サウサンプトン
船旅が好きだ。
とは言っても豪華客船で旅する身分ではないので長距離フェリー。日本国内には14の長距離フェリー航路がある。今までに三分の二くらいは乗ってきただろうか。
今回は2021年7月1日に就航したばかりの東京九州フェリーで、新門司から横須賀に向かっている。
飛行機なら一瞬なのだが、遠く水平線を見ながら考え事をしたり、読書したり、のんびり過ごしたりするひと時に、この上ない幸せを感じる。
そんな船旅が始まるとき、デッキから桟橋を見おろしながら必ず行う儀式がある。
サウサンプトン(Southampton)という曲をヘッドホンで聴くだけのことなのだが、これから始まる船旅への期待感と高揚感が一気に高まるのだ。
それもそのはず。この曲は映画「タイタニック」の出航シーンで使われていたもの。出航の華やかさを見事に表現した名曲だと思う。
もちろん今もこれを聴きながら書いている。目の前には太平洋の大海原。
そしていつの日かサウサンプトンの地に立ち、この珠玉の一曲を心行くまで味わいたいと夢見ている。