脳腫瘍患者がドラマ「アンメット」を見て感じたことー人生の持ち物ー
昨日最終回を迎えたドラマ「アンメット-ある脳外科医の日記-」みなさんご覧になりましたか?
事故により記憶が1日しか持たない後遺症を抱えた脳外科医の話で、毎エピソード脳の病気のさまざまな後遺症にフォーカスを当てて丁寧に描いている医療ドラマです。
脳腫瘍患者として見るのが辛いところもたくさんありましたが、、でもこのドラマは後遺症とその裏にある葛藤を忠実に描いていて絶対に見るべき!と強くお勧めします。
たくさんの名言があったドラマですが、その中で一番心に刺さったセリフを紹介します。
私も主人公ミヤビちゃんと同じように、脳腫瘍による後遺症を抱えています。
よく他の人から「病気を乗り越えて頑張ってるね」というお声がけをいただきます。でもその度に思います。「いや、乗り越えてないよ」と。付き合いの浅い人ならほんの一部の私しか見ていないので、その言葉をもらったとしても気にしないでいられると思います。でも頑張っているところを見てくれている人は私にとって関係が深い大事な人たちです。そのような方々からこの言葉をかけられる度に心の中で違和感を感じていました。それでも、その感情に蓋をして「私の頑張り認めてくれようとしているのだから特に反論しなくて良いよ」と自分にストップをかけていました。
このドラマのシーンで、ミヤビちゃんが「後遺症を乗り越えることは一生出来ない」とはっきりと伝えていたことに驚きました。そして、後遺症を人生の持ち物と例えていて、それが重いという表現があまりにも今の私の状況をうまく表現されていて心がぎゅっとなりました。
人生の持ち物=後遺症
重たい=辛い、悲しい、もどかしい、悔しい、寂しい、怒りなどの感情が湧く状況。
本当は重たい持ち物を毎日抱えて前に進んでいくには、並大抵の努力と決意がないと出来ません。でも、それは相手にはっきりとは伝えずに、代わりに老眼鏡のように誰にでもわかりやすい例を出して、相手が大事に捉えて困らないように配慮をしているのかなと思いました。
よく脳腫瘍になったという話を初めてすると、お相手はまるで爆弾でも投げつけられたかのように固まってしまう方が多いです。それを何回も体験し、自分なりに工夫をして、私も必ず相手の気持ちを和らげるような表現を付け加えるようにしています。(例:今は良くなってきたから、治療は全部終わったから、など)
また、一人ひとり人生の持ち物の大きさや重さ、それが増えるタイミングは異なるけれど、誰もが何らかの荷物を抱えてもがいて生きているんだと思わせてくれました。
そして、最後の「私自身が変わったわけじゃないから。変わりたくないですしね」
これは、本当に深いです。私も同じ気持ちです。
大きな病気をすると多くの人が強制的にさまざまな変化の渦に飲み込まれます。
治療による身体の変化
今までできたことができなくなる
人間関係
仕事
人生の目標
ライフスタイルなど
その中で、もう昔の自分と比べることがつらすぎて「新しい私」を確立して昔を忘れて生きていこうと思った時期もありました。
しかし、キャンサージャーニーコーチングのセッションを受けた時に気づきました。
私が大切にしている部分は病気の前と何も変わっていない。そして変えたくないと。
大きな変化の中にいるからこそ、自分の大切な部分だけは軸となり支えになってほしいと思うのです。
よく、「このままの自分ではダメだ」という声も聞きます。でも、それは自分全部ではなくその中のいくつかの要素を課題視しているのではないかな?と思います。自分全体を否定する必要はないのです。
人のコアにある大切なことは、取り巻く環境がどんなであれ大きく変わることはないのではないかと気づき始めました。これは私自身キャンサージャーニーコーチとして経験を積んで解き明かしていきたいと思っています。
まだまだ当事者としてドラマで気づいたことがたくさんあるので、またシェアしていきたいと思います!