【アンジェルマン症候群】⑤特徴 てんかん
アンジェルマン症候群のほぼ全ての人たちは【脳波の異常】と【てんかん】を持っています。
高振幅徐波という小児の入眠期や覚醒に移行する時に出ることのある特徴的な波があると言われています。
てんかんと痙攣はよく混同されますが、痙攣とは発生源を問わず手足や体の筋肉に起こる不随意な収縮を指すのに対し、てんかんは脳に起源を持ち、不随意な筋肉の収縮のほか、意識消失や音、光、臭いを感じる発作など種々の症状を含みます。
娘は一歳の時に熱性痙攣を起こしました。
思えばこれが初発の発作だったように思います。
でもこれは風邪による熱性痙攣でしたから、小さなお子さんには良くあることです。この時は病名もわかっていませんでした。
その後無熱性の発作が起こることもなかったので、5歳で無熱性の痙攣発作を起こすまで薬の内服はしませんでした。
今は新しい薬もたくさん開発されています。
いろんなお薬を使っている方がいらっしゃると思うので薬の名前については明記しません。
また、同病の患者さん同士よくお薬の話をされることがありますが、今の医学では別の発作を誘発するからあまり使われないと言われているお薬も、何年も前からその患者さんの様子を見て主治医が処方しているのだとしたら大切なお薬です。
どんな心配事も主治医と相談しなければいけません。
主治医を変えたい時もセカンドオピニオンや紹介などきちんと手続きを踏まれることをお勧めします。
勝手に判断してはいけませんのでご承知おきくださいね。
私自身、そこまで脳神経学的なことについては詳しくないので、独学素人考え+なつまま流解説を書いていきます。
(脳)神経細胞というのは神経系を構成する細胞で、その機能は情報処理と伝達に特化しており、動物に特有です。
近年、末梢神経の再生を促進する再生医療技術が実用期に入っているようですが、中枢神経の再生は発展途上です。
損傷されると再生不能です。
神経細胞では、セロトニン・ドーパミン・ノルアドレナリン・アセチルコリンなど少なくとも約100種類はあると言われている神経伝達物質によりニューロンと細胞との間で信号を伝達するのですが、これらの神経伝達物質は、睡眠・行動・気分・記憶・エネルギーなどの重要な脳機能に重要な役割を果たします。
その神経の伝達になんらかの異常が起き、異常な電気活動となり電位が乱れるのが脳波異常で時として起こるのがてんかん発作です。
脳細胞そのものに損傷があったり脳を包む膜に異常があったりする場合も起きますが、画像などで目に見える脳損傷はなくても電位の異常が起きることがあります。
医薬品の服用によっても起こることがあります。
発作の形も、手足が震えるようなもの、全身がガクガクするようなもの、全身が硬直するもの、膝から崩れ落ちるようなもの、一見すると発作が起きていることに気づかないような意識がボーッと飛んでいるようなものなどさまざまな形があります。
子どもの頃は特に成長に伴い大きな刺激を受け続ける細胞ですから、成長期には発作が起きやすく、ホルモンバランスが大きく変化する第二次性徴期には発作が変化したり増えたりすることも多いようです。
生理との関係も大きいです。
娘は長く続く大きな発作に悩まされることはほとんどなかったのですが、起こせば全身性の間代性痙攣になることが多く、目が一点を睨んで回転するように倒れてしまっていました。
意識はあるのかないのか…発作時には我々の問いかけに返事はできない状態です。
フッと解けるとわーっと泣いていたのでその間の意識はなかったのではないでしょうか。
娘の痙攣発作はたいていは寝入りばなで家のベッドで起こるので危険は少なく、誰かが一緒にいてすぐに気づけるような時に起こしていました。
それが成長期(8〜15歳頃)には少しずつ増え、睡眠そのものにも影響が出ていたため慢性的に寝不足となり学校でも少し眠くなると起こしたり、送迎バスの中で起こしたりして教職員の方々にご対応をお願いしました。
頭を守るヘッドガードも作りました。
また、学校で発作があった時に医療行為として看護師さんに投薬していただくことになると坐薬挿入のお願いだけで書類が何枚も必要になりました。
バスの介助員さんしかいない時にひどい発作が起きたらその場で親を呼んで救急車に乗り換えるなんてこともありうるという話でした。(幸いそんな事態には一度もなりませんでしたが)
中学生の頃、一番細やかに診察していただいて薬を合わせていただき、日中の発作ができるだけ起こらず、かつ、眠気によって活動が阻害されない薬の量を探っていただきました。(てんかんの薬は眠気を催すことが多いのです)
そのまま発作は減少し、この7年くらいは起こしていません。
成人すると寛解することが多いと言われる経過を、お手本通り娘は辿っています。
今、その頃に微妙に微妙に合わせていただいた名残で、ある薬剤のミリ数が、
となってしまっています。
今となっては1日量1gで良さそうですが、1.05gでそのままです💦
どれだけ細かく生活の質と発作との兼ね合いを行き来して下さったかがわかる処方だなぁ、ありがたかったなぁ、と処方箋を貰うたび思います。
前述したように発作の形は人それぞれです。
同じ人でも時期によって違ったりもします。
手の震えが顕著だと細かな作業は困難を極めるでしょうし、全身痙攣が多い時は危険を伴います。
また、睡眠が乱れ、時には食事も乱れ、嘔吐することもあるので体重も減り、もちろん機嫌も悪くなります。
きっとイライラするでしょうし、眠いのに眠れないとか、思うように体が動かせない不自由さも味わっているのかもしれません。
痛みや吐き気などと違い私自身がてんかん未経験ですし、なんせ本人が話してくれませんのでなかなかそのイライラを理解してあげることができません。
が、アンジェルマン症候群の人たちの多くの症状は脳波異常に関係しているように思えるので、何かが普通じゃない時は【脳波の乱れが原因になっている?】と想像してみる癖をつけました。
てんかんの発作として現れればそれでも少しはわかりますが、発作には繋がらなくても脳波が乱れていて起こる症状もあります。
イライラするのかな、モヤモヤしているのかな、身の置き所がないのかな、などという感覚的なことになるとほんっとにわかりません。
本人は、言えないから手や足が出て、かみついたりひっかいたりが酷くて、水をこぼしたり紙を引きちぎったり、物を壊したり、こちらが痛くて辛くていい加減イラついて叱ってしまった後、発作を起こされたことも何度かあり、その度にごめんね、ごめんねと謝り心を痛めました。
体調が悪く辛いと言えないのに、それをわかってやれず、あまつさえ叱ってしまう申し訳なさと辛さ。その繰り返し。
すぐイラっとしちゃってなかなか学習ができない私は、そんなことを複数回重ねたのちに、もうこんな切ない思いはしたくないと思って、娘に対し、
と、目を見て声をかけながら、両方のほっぺを私の両手で包み込み、
と聞くことを意識して心がけるようにしました。
聞いても結局はわからないことが多いんですけどね。
それでもせめて娘が、
『お母さんは私を理解しようとしてくれている』
と思ってくれれば、せめて安心させてやることができるかもしれないと思ったからです。
そう心がけたからといって、できるようになったのはほんの数年前のことです。
娘が高校生になった頃かなぁ、、、
高校を卒業した後かも。
アンジェルマン症候群のてんかん発作は、命に関わることは少ないと言われています。
ですが、生活には大きな影を落とします。
運動機能にも精神機能にも影響するので、安全を脅かしますし、日常生活の送り方全般にもさまざまな注意が必要になります。
ですから、てんかんは、医療的にお薬でコントロールすると同時に、生活支援の中で支援者や家族がどう関わるか、どう寄り添うかで生活の質を落とさずに済むことが多いのだと思い知りました。
まだまだわからないことだらけの分野ですから、このnoteが当てはまらない人もいると思いますし、今後たくさんのケースを分析することでもっとはっきりした方法が解明される日が来るかもしれません。
ですが、23歳のアンジェルマン症候群の娘を育てた母として、ダメダメなところの反省と、こうしてダメな私なりに愛してきたという記録になればと綴ってみました。
もし今、てんかんや疾患由来に限らず、お子さんやご家族のさまざまな行動障害に困り、疲れ果てている人がいるなら、これを読んでちょっと安心してくだされば嬉しいなぁと思います。
こんなダメダメな母でも娘は私を大好きとハグしてくれ、絶大なる信頼を寄せてくれ、そばにいて笑顔でくつろいでくれる…。
ごめんねを許してくれた娘が横にいてくれます。
だから、今はダメダメな私で後悔しちゃったとしても、いつまでも自分を深く責めすぎなくていいし、できることからゆっくりでいいし、謝りながら、子に支えられながらゆっくりゆっくりお互い様な気持ちで寄り添っていければ、きっと大丈夫。
そんなことを書けたらいいな、なんて思ったんです😅
てんかんに限らない話にも派生しちゃいましたがいい機会なのでこのまま綴ります。
最後までお読みくださりありがとうございました。
🌈💕🌈💕🌈💕🌈💕🌈💕🌈💕
地域の保健室をしつつフリーランスとしてお仕事している笑顔大好きな【なつまま】が、重度障害であるアンジェルマン症候群のキュートな娘との豊かな生活と、医療や福祉について思うこと、日々の小さな気づき・感動などを綴っております。
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