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【アンジェルマン症候群】⑥特徴 低色素症

研究途上の、まだまだわかっていないことの多い疾患です。できる限り情報源は説明できるように心がけますが、原則的に、≪この疾患の子を育ててきたなつまま流謎解き&解説≫だったりします。ご了承ください。


アンジェルマン症候群の人の多くはなぜ低色素なの?

アンジェルマン症候群の原因となる染色体は15番です。
学術的には15q11.2欠失症候群といいます。
母方の遺伝子由来であればアンジェルマン症候群を発症し、父方の遺伝子由来であればプラダー・ウイリー症候群という別の疾患になります。

この部位がメラニン生成に関わる遺伝子の近くであり、また、この遺伝子そのものもメラニン生成に関与していそうだとわかってきています。

アンジェルマン症候群のうち、欠失タイプなど色素に関する遺伝子に近い部位まで影響が及んでいる人は、かなりの低色素となります。
つまり、髪の毛が金髪や茶色だったり、目が茶色だったり、肌が色白だったりするのです。

ですがこれも個人差が大きいです。


低色素の人が気を付けることとは

色が白いとどうなるかと言いますと、だいたいにおいて肌が弱く日焼けにも弱くなります。
日焼けすると色黒ではなく赤くなるタイプの肌です。

日本では美白ケアが大人気で、美白にに効くものなら何でもよく売れる傾向にあります。
色白に憧れる方がとても多いですが、実は色白の人は、強い日差しを受けると炎症しやすく、シワやシミもできやすく、そして皮膚の老化も起きやすい人たちなんです。

普段から日焼け止めが必要になり、夏場の外での活動には日除けが必須です。
と言っても帽子をかぶることが苦手な人が多いのもこの病気の特徴ですので、日光に当たりすぎないようにすることはかなり困難となります。

夏でも薄手のパーカーを持たせたり、水着は上下セパレートの長袖半パンタイプにしたり、学校の先生や支援者さんが傘をさして下さるなど、これまでたくさんの方々にいろいろと日光への対策をしていただきました。

今現在も、夏場はもちろん、娘のように毎日戸外での活動をしてくれる生活介護事業所に通っている場合は、真冬でも顔には日焼け止めを塗ってでかけます。
日焼け止めを使うと、当然ながら洗顔も必要になります。
娘は泡洗顔を使用して毎日お風呂で日焼け止めのクレンジングをしています。

とはいえ、ビタミンD欠乏症には気をつけたいところです。適度な日光はアンジェルマン症候群の人たちにも必要なんです。ここが難しいところです😅


弱い肌のために必要なケア

また、低色素の人の肌は炎症しやすく弱いので、化学繊維や金属でかぶれやすかったり、汗や皮脂汚れで皮膚トラブルをおこしやすかったり、また、冬場に乾燥して粉を吹いたように痒くなったりします。

気温が下がり空気が乾燥してくると、部屋には加湿器を焚き、入浴後や更衣時にワセリンやボディローションを塗布してこまめに肌の保湿をします。

まるで深窓の令嬢のごとく💦
親は自分の肌など放りっぱなしで手足も背中もカサカサですが、娘は支援者さんに至れり尽くせり肌ケアをしてもらっています。


そこまでしていただいていても、肌荒れ・汗かぶれ・乾燥肌で夜中のうちに掻き壊し、朝には下着が血だらけになっていることがあるのです。

ひとたび傷ができると、今度はかさぶたが気になって仕方がありません。
かさぶたができたら剥き、できたら剥き。
治るまで相当時間がかかります。
小さな傷を広げるのがお得意です。

絆創膏はそもそもテープにもかぶれるので貼れませんし、何より気になってすぐに剥がしてしまうため役に立ちません。
貼ってるか貼ってないかわからない程度の超極薄タイプ・低刺激フィルムドレッシング材を寝ている間にそーっと貼ったりします。


一番厄介なおむつかぶれ

中でも一番厄介なのは《おむつかぶれ》です。
いろいろな種類のものを試し、肌に合うおむつ・リハパンを探し出し、こまめに取り替えます。

日中はサイン言語を使って尿意を伝えたり、支援者さんが定時排尿に連れて行ってくださったりすれば布のパンツで過ごせる人も多いので、例え少しくらいトイレの失敗はしても、できる限り綿などの普通のパンツで過ごすほうが肌のためにはよいです。

冬場など、寒くて冷えて、特に夜中の尿量が多いと朝には布団までびしょ濡れになってしまうため、以前はリハビリパンツの中に尿取りパッドを重ねていましたが、防水ポリマー製品が2枚、3枚と重なると水蒸気の透過性が悪くなり、肌が常に湿潤してしまいます。

おむつの通気性って肌には本当に大切な要素なので、可能な限り重ねないことが大切です。
でも重ねないと漏れが心配です。

漏れにくくするためには、紙パンツ製品のウエストと大腿部周りのギャザーをしっかり手で広げてギャザーを立て、漏れを防ぐ当て方をすると効果的です。
たったこれだけのことなんですが、するとしないとでは大違いなんです。
(大人用も子供用も同じことが言えます。ウエストや大腿部周囲からのモレで困っている方はお試しください。)


我が家はこちらのTENAの製品がいちばん肌に合ったので、これを使用しています。

それでもかぶれてしまったときは、洗浄と乾燥を心がけ、赤くかぶれてきたら亜鉛華軟膏を塗ります。ひどいときにはステロイドのお世話になることもあります。

皮膚を保護するワセリンや、尿や便で肌が汚染されにくくなるようにバリアするサニーナなどの皮膚保護剤をトイレのたびにこまめに塗ったりしてこれ以上皮膚を荒らさないように保護します。

ただし、湿気ているとカビが繁殖しやすくなりますね。肌も同じです。
カビである真菌、そして化膿するほど何かの細菌に感染している皮膚にステロイドは使ってはいけません。
ステロイドは免疫を抑える作用があるので、カビちゃん菌ちゃんは育ってしまいます。
ですから、よくならないな…と思ったら自己流ではなく皮膚科に受診しなければなりません。


という具合で、低色素・皮膚の弱さに対する日々のケアは思いのほかたくさんあります。

何事も【こまめに】が大切なので、支援者側に余裕がないときはケアが行き届かず皮膚の状態が悪化してしまうこともこれまでには多々ありました。

親は何かとヘトヘトですからね💦
疲弊しきってしまわないためにも適度な手抜きは必要です。
叱りつけちゃうくらいなら無理に布のパンツにせず紙パンツにすればいいし、面倒なら拭かずにシャワーしちゃえ!
一度や二度何かをサボったからと言ってお父さんお母さんは自分を責めてはいけません。

そのバランスがとっても大事というわけです😅


たくさんのプロフェッショナルに護られて

でも、排泄にも入浴にも更衣にも、全て支援者の目と手が必要な、重度障害であるアンジェルマン症候群の人たちの皮膚異常は観察しやすく発見しやすいというメリットがあります。

誰かが気づき、少しでも早く対処を始めると悪化をさせずに済むのです。

学齢期は学校の先生、放課後等デイサービスの支援員さん、成人した今も生活介護の支援員さんや重度訪問介護のヘルパーさんが交代で細やかに観察してくださり、いち早くケアを始めてくださいますので、ひどくなるまえに軽快していきます。

我々家族だけでは難しいことでした。
娘が今、お年頃のぴちぴちした綺麗な肌でいられるのは、心とスキルを兼ね備えたプロの皆様のおかげさま、なのです。


最後までお読みくださりありがとうございました。

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地域の保健室をしつつフリーランスとしてお仕事している笑顔大好きな【なつまま】が、重度障害であるアンジェルマン症候群のキュートな娘との豊かな生活と、医療や福祉について思うこと、日々の小さな気づき・感動などを綴っております。

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