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kit_kato
1才が日記 ㉕
「ご主人が浮気をしているってこと?」
母が電話で話をしている。
「帰りが毎日遅くて、時々泊まってくるってこと?
で、何も説明しないの?
それ、確信犯じゃん」
母がずっと電話で話をしているよ。
父が母に言うよ。
「僕ちゃんが聞いているから、そんな話、やめなよ」
母をスマホを押さえて、父に言うのさ。
「大丈夫、わかんないでしょ、まだ」
母よ。
わかんなくないよ。
僕は聞いているよ。
そして、あまり嬉しい話題ではないって事も分かるよ。
まだ、4歩しかあるけないし。
アンパンマンしか言えないし。
ひとりでは何も食べられないけどさ・・・
僕は、母の話を聞いている。
何を話しているか、分かっている。
あんまり嬉しい話題じゃないなーって分かってる。
それを気づいてほしいなーって思うけど。
きっと、僕のことを「赤ちゃん」って思っているから・・・
まあ、「赤ちゃん」だけどさ。
僕に向かって話しているわけじゃないことは、分かっているさ。
だって、僕に向かって話すときは、もっと笑っていて、
もっと面白い感じで。
そうそう、もっと目がキラキラしてるもん。
そんな話は、僕が聞かなければいいの?
僕が耳をふさぐの?
どうやって?僕がなんとかすればいいの?
とにかく・・・僕にも聞こえてるよ。
聞こえているんだってことを、
分かっていてもらいたいんだよなぁ。
つづく