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ダブルクロスでプレイヤーにズルさせるためのエネミービルド

エネミーに好きな事をさせず、プレイヤーに好きな事をさせよう。



・はじめに

ゲームプレイにおいて、ズルできる事は快感である。
あらゆるゲーム内のアイテムは金銭で購入することが多いが、時たまアイテムを盗む事ができるゲームも存在する。盗みを働くと、大抵は警官などのとても強い敵がやってくることが多いが、こうなるとプレイヤーは「どうやって盗みを成功させるか」を考える。どうやったら楽にアイテムを盗めるかを試行錯誤しはじめるだ。
倫理上はともかく、こうしたズルはプレイヤーへの快感に繋がりやすい。

青沼 いままでの『ゼルダ』のダンジョンだと、答えをひとつだけ用意して、「これを解いてね」という形で作っていたので、バグが起きて、それじゃない方法で解けてしまうと、制作側としては非常に困るんです。ですので、ダンジョンの謎解きは、ほかの解法を全部ふさぐ形で設計していました。でも、ちょっとバグっぽいことができたときのほうが、ユーザーとしては絶対うれしいじゃないですか。「俺、こんなやりかたを見つけちゃったよ!」みたいな(笑)。
藤林 ズルするのって楽しいですからね(笑)。
滝澤 ズルをやると、謎を解いたときや、敵を倒したときの『ゼルダ』ならではの“してやったり感”がいつもより高い、ということに気づいてからは、だいぶおおらかになりましたよね。
藤林 そうすると、つぎはプランナーが裏をかかれたように見せかける仕掛けを張っておいたりするんですよ。「ほらいま、してやったと思ったでしょう?」みたいな(笑)。そんなふうに、いろいろな場所や謎解きに、プランナーや地形デザイナーの仕込んだ意思が隠されています。
Nintendo Switchの「ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド」にはまりました。はまった理由は、空を飛べるシステムにあります。「飛んでいかにモンスターに遭わずに崖まで行くか」という、ある意味”ズル”を探すゲームだと思っています(笑)。いかに少ない苦労でゲームを進めていくか、最高の成果を得られるかっていうのが楽しかった。そもそも人間って、ズルが好きなんですよ。ドラクエの世界でも、ズルには寛容です(笑)。経験値を上げるためにボーナスキャラがいたらうれしいと思って「はぐれメタル」を登場させました。倒すのが大変なので、はぐれメタルを倒してレベル上げをする時間と、普通にレベル上げをする時間とでは、実はそんなに変わらないんです。でも「ズルができる」と思うと、人って一生懸命それをやるんですね。

これらのズルをダブルクロスに落とし込む場合は、どのようなエフェクトが有用か記載する。
ついでに事故防止や、弱点としては向いていない(プレイヤーが対策しにくい)エフェクトも記載する。


・《蘇生復活》(基本1P330)
弱点ランク:S

うざったらしい復活エフェクトではあるが、対抗手段が豊富。
HPが1点であれば、邪毒などで再び戦闘不能にもなりやすく、攻撃力-5のキャラクターによるヤケクソ素手パンチでも死んでしまう。
プレイヤーがもう一度攻撃行動すれば対処できるため、エネミーの弱みとしては群を抜いて突きやすい。


・ガード値を上昇させるエフェクト。
例:《球電の盾》(基本1P111)《イージスの盾》(基本1P122)
《氷の盾》(基本2P160)等
弱点ランク:A

オススメ:《パワーガバー》(基本2P175)
《ピンポイントガード》(基本2P246)

「重圧」「ガード値を減少させる」「ガード不可」「高攻撃力」などの多種多様な弱点を持つおかげで、プレイヤーがとてもズルをしやすい最高のエフェクト。
あまり高すぎるとダメージが入らず長期戦になるので、高くても2d10か10あたりに収めておこう。
《パワーガード》はどんなシンドロームでも取得可能な一般エフェクトで、ガード値の調整もしやすい。
《ピンポイントガード》は一度きりだが高係数のガード値を持つ。無効化できればプレイヤーが美味しい思いをするので、ハイリスクハイリターン。

・同エンゲージを攻撃できない。
例:《光の弓》(基本1P100)《因果歪曲》(基本1P104)等
弱点ランク:A

接近するだけでエネミーの攻撃を受け無くなれる弱点エフェクト。
シンドロームを問わず、マイナーアクションを消費するだけで気軽に突ける弱点である。
行動値が遅くなりがちな接近戦タイプもこの隙に付け込めやすい。
わざわざ潰すには惜しい弱点なので、遠距離攻撃のエネミーにはガンガン持たせ、ガンガン接近を許していき、プレイヤーをズルさせよう。

・マイナーアクションを消費して戦闘移動する。
弱点ランク:B

接近するのにマイナーアクションを消費するエネミービルド。
《イオノクラフト》や《ハンティングスタイル》を使用せず、あえてマイナーアクションのみで戦闘移動させることによって、エンゲージ移動に弱点を発生させることができる。
PCの移動エフェクトに「離脱可能」という強みも与えられる。そうなればエンゲージ管理をプレイヤーが行えるので、ズルしやすい。ならズルさせよう。

・エネミーの攻撃力が低い
例:素手(基本1P177)
弱点ランク:B

PCが偶然生き残る可能性を増やす方法。
攻撃力を-5に設定すると、達成値が30~40になったとしても、4d10-5や5d10-5という低ダメージにすることができる。
HPが20以上だったり、UGNボディーアーマーを着用済みならさらに生存率が上がり、プレイヤーが得しやすい。
「タイタス復活のHPが11点」を基準にするならば、攻撃力は2d10+0でも十分高威力である。ぜひ素手を採用し、プレイヤーを生き残らせよう。

・装甲値
弱点ランク:B

ダブルクロスでは装甲値を無視できるエフェクトが豊富であるため、対抗手段は心配しなくともよい。高い攻撃力で対抗するのもアリ。
ガード値と同様、装甲値も高すぎると長期戦になりがち。
高くても10までにするか、ガード値とあわせて15以内にしたい。

・エネミーが複数体居る。
弱点ランク:C

「範囲選択」や「シーン選択」等の範囲攻撃を得させる方法。
筆者の環境では「誰も範囲攻撃を持っていない」という状況に出くわすので、過信してエネミー数を増やすとヤバイ事が起きる。

・エネミーの判定ダイスが少ない。
弱点ランク:C

エネミーの判定ダイスを少なくすることで、ダイス数を減少させるエフェクトの効果を大きくする方法。
《フラッシュゲイズ》(基本2P81)の係数を基準に考えれば、エネミーの判定ダイスは11個ぐらいでも良い。20個を超えると過剰気味。
エネミーの判定ダイスが0個になったとしても全く構わない。そんなズルをプレイヤーがしていたら、悦楽に浸っているに違いない。プレイヤーを悦楽に浸らせよう。


・判定のクリティカル値が10。
弱点ランク:C

《コンセントレイト》を持たせないエネミー構成。
攻撃判定のクリティカル値を10に設定することで、プレイヤーが使用する「クリティカル値+1」などの妨害エフェクトを強力にできる。
また判定の達成値を低めにすることで、PCのドッジ判定が成功させやすくなる。
<回避>は【肉体】で行うため、肉体型の強みを生かせる。良い事しかない。


・トループエネミー(基本1P315)
弱点ランク:C

カバーリングを行えないルール効果を持つ。通常のエネミーと大差は無い。
限定的だが攻撃を命中させるだけでトループが戦闘不能になるエフェクトが少数存在し、プレイヤーがズルしやすい事がゲームシステムとして設計されている。
ならばトループは積極的に登場させ、プレイヤーがズルできる機会を増やそう。

・カバーリング
弱点ランク:D
「重圧」や強制的に移動を強いるエフェクトなどで妨害することができるが、少々限定的。
「範囲攻撃」はダメージが倍になるのでトレードオフ。
せめて「カバーリングさせたけど、得をした」という感情をプレイヤーに持たせたい。

・バッドステータスの付与。
例:《幻惑の光》(基本1P98)《うごめく弾丸》(基本1P128)
《踊る髪》(基本1P128)《流血の胞子》(基本1P166)
バッドスタータス一覧(基本1P249)
弱点ランク:D

状態異常を回復するエフェクトか、ロイスをタイタス化させることで解除可能。
ダブルクロスの状態異常は、攻撃では種類が豊富で多くが使いやすいものの、回復手段は限定的で使いづらく多様性が乏しい。
重圧硬直邪毒あたりは避けたほうが無難。
・「放心」
そこまで強くは無いが、コンストラクションのような低経験点では手痛い状態異常。
あらゆる判定ダイスに影響を及ぼすため、少々忘れがち。
プレイヤーが対処しにくい状態異常は一方的にエネミーの強みになりやすいが、放心は「判定ダイスを増やす」「状態異常を解除する」などで対処可能。
・「硬直」
接近戦型だとタイタス化のしかねない状態異常。
マイナーアクションで移動するエフェクトも多い為、気軽に使うと気軽にプレヤーの弱点を突いてしまいがち。
特別な理由がない限り使用しなくてよい。
・「重圧」
こちらもガード型が受けてしまうとタイタス化もやむ得ない。
・「邪毒」
ダブルクロスのシステム上、HPを11点で復活する機会は多い。
ゆえにランク4の邪毒を付与する攻撃は、プレイヤーが2回死ぬと考えていい。
また《リザレクト》で回復するHPも1d10以内であり、ランク3の邪毒は90%で2回死ぬ。とんでもないストレスを秘めている殺戮バッドステータスである。
これといった対抗策は状態異常回復と、HPを回復するエフェクトぐらい。
使用してもミドル戦闘で納めておくか、ランク2か1ぐらいにしたい。
・「暴走」
ガード型タイタス化不可避のバッドステータス。
またエフェクトの効果で回復できない事が多い。
プレイヤーが自身に付与することもあるので目にする頻度は多いものの、「突きやすい弱点」としてはイマイチ。
・「憎悪」
憎悪対象がエネミーであれば、そんなに怖くはない。
PCが対象の場合は「侵蝕値を上昇させて」「行動手番を消費し」「プレイヤーのロイスを削る」という三重苦を強いるため、避けたほうが無難。やらせるならプレイヤーにやらせよう。
・《状態復元》(基本1P329)
一長一短。
状態異常はプレイヤーがズルできる要素の一つであるが、それらの弱みをエネミーが必ず持っているとは限らない。
ならエネミーに《状態復元》を持たせ、バッドステータス喰らうたびにHPを5点失わせればプレイヤーの有利にも繋がるのだが、プレイヤーがエネミーデータを知らない場合、ズルできたか否かの実感が湧きにくい。エネミーデータを公開すれば問題ない。

・タイミング:オートアクションのエフェクト
例:《斥力障壁》(基本1P105)《赤河の支配者》(基本1P117)
《ジャミング》(基本1P152)《援護の風》(IC60)等。
弱点ランク:E

ダメージを軽減したり、判定ダイスを減らしたり増やしたりする。
突かれる弱点は「重圧」と《デビルストリング》(基本2P121)が最有力。《ゴットウインドウ》(IC60)も。
ダメージを軽減する事が目的なら、ガードエフェクトのほうが弱点を突かれやすい。
エネミーの強さを表現するには丁度いいが、プレイヤーにズルさせにくい部類である。
またオートエフェクトがあまりに多いと、使用を忘れたりする。


・判定のクリティカル値を+1する。
例:《光の衣》(基本1P101)《インタプラント》(基本1P149)
弱点ランク:-

攻撃判定は《コンセントレイト》LV4などで打ち消すことが可能だが、それ以外の対抗手段が薄め。
ドッジ判定のクリティカル値だとほぼ必中となる。
エネミーが使うと理不尽を感じやすい。

・装甲値を無視する。
例:《ピンポイントレーザー》(基本1P100)等
弱点ランク:-

エネミーが放つ高ダメージの攻撃を少しでも弱めるために、PCが頑張って上昇させた装甲値が、0となる。
装甲値を無視するエフェクトは数多あれど、装甲無視を無効化する手段がないのが理不尽を感じさせてしまう。
《竜麟》やUGNボディーアーマーなどのアイテムでプレイヤーをズルさせるために、ぜひ装甲値を無視しないエフェクトを採用しておきたい。

・タイミング:セットアッププロセス・クリンナッププロセスのエフェクト。
例:《灰色の庭》(基本1P106)《戦術》(基本1P147)
《加速装置》(基本2P93)
《不死者の恩寵》(基本1P118)
弱点ランク:-

行動値を上げたり下げたり、ダイスを増やしたり減らしたりなど様々。
基本的に止めることはできない。《ゴットウインドウ》(IC60)などの例外ケースを除く。
強力なセットアップエフェクトは使用回数に制限があるため、そちらを使っていきたい。
HPが低いエネミーなら「エネミーそのものを倒す」という解決策が弱点として機能する。


・ダメージを0にする。
例:《光の守護》(基本1P101)《透過》(基本1P131)
《空蝉》(基本1P137)

弱点ランク:-
エネミーが取得すると使用回数ぐらいしか弱点が無い強力なエフェクト。
追加サプリでは「重圧」を受けても使用可能となり、対抗策が無い。
大抵が制限:120%であり、バッドシティ記載の《デビルスレッド》でも打ち消せない。
ダメージを軽減するのならガード値や装甲値を上昇させるエフェクトや、1ラウンドに1回のダメージ軽減エフェクトのほうが、重圧や装甲無視で弱点が突きやすい。
大ダメージを0にする快感は、プレイヤーにやらせたほうが喜ぶ。

・《電磁反応装甲》(基本1P113)
弱点ランク:-

「重圧」でしか防げず、エフェクトアーカイブになると重圧すら効かない。
プレイヤーが防げないダメージ軽減エフェクトでも屈指の実力者である。

・《イベイジョン》(基本1P328)。
弱点ランク:-

ドッジ判定の達成値を固定する。
達成値の算出にドッジダイスを使用するため、ダイスが減少する効果も影響する。
【肉体】が高いエネミーが偶然避けないようにするための事故防止用としても機能する。

・《加速する刻》(基本1P328)
弱点ランク:-
一方的にエネミーを有利にするエフェクト。なるべく単体攻撃にするか、LV1で取得して使用回数を制限にしよう。
また攻撃は1回だけにして、《加速する刻》のメインプロセスを支援などにすることでエネミーの強さを現しつつ、プレイヤーのストレスを濁す方法もある。


参考:


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