に対するスピード、捕球送球の確実性。
どれをとってもはあまりにも違い過ぎた。
これが、毎日を野球第一に費やす企業チームか…
國本さんはそれを見て「猛烈に恥ずかしくなった」そうだから、その差はどれほどだったのだろう。
なんだか、そのいたたまれない心地でグラウンドを眺める姿が想像されて、胸がキュッと締め付けられるような気がした。
話は少しさかのぼる。
鹿児島ホワイトウェーブの初めての公式戦は2006年5月28日の第31回全日本クラブ野球選手権地区大会だった。結果は惜敗。
9回表までのリードを守れず、宮崎ゴールデンゴールズに1対2で敗戦。初陣は飾れなかった。
しかし6月には、第77回都市対抗野球大会九州地区予選で福岡ブラッサムズと対戦。3-2で公式戦初勝利を飾った!
さらに同年10月に行われた第33回社会人野球選手権九州地区予選一回戦でも、球団創設同期である梅田学園に7対5で勝利。
週に2回しか練習ができていない、生まれたばかりのチームとしては、なんて順調な滑り出しだろうか!
やっぱり強いんじゃん。きっと私がその場にいてもそう強く感じたと思います。
が、2007年以降。
Honda熊本や、その後企業チーム登録してぐんぐんチーム力を上げていった梅田学園に対し、1対17、0対22と大差で負けることが何度もあった。
クラブチーム同士ならばいい試合ができるけれども、こと企業チーム相手となるとまったく歯が立たない。
鹿児島ホワイトウェーブが目指すのは都市対抗野球大会。
そのグラウンドに立つには、企業チームに勝利することが必須条件となるのに。
「うちのチームも、個々の力はそこそこある。でも学生時代にちょっとうまかった奴らが週に2,3回練習して勝てるほど、企業チームは甘い相手ではなかった」
クラブチームゆえ、選手たちの職場からの理解協力もなかなか得られない。ただでさえ実力差がある中、雨で試合日程が延びようものなら選手が揃うかどうかも危うい状況。
年に一度の欽ちゃん球団との試合だと、華やかさも手伝ってか普段来られない選手も揃うのに…そんなジレンマもあった。
モチベーションの維持、という課題。
クラブチームとしてスタートすると決めた時点で、そんなことが課題になるとは想像していなかった、と代表は語る。
「100回やっても勝てねぇ」
「オレたちは強い!」と全員が盛り上がったあの夜、一人怒ったようにつぶやいた宮田さん。
そういうことか…
企業チームの力、そして野球に対する姿勢を知る宮田さんの言葉が、強烈に実感となって迫ってきた。
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