課程博士(甲)学位審査(前編:審査まで)

先日、医学系研究科大学院の課程博士(甲)学位審査会を開催してもらいましたので、その模様を残しておきます。

今回は、前編ということで学位審査までに何をしたのかを中心に書いていきます。大学院入学から審査会までの流れはざっと下に示した感じです。

  1. 大学院の単位を取得する(大学院1~2年)

  2. 研究成果を論文化する(大学院入学後2~3年)

  3. 論文を提出し、accept/publishされる

  4. 学位審査に必要な書類を提出する

  5. 審査会の担当者(主査、副査)が決まる

  6. 審査会の日程が決まる


  1. 大学院の単位を取得する(大学院1~2年)
    大学院卒業までに必要な単位数が決まっていますので、必要な授業を選んで受けていきます(必修もあります)。自分の研究に関係ありそうな授業を取るのも良いですし、単位を簡単に取得できそうな授業を取る人もいます。これは大学と同じような感じです。博士課程のメインは、研究ということは教員たちもわかっているので、ここは大学よりもシビアではないことが多いみたいです。
    私の場合は、せっかくならちゃんと学びたい!お金も払ってるし元を取りたい!とみんなが取らなそうな授業を取ってしまい、大変苦労しました。事前に、授業内容と担当教員の情報を手に入れておきましょう。

  2. 研究成果を論文化する(大学院入学後2~3年)
    授業を受けつつ、並行して自分の研究を進めていきます。たいがい指導教官というアドバイザーがいますので、彼らに従って研究していくことが多いかと思います。しかし、中には指導教官がポンコツ?の場合や非協力的な場合があり、その場合非常につらい思いをすることになります。研究テーマすら与えてくれない、研究について何も知識がない、指導もない、大学院在学中にできそうもない途方もない研究テーマを与えてくる、嫌がらせしてくる、攻撃してくる、成果を取られるなど、色んなタイプの指導教官がいます。ここでミスると本当に不幸です。場合によっては4年間のうちに成果をあげることができず、追い出されるか、留年という結末になる人もいます。大学院に入る前(研究室を決める前)には必ず、どのような指導教官なのか、どのような研究をしているのか、先輩はいるか(いたら絶対話を聞きに行きましょう)、成果をあげているか(全く研究業績のない研究室もあります)、みんな学位取れてるか(取れていない人がいる場合もあります)など、色々調べましょう。
    ちなみに私は、なんとかなる精神であまり調べもせず、ただ大きな夢を抱いて研究室に入りましたが、指導教官と合わずに、当初予定していた研究は全くできず、途中で研究内容をガラっとかえるという事態になりました。その後指導教官とはほとんど会話をすることもなく、研究を途中で止めたダメな奴だ!と蔭口を叩かれ、教授にも印象を悪くし?、立場がなくなりました。そのため指導教官と呼べる指導教官はいないまま研究を進め、(結果はなんとかなったわけですが)、非常に苦労しましたし、嫌な思いも辛い思いもたくさんしました。これから目指される皆さんが少しでも回避できるように祈っています!

  3. 論文を提出し、accept/publishされる
    話がそれましたが、ある程度研究をするとある程度結果も集まってきますので、それらを集めて論文を作っていきます。論文化するのに成果が足りない場合はさらに研究をしていくわけですが、いつまでやってもキリがないこともあるので、ある程度のところで何とか論文化できないか先行文献を調べたり、指導教官に聞いたり、学会で発表してみたりしながら、なんとか形を作っていきます。論文の書き方とか校正とか色々ありますけど、とりあえず、なんとか論文が出来たら、アクセプトしてくれそうなジャーナルに投稿してみます。その前に、担当指導教官の許可が必要ですが。
    アクセプトしてくれそうなジャーナルといっても、実際は誰にも分かりません。ふつうは、先行文献が載っていたジャーナルとか、自分の研究分野が多く取り上げられているジャーナルなどから選んだり、指導教官に聞いてみたりしながらジャーナルを選択します。リジェクトされると落ち込みますが、別に何の罰則もないので、より評価の高いところから出すのも一つです。ただ、投稿してから結果が通知されるまでは他のジャーナルに提出できないので、モンモンとしながら待つことになります。場合によっては半年待ってリジェクトされることもあります。仕方ないことではありますが、結果からするとその半年は時間の無駄になってしまいます。時間が永遠にあればそれでも良いですが、大学院を4年で卒業するためには多少評判(インパクトファクター:IFとか)を落としてもアクセプトされそうなジャーナルに出すのも一つです。また学位審査を通るためにIFがいくつ以上にアクセプトされないといけない場合もあるので、それも事前にチェックしましょう。またアクセプトで良いのか、それともpublishされないといけないのかもチェックしておいた方が良いかもしれません。
    私は、時間的な制約があったので、学位審査を通る条件を満たしていて、なんとなく通りそうなジャーナルに提出し、アクセプトしていただきました。本当は時間があればもう少し上のジャーナルに挑戦してみたかったです。
    また論文については、指導教官がどこまでかかわってくるのかも大事になります。論文のほとんどを指導教官が書いたという話もたくさん聞きます。その逆で、全く指導もない場合もあります。書いてもらえるのはもちろんありがたいですが、それを自分の論文として発表するというのも気が引けますよね。共著者に入れるか入れないか、コレスポ(責任著者)はだれか、共著者の順番はどうするかも含めて、まだまだ闇があるのが現状ですね。

  4. 学位審査に必要な書類を提出する
    論文が通れば、あとは学位審査に向けて書類を作成するだけです。作成するだけといっても、けっこうめんどくさいです。また学位審査にむけての年間スケジュールはだいたい決まっていて、○月までに書類一式提出→●月に学位審査→△月に学位取得/卒業と、終わりの時期まで見えてきます。逆を返せば、〇月までに間に合わないと、終わりの時期がどんどんずれ込みます。そのため余裕をもって出すのをお勧めします。不備がある場合も多く、これを書き直せ、これを付けたせ、この承認をもらってこい、サインが抜けている、印鑑が押していないなど、色々言われることもあります。それも含めて余裕をもって提出できると良いと思います。

  5. 審査会の担当者(主査、副査)が決まる
    書類審査を通過しますと、あとは学生課が勝手にやってくれます。審査してくれる教員の方をこちらの意図とは無関係に選出されます。(教授同士ではどの人が担当になるか話し合いが行われたりすることもあるそうです)。決まり次第、通知が来ます。厳しい先生なのか、この研究に関係がある先生なのか、顔見知りかなど色々思うところはありますが、ここで変更することはない(出来ない)と思いますので、どんな人であっても覚悟を決めるしかありません!
    昔は、袖の下?とか菓子折り持ってご挨拶に伺うこともあったようですし、今でもあるかもしれません(挨拶ならまだしも金品などの受け渡しは禁止されています)。私の場合は、全くご挨拶に伺わず、審査会当日に初めて顔を合わせたという感じです。良いのか悪いのか分かりませんが(これも通例というか伝統があると思いますので、先輩方に聞いてみるのが良いかもしれません)。個人的には挨拶くらいはしておいた方が良かったのかなと思いました。

  6. 審査会の日程が決まる
    先にも述べましたが、書類を提出する時期からある程度審査会の日程も推測できます。ただ、担当教官(主査、副査)の方々のスケジュールに合わせてけっこう変更されます。私は、通知から10日後くらいと急に決まり、あまり準備期間がありませんでした。書類を作成したら、すぐに審査会の準備に移ることをお勧めします。審査会の日程が決まってから準備していると間に合わない可能性もあります。また審査会がどのように行われるのかも知っておく必要があります。プレゼン時間がどれくらいか、質疑応答はどれくらいか、スライドの枚数に限りがあるかなどなど、先輩や同期の発表を聞きに行くのが良いと思います。


以上、大学院入学から審査会までのことについて大まかに述べました。ここまでで約3年くらいの時間をかけていますので、色々書ききれない思いや出来事もありますが、最後まで気を引き締めて、笑って終われるようにしたいですね。

次回は審査会、当日について書いてみようと思います。

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