見出し画像

"夢破れた"わけ

はじめまして。

夢破れた一級建築士です。

なぜ”夢破れた”なのか?

この記事では夢破れた訳と、noteを通して伝えたい想いを書かせていただきます。

私が一級建築士を目指した理由の一つに、

マイホームを自分で設計したい。

という夢がありました。

その夢を叶えるべく、10年前の私は仕事の前後や休日といったプライベートの時間のほとんどを、一級建築士の勉強にあてる生活を送っていました。

その甲斐もあって二回目のチャレンジで、一級建築士に合格することができたのです。

そこから約10年の実務経験を積んだ34歳のタイミングで、自らの手で設計したマイホームを建てる決断を下します。

息子が1歳を迎え、活発に動きだしたこともあり絶好のタイミングでした。

期待

希望のエリアですぐにいい土地が見つかりました。

土地が見つかってからは何度も現地に足を運び、周辺の状況や太陽の光を取り込むシミュレーションを行い間取りを考える日々でした。

計画段階の間取り図

妻の希望もふんだんに取り入れ、新しい家への期待が膨らむばかりです。

家の大きさがある程度決まってきたタイミングで、自分が働いているハウスメーカーで見積もりをとりました。

  • 土地費用:2,500万円

  • 建物費用:2,000万円

  • 外構費用:500万円

  • 諸経費:500万円

  • 合計:5,500万円

わかりやすいようにきれいな数字に丸めていますが、ざっくりとしたイメージはこんな感じです。

見積もりがでた直後は、

「こんなもんか。」

ぐらいの軽い気持ちでした。

この時点で特に何も感じていなかったのは、私が普段打ち合わせをしている自分と同じ年齢、同じ年収ぐらいのお客様は、5,500万円ぐらいの家を普通に買っている方ばかりだったからです。

現実

見積もりが出てからはじめて、5,500万円を返済期間35年でローンを組んだ時の月々の返済額のシミュレーションを行いました。

月々支払額のシミュレーション結果

物件価格5,500万円、変動金利0.65%、頭金0円、ボーナス払い0円、返済期間35年で月々の支払額のは14.6万円です。

このシミュレーション結果を見ても、

「みんな頑張って払ってるんやなー」

としか思っていませんでした。

当時の私の額面上の年収は約600万円、まとまった頭金を払える貯金はなく、家賃7万8千円のアパートに住んでいました。

妻は出産のタイミングで仕事を辞めて専業主婦だったため、私の給料のみで生活費をまかなっている状況でした。

月々支払額のシミュレーション結果が出てからは、14.6万円の支払いをどのように行なっていくのかを考える日々です。

まずはじめに私の手取り月給約30万円だけではかなりの節制が必要で、現実的ではないということがわかりました。

それがわかってからは副業で何をしようか、妻にはすぐに働いてもらう必要があるな、新居を使ってYouTubeをはじめればいけるんじゃないかなど様々な案を考えました。

さらに、家の金額を下げるために床面積をどんどん小さくし、外構は砂利を敷き詰めるだけの計画とすることを考えていました。

それでも下がる金額はせいぜい100〜200万円程度で、根本的な解決には遠く及びません。

月々の支払額への不安、自分の理想からかけ離れていく家の姿を考える日々を送っていました。

不眠症

そんな日々を送っていると夜中に突然、

「ヤバいっ」

という感覚に襲われて、飛び起きることが続くようになりました。

そして次に現れたのは不眠症です。

ベッドに入ると不安が脳を支配し、変な汗をかいて朝まで眠れないのです。

家を建てることを妻も喜んでいる、自分が働いている会社とも契約を進めている、親や同僚にも自慢げに話してしまっている。

どんなに不安が襲ってきても、家を建てることをやめると言い出せない状況でした。

「もうこのまま消えてしまいたい。」

次第にそう考えるようになっていました。

契約破棄

「家のこと一旦白紙に戻そうと思う。」

土地の契約の直前で、私は妻にそう伝えました。

「わかった。またゆっくり考えよ。」

妻は優しく答えてくれました。

その瞬間、肩にのしかかっていた重圧がスッとなくなり久しぶりに空が青く感じました。

後から聞いた話しによると、妻はどんどん追い詰められていく私の心情を察していてくれたようです。

そこから急いで自分が勤めている会社に、

「一旦マイホームの計画を白紙に戻させて欲しい。」

と頭を下げ、契約をストップしてもらいました。

私の「マイホームを自分で設計する」という夢を叶えてくれようと、会社内でも色々な人が動いてくれていたので本当に申し訳ない気持ちでいっぱいでした。

夢破れた先に

マイホーム計画を白紙に戻した後、それまで無知だった不動産やお金のことをしっかりと勉強し直しました。

今はその後購入した中古マンションで、妻と息子と3人で幸せな日々を送ることができています。

住宅ローンの月々の支払額はかつて考えていた注文住宅の半分に抑えてられているため、夜中に突然飛び起きることも不眠症になることもありません。

私の仕事は今も変わらず、注文住宅の設計士です。

お客様の多くは年収の10倍に近いローンを組んで、家を買われています。

まさに私が不眠症になった状況と一緒です。

夫婦共働きや貯金額、親の資産状況など各家庭のお金事情はそれぞれです。

そのことを踏まえても、仕事で打ち合わせを行う目の前お客様に対して

「本当にこの金額のローンを組んで、この先の人生大丈夫ですか。」

と言いたいのが本音です。(人それぞれの考えや叶えたい夢があるため口にはできませんが。)

自分自身や家族の健康状態、勤めている会社の業績、社会情勢や金利の上昇などローンを支払うこの先35年間の状況は誰にもわかりません。

周りが買っているから、親や家族がすすめてくるからなどの安易な気持ちで多額のローンを背負うと人生の身動きが取れなくなってしまいます。

あなたの人生は家に支配されてしまうのです。

私と同じように多額のローンを組むことに恐怖を感じている方の役に立てればと思い、

注文住宅を120軒以上設計してきたにも関わらず、自分の家のことで不眠症になったメンタルよわよわ一級建築士が考える無理なく幸せなマイホーム購入術をnoteを通じて発信していきたいと考えています。

次の記事では中古マンションの購入に至った経緯や、自分自身の考えをまとめようと思います。

最後まで読んでいただきありがとうございました。

いいなと思ったら応援しよう!