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身体のアザ



私は身体に生まれつきのアザがある。
まあまあ大きい。


今の時代は自分の子供にこのアザがあると、親はレーザーか何かで消してしまうらしい。


私の明らかに人目につく場所にあるアザは、親が金がかかるせいか消さなかった。


大人になって自分のお金で消しなさいと言われた。

しかし消そうと思ったことは一度もない。
なぜなら私はこのアザを愛している。




アザは大きな黒紫色をしている。
夏の暑い日やお風呂に入ってるときは健康的な赤い色になる。



私のアザを初めて見た人の中には、ギョッとした反応を示す人も少なくない。

彼氏になった人には初めてのベッドの中で「それは怪我なのか?」と驚かれるのが常だ。

もう飽きるほど聞かれた質問なので、普通に答えることも飽き、深刻な顔をして「これは昔宇宙人に拐われたときにね…」なんて話をしたりして遊んでいる。


アザを堂々と出せる私は自己肯定感が高いかというとそんなことは全くない。高いなら摂食障害になったりはしない。


「痩せていない人」や「若くない人」はこの世に常に大多数いる。


なのでダイエット業者やアンチエイジングや化粧品業者は儲けに儲けられる。

彼らが儲けるために
「お腹に脂肪がついていることがどれほど醜いか」
「顔に皺やシミがあることがどんなに酷いか」
という宣伝と言う名の大型洗脳を多額の広告料を使って太古から行われてるので、脂肪やシミや皺を病的に憎んでいるが、

アザに関してはアザ所持者数が圧倒的に少なく、アザを悪く宣伝しても多額の広告料に見合わない。

プラス特に私の周りにアザを悪く言う人間がいなかった。(もちろん褒める人間も一人もいなかった)

なのでアザに関しては、良いも悪いもイメージがない。ただただ昔から私の身体にあって、みんなの身体にはなかった。

昔から身体の上にちょこんといるので、なんとなく愛着が湧いた。これが顔や首だとまた違ったかもしれない。でももう少し目立たない場所に私のアザはいる。

普段見ようとしなければ忘れている。
たまに思い出して覗きにいって、「あ、こんにちは」と挨拶をする。

私はお金をもらってもアザを消す気にはなれない。
世界で一つの形。この形のアザはおそらく人類で私しか持っていない(多分)。


神か自然の芸術品のような唯一無二のそれをこの世から消してしまうなんて、あまりに惜しくないだろうか?

少なくとも私が生きているうちは共に生き、またアザというものを初めて見る人間を驚かせるのも悪くない。

多分みんな気持ち悪いと思うんだろう。
このアザの可愛さは世界で私にしか見つけられないのだ。

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