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【小説風エッセイ】夫婦〜キャミソールワンピースとタンクトップ〜[家族親族](1186文字)

休日の夕食前に、私の誕生日に夫が買ってくれたキャミソールワンピースを初めて着ました。

私のお気に入りの色に、綿のシアサッカー生地でティアードスカート、胸元は横一直線のデザイン、私にとって、理想的な真夏の部屋着です。

昨年の夏に初めて、
「キャミソールワンピースを部屋着にしたい」
と思ってから、1年で夢が叶いました。

着てみての感想は、デザインも大好きなのですが、着心地が想像していたよりも遥かに良く、とにかく涼しくて、
「最高!」。

夫に何かというと、
「キャミソールワンピース、ありがとう!」
と伝えました。
「本当に気に入っています」。

これだけなら、夫も静かに聴いて、喜んでいるだけだったのでしょうが、これに付け加えて、
「とても涼しいよ!」
と伝え続けたから、大変なことになりました。

「私もタンクトップを着たら、涼しいかもしれないね!」
と夫は言って、箪笥の中を探し出しました。

「持っているの?」
と私。
「20年近く前にセールで買ったけれど、着ているのを見たことがない」。

「捨てた気がする」
と夫。

タンクトップは諦めて、今度はショートパンツを探し出しました。

「これは部屋着にはならない」
と言って、出したのは、デニムの膝上パンツ。

「これはうるさい」
と言って、出したのは、ゴワゴワした生地の水着のショートパンツで、動かすと、しゃりしゃり音がします。
「だいたい、水着を部屋着にするわけにはいかない」。

あげく、着用中の部屋着の膝丈パンツを指差して、
「ミシンが壊れていなかったら、ちょん着るところなのだが!」
と言い出す始末。

ファッションに関しては、思い立ったら、即実行・鉄の意志の夫の発言に慌てた私は、
「季節に即した部屋着は必要だよ。新調したら」
と提案しました。

そこで、夫は、複数のオンラインショップでタンクトップとショートパンツを探し始めました。

そして、あれやこれやと見てみて、お気に入りを発見しました。

「だいたいイメージがついた。明日、仕事帰りに買ってくる」
と夫。
「あぁ、しかし、今夜は何を着て寝たらいいのだ」。

夫は、お気に入りの色の、袖が長めの綿半袖Tシャツと同色のインド綿膝丈パンツをサイズ違いで揃えて、部屋着とパジャマにしていました。

私はさすがに可笑しくなりました。

「私が『キャミソールワンピースはとても涼しい』と言うまでは、気にならなかったのでしょう?」
と私。
「それで寝ればいいじゃない」。

「そうなのだけれどもね」
と小さな声の夫。

「明日、今の季節に合った部屋着とパジャマを買ってくるよ」
と夫は言って、いつも着ているパジャマを着て寝ました。

確かに、本人が気に入って買ってきたものではありましたが、真夏には夫の部屋着とパジャマは暑そうだったし、エアコンの温度設定で、もめることもたびたびあったので、夫の新しい部屋着とパジャマは私も楽しみです。

最後に。

夫、素敵なキャミソールワンピースをありがとう。




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天野マユミ丨散文詩人丨文化財めぐりと素敵な日々
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