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【小説】鳥かごの外は。。。#7

アキラは情熱的な感情を抑えられなかった。
だからと言って、それを直接ぶつけることなどできるわけがなかった。
すごく。。。度肝を抜かるほどのスタイルの良さ、品がある性格、言葉遣い。。。

そして、大胆な彼女。。。

全てが魅力的だった。
それだけに彼女の悩みや相談は全力でこたえたかった。

アヤもまた、アキラの人柄に惹かれていく一方だった。
どうしても離したくない男性になっていった。

「アキラはどんな顔しているの?見てみたい。。。」

アキラは躊躇した。取り立てて二枚目でもイケメンでもない。
そんな自分の顔写真は、一番嫌いな写真だった。

どうやって撮ればいいのかも分からなかった。
その当時はインスタグラムなどのSNSが、それほど流行っていないのもあり、インスタ映えなどという言葉もなかった。
当然、自撮りなどしたこともなかった。

妻や子供たちの目を盗んで自室で自撮りを何枚もして。。。
トレーニングジムに行って鍛えているのもあり、一番自信がある胸板と腕の太さが強調されるような写真を送っておいた。

アヤは受け取った瞬間、少しほっとした。

写真の中で少し緊張した表情で写っている男性は怖いとかいうよりも、入学式で硬くなっている小学生のようだった。
それだけに慣れていないのもわかり、安堵した。
アヤ自身が慣れていないだけに、こういうことに慣れている男性は、それだけで悪い男ではないのか、という疑いの気持ちもあった。

実は他のSNSで、以前から文字だけの交流をしてきた異性はそれなりにいた。
いい人もいれば、悪い人もいた。
だからこそ、慣れている人を見極めるのが難しい、というのもわかっていた。
それだけに写真は一度も送ったことがなかった。

アヤもまた、文字や言葉遣いに人柄は現れると思っていた。
持論ではあるが、ほぼそれで見抜ける。。。そういう時代だったのもある。

変に格好をつけない写真を送ってきたところに、精一杯なところを感じ、好感が持てた。
いや、むしろ好みの顔立ちだった。

背格好を前に聞いていたので、それを加味すると。。。本当に私でいいのか?と思えるほどの男性だった。。。

「私なんかでいいのかな。。。でも手放す気なんてないわ。」

アヤは不安になりながらも、心躍る毎日になった。

お互いに惹かれていくと、話すことも過激になる。

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