スタートレックアドベンチャー第2版 クイックスタート紹介
第1版の日本語版が年内に出る前に、本国では第2版が夏に出ると発表されました。第1版とは基本的な部分は同じですが、チャレンジダイスがなくなるという大きな変更があったので、プレイ感はだいぶ異なると思います。
今回は、コアルール発表前に公開されたクイックスタートを解説したいと思っています。
下記紹介は、スタートレックアドベンチャー第1版の日本語版が出る前に行なった私訳です。実際の日本語版と訳語が異なっている可能性が高いので、ご注意ください。
また、クイックスタートにはなく、コアルールで解説されると思われる項目があるので、変更になったと判断するにはコアルールの公開が待たれます。
判定方法
判定方法は、第1版と同じ2d20システムで、属性値+部門値を目標値にして、d20で目標値以下を出せると、成功1です。
1が出るとクリティカル成功となり、成功2と数えます。
20が出ると、複雑化が発生し、その後に何か不利なことが発生します。
基本的に20面サイコロを2個振ってテストします。
能力値
属性(ATTRIBUTES)
属性は第1版と同じです
統制(CONTROL):身体の動かし方や運動性を表わします。
勇気(DARING):勇敢さや頭の回転を表わします。
体力(FITNESS):頑丈さとスタミナを表わします。
洞察(INSIGHT):環境や他人に対する理解力を表わします。
威厳(PRESENCE):個性や尊敬を集める力を表わします。
理知(REASON):論理力や問題解決能力を表わします。
部門(DEPARTMENTS)
スタートレックアドベンチャーには他の2d20システムと違って技能がなく、代わりに部門を使用します。
第1版と異なり、DISCIPLINESはDEPARTMENTSに名称変更されました。宇宙船と同じ表記になったのは妥当だと思います。
各部門は、第1版と変更が無いです。
指揮(COMMAND):クルーを指揮する
操縦(CONN):宇宙船や乗り物を扱う
工学(ENGINERING):機械や技術的な問題の対処
保安(SECURITY):武器や砲火の制御
医療(MEDICINE):治療や病気を治す
科学(SCIENCE):宇宙に関する知識と理解
特徴(TRAITS)
第1版であった有利(ADVANTAGE)は、特徴に統一されたみたいです。
特徴は、人や場所にあるなんらかの性質を示します。例えば、バルカン人であるとか、場所なら暗闇であるとかです。特徴は、なんらかの手段で無くされたり、現われたりします。例えば、暗闇の特徴を持つ場所は、明かりの特徴によって相殺されます。
タスク(TASK)
何らかのテストを行なわなければならい場合、タスクが発生します。GMがそのタスクをパスするための難易度(0-5)を宣言します。
判定で、成功数が難易度以上になれば、そのタスクは成功です。
支援(ASIST)
PCは、他のPCを支援(ASIST)することができます。ただし、判定に使えるd20は2個でなく1個です。
まず、リーダーとなるPCを決めます。リーダーには、コストなしで1人だけ支援を行なえます。支援はメジャーアクションです。
第1版では、支援できる数はGMが決めていましたが、第2版では1人を超えて支援を行なうには、機運1か脅威1が必要です。
リーダーの判定が成功していれば、支援判定の成功数を加えることが出来ます。
対抗タスク
対抗タスクは、まず対応キャラクターが難易度0で判定を行ない、その成功数が能動キャラクターの難易度となります。
注)遠隔戦闘で、対抗タスクにしてしまうとむしろ相手の命中の難易度が下がってしまうのではないだろうか?。
能動キャラクターが判定に失敗した場合、難易度-能動キャラクターの成功数の値だけ、対応キャラクターが機運を得ます。
複雑化(COMPLICATION)
d20で20の目が出ると、複雑化が発生します。これは、なんらかの不具合が後に発生することを意味します。例えば、フェイザーが故障したり、相手との会話に致命的なミスを起こしたりです。
もし複雑化を避けたいなら、脅威2を支払って複雑化が発生しなかったことにできます。第1版と違い、機運を支払って発生しなかったことにはできません(機運から、有利を作る(CREATE ADVANTAGE)が無くなったため)。
代償を伴う成功
GMが許可するなら、ダイスによる複雑化の発生以外にも複雑化を1つ発生させて、判定を成功にすることができます。
機運(MOMENTUM)
機運は、難易度を超えた成功値で産み出されます。例えば、難易度1で成功数が3なら、機運2です。
機運を消費することにより、様々な効果が生まれます。
機運の消費例は、第1版よりも減っているようです。
機会を作る(Create Oppotunity):判定する前に機運を支払って、振れるダイスの数を増やします。
特徴の作成(Create a Trait):シーンに特徴を加えたり(雨が降り始めた)、自身の特徴を変更したりします。
イニシアチブの維持(Keep the Initiative):自側のPCにイニシアチブを渡します。第1版と違い、一度イニシアチブを維持すると、敵側に一度ターンを渡さないとイニシアチブの維持を行なえないようです。
情報の入手(Obtain Information):GMにその場面に関する質問を行なえます。
時間短縮(Reduce Time):タスクに掛かる時間を短縮します。
即応アクション(Swift Action):追加1回のメジャーアクションを行ないます。タスクの難易度+1。
追加マイナーアクション(Extra Minor Action):追加1回のマイナーアクションを行ないます。1ターンに1回。
第1版にあった「有利を作る」「問題の作成」は無くなりました。
脅威(THREAT)
脅威は、簡単に言えばGM用の機運です。NPCは機運で無く、脅威を支払うことにより、機運と同じような効果を得ることができます。
またPCは、GMに脅威を渡すことにより、機運を手に入れることもできます。
決断力(DETERMINATION)
PCの価値観(VALUES)やミッションの指令(Directive)に従っている時、決断力を支払うことにより、様々な効果を得ることができます。
ひらめきの瞬間(Moment of Inspiration):サイコロが振られた後、自分のダイスプールのサイコロを任意の数だけ振り直すことができます。
絶好の機会(Perfect Opportunity):サイコロを振る前に、出目が1となったサイコロを1つダイスプールに加えることが出来ます。
第1版にあった「活動の急増(Surge of Activity)」「そうしたまえ(Make it do)」「負傷を無視する」はなくなったようです。
イニシアチブ
GMは最初のターンを開始するPCを選びます。特に何もなければ、PCの中の1人を選びます。選択を迷うなら、勇気の高い者を選びます。
手番の順番
PCがターンを終えたら、NPC側の1人にターンが渡ります。つまり、PCとNPCで交互にターンを行ないます。
ストレス
ストレス上限を超えて、ストレスを受けた場合、ストレス上限までストレスを受けた上で、複雑化が発生します。
ストレスが上限まで達成すると、疲労状態(Fatigued)になります。疲労状態では、属性を1つ選び、その属性でのタスクは失敗し、それ以外のタスクの難易度+1。
ストレスの回復
機運:機運2を支払って、声が届く味方一人のストレスを取り除くことができます。この場合、回復できるストレスは3点以下です。
休息:ストレスが4点回復します。
休憩:30-120分ほどの休息を取ると、ストレスが8点回復します。
睡眠:ストレスがすべて回復します。
第1版と違い、ストレス値は増えていくものになったようです。また、シーンが変わると全回復していたものが、ある程度残るものになりました。
戦場
距離は以下の区分です。
接敵(Reach):手に届く範囲で、近接攻撃を行なえます。敵の接敵内にいると、近接攻撃以外の難易度+1。
近距離(Close):同じゾーン内です。
中距離(Midium):1ゾーン以内です。
遠距離(Long):2ゾーン以内です。
超遠距離(Extreme):3ゾーン以上離れた距離です。
移動と地形
困難地形や障害物がある場合、機運を支払う必要があります。機運が足りない場合は、難易度0の適応+保安で疾走メジャーアクションを行なって、機運を産み出す必要があります。
遮蔽
遮蔽物の接敵内にいれば、遮蔽を得ていることにできます。遮蔽を得ていれば、遠隔攻撃で対抗タスクにすることができます。
第1版のように、抵抗値を持ち、チャレンジダイスでダメージを減少するので無く、対抗タスクにできるかどうかと言うシンプルなシステムになりました。
戦闘アクション
マイナーアクション
照準(Aim):攻撃判定で、d20を1つ振り直し。
アイテムを取り出す(Draw Item):アイテムを取り出すか拾う。
操作(Interect):扉を開けるなどのオブジェクトを操作。
移動(Movement):中距離までの任意の1ゾーンに移動。
準備(Prepare):タスクの準備や段取り。フェイザーの充電など。
立ち上がる/伏せる(Stand/Drop Prone):立ち上がったり、伏せたり。同ターン内に、立ち上がると伏せるを同時に行なう事はできない。
伏せ特徴を得ている場合、中距離以上の遠隔攻撃の難易度+1(遠、超遠でのさらなる難易度上昇は無い)、遮蔽に入っていれば、防護(Protection)+1。近距離からの近接・遠隔攻撃にボーナス機運2。
マイナーアクションは、第1版とほとんど変わりません。立ち上がる/伏せるが1つになったことと、伏せた時の効果が変わったくらいです。
メジャーアクション
支援(Assist):他のPCの手助けをします。まだ自分のターンになっていない場合でも行なえますが、自分のターンでの行動は行なえなくなります。
攻撃(Attack):攻撃を行ないます。
特徴を作る(Create Trait):難易度2で判定を行ない、特徴を作成、修正、削除します。
指示(Direct):指揮官が機運1を支払って、他のPCに指示して、即座にメジャーアクションを行なわせる。この時、指揮官は統制+指揮で支援できる(第1版と違いシーン毎に1回という制限はない。また指揮官が同時に支援できるのが違う)。
応急手当(First Aid):敗北したキャラクターを難易度2の勇気+医療タスクで敗北状態を回復させる。または、難易度は負傷の殺傷度(Severity)で、勇気+医療タスクで負傷を1つ無くす(ダメージを受けた処理が第1版とは異なっている)。
ガード(Guard):難易度0の洞察+保安タスクを行い、自分に対する攻撃難易度+1。接敵内の味方にも適用できるが、判定の難易度は+1。
その他のタスク(Other Tasks):GMの裁量で行なう
パス(Pass):なにも行動しない。
待機(Ready):指定した誘発イベントが発生したら、待機していたメジャーアクションを行なう。
疾走(Sprint):長距離までの任意の場所に移動する。アクションの一部として、適応+操縦テストを行ない、地形を横切るための機運を生む出すことができる(第1版と違い、テストが適応+保安から変更されている)。
第1版の「有利の作成(Create Advantage)」「回復(Recovery)」がメジャーアクションから無くなっています。
攻撃を行なう
1.武器と目標を選ぶ:武器と目標を選び、麻痺か致死かを選択する。致死を選ぶと、脅威+1。
近接攻撃:接敵内の対象
遠隔攻撃:視界内の対象
2.攻撃を試みる:
近接攻撃:難易度1の勇気+保安タスク。相手が気づいていれば、対抗タスク。
遠隔攻撃:難易度2の統制+保安タスク。相手が遮蔽に入っていれば、対抗タスク。
第1版と違い、遠隔攻撃は遮蔽に入っていれば、対抗タスクにできる。
3.攻撃の解決:
反撃:対抗タスクになっていて、相手がタスクに勝利していれば、近接戦なら接敵外に出ることもできる。
また、近接・遠隔共に、機運2を支払って反撃することもできる。反撃自にも、麻痺か致死かを選択する。負傷を避ける:負傷を受ける代わりに、ストレスを殺傷値分増やすこともできる。
負傷
負傷を受けると敗北する。敗北すると、うつ伏せになりシーン終了までアクションが行なえなくなる。
PCは負傷を避けることができる。これは、武器の殺傷度(Severity)だけ、ストレス値を増やすことで現われる。もし防具を着ていたら、その防具の防護値(Protection)だけ殺傷度を減らすことができる。
麻痺攻撃:敗北が回復すると、次のターンの終了時に麻痺による負傷は取り除かれる。
致死攻撃:敗北している間、瀕死であり、シーン終了時に死亡。
第1版とダメージを受けた時の処理が大幅に変わりました。チャレンジダイスが無くなったからですね。
NPCの負傷
無名(Minor)NPC:負傷を避けることができず、負傷で無く敗北。
著名(Notable)NPC:通常通り負傷する。著名なNPCは脅威を支払って「負傷を避ける」こともできるが1シーンに1回のみ。
主要(Major)NPC:通常通り負傷し、脅威を支払って「負傷を避ける」こともできる。
第1版と違い、NPCはストレス値を持たなくなりました。
このため、無名NPC以外が負傷を避けるためには、殺傷度に等しい脅威を支払う必要があります。
NPCは、個人的脅威値というのを持っているので、事実上こいつがストレス値の代りですね。
戦闘機運
即時でも反復可能でもないなら、1ターンに1回。
殺傷度増加(機運2、反復可能):武器の殺傷度を増加させます。
特徴変更(機運2):完了したタスクに関連している特徴を、追加・修正・削除する。
追加マイナーアクション(機運1):追加1回マイナーアクションを行なう
イニシアチブの維持(機運2、即時):他のPCにイニシアチブを渡す。
情報入手(機運1、反復可能):GMに1つ質問する。
追加メジャーアクション(機運2):追加1回メジャーアクションを行なうが、難易度+1。
武装解除(機運1-2):対象の持っている武器を1つ、接敵内に落とす。対象の武器が片手なら機運1、両手なら機運2(近接限定とか記述されていない?)
d20の購入(機運1-3、 即時、 反復可能):タスクテストの前に、ダイスプールにサイコロを追加する。
第1版の「追加ダメージ(Bonus Damage)」「貫通(Penetration)」「ダメージの振り直し(Re-roll Damage)」「負傷を避ける(Avoid Injury)」「第2目標(Secondary Target)」は、無くなりました。
戦闘装備
武器の要素
武器の種類(Weapon Type):近接か遠隔か。
負傷(Injuries):負傷の種類。麻痺や致死。
殺傷度(Severity):負傷の重さ。負傷を避ける時のコスト。
大きさ(Size):片手か両手か。
特質(Qualities):武器の機能。
武器の特質表
正確(ACCURATE):照準のマイナーアクションを行なうと、ダイス・プールのダイスを1個だけでなく2個まで振り直す。
範囲(AREA):攻撃に成功した場合、対象が1つ増えるごとに機運を1消費することで、同じ範囲にいる追加の対象に命中させることができます(反復可能)。この攻撃は代償を伴う成功を行なう事ができる。
充電(CHARGE):準備アクションを行なえば、その攻撃に以下の特質のいずれかを付加することができます:範囲、強烈、貫通。範囲を選んだ場合、攻撃の殺傷度は1減少。
面倒(CUMBERSOME):準備のマイナーアクションを行なわない限り、面倒武器で攻撃することはできない。
衰弱(DEBILITATING):この武器による負傷の治療や治癒の難易度が1増加。
擲弾(GRENADE):中距離までの対象を攻撃でき、3回分のグレネードを持つ。
隠匿X(HIDDEN X):この武器を探すには洞察+保安または理知+保安タスクが必要で、難易度はX。
不正確(INACCURATE):攻撃を行なう場合、照準のマイナーアクションの恩恵を受けない。
強烈(INTENSE):この武器で攻撃を行なう場合、2ではなく1の機運を消費することで殺傷度を増加させることができる(反復可能)。
貫通(PIERCING):この武器による攻撃が成功した場合、対象の防護はすべて無視。
天界のアルゴリズム(THE CELESTIAL ALGORITHM)
付属シナリオ。
時期は、連邦・クリンゴン戦争直後の2259年。
スタートレックのドラマシリーズである「ストレンジ・ニュー・ワールド」が、配信されているので、ちょうどそこを狙った時代に思えます。
シナリオの開始
PC達は、コンスティテューション級U.S.S.チャレンジャー(NCC-2023)で、未知の異星人の巨大な建造物の調査を命じられます。
基本的には、船に乗ったままでの冒険となります。
NPCのデータ
第1版とほぼ同じですが、個人的脅威(Personal Threat)というそのNPCだけが使える脅威値が増えています。
U.S.S.チャレンジャー(NCC-2023)
第1版との差違は、パワー(Power)の項目が無くなっていることですね。それ以外は、同じように思えます。
プリジェネレートキャラクター達
参加できるPC達は、全部で7人います。
ゼン提督は明らかにTOS映画第1作のカーク提督の役どころですね。
各PC毎に見せ場的なシーンがあるので、どのキャラクターでも楽しめそうです。
PCのデータ
趣味(Pastime)という項目が増えています。個性の追加でしょうか?。
ストレス上限は、第1版と違い、保安を加えないようになっています。また、殺傷値にも保安は加わらないようです。
ベタゾイドの士官がいますが、もうこの時代にベタゾイドと接触していたのでしょうかね?。第1版のルールだと、この時代には参加できないはずなんですけど。
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