食べる機能の獲得が難しい子ども❶
食べる機能の発達を書き終わりましたので、食べる機能の発達、獲得が難しいお子さんのことについて書いていこうと思います。
食べる機能は発達、獲得していくからだの仕組みです。
食べ物の性質(特に固さ、感触)を口で感じて、口が動いて、繰り返すことで獲得、身についていきます。
この仕組みを使うことが苦手なお子さんがいます。先天性の疾患などのお子さんです。その様な方に私は、摂食機能療法、という食べる機能をそのお子さんの発達やからだの様子に合わせて安全に美味しく楽しく食べることが出来るための治療を行っています。
食べるリハビリテーション(Rehabilitation)と言いますが、子どもの場合は、ハビリテーションと言います。RehabilitationのReは再びという意味で大人になって病気などで食べることが出来なくなった方は子どもの頃に食べる機能を獲得していますから、もう一度取り戻すということ、これから獲得していくので再びの意味のReはつかないハビリテーションと言います。
先天性の疾患など、食べる機能を獲得することを難しくする理由ですが、そのほかの事でも食べる機能を獲得することを邪魔するものがあります。
「感覚運動体験不足」
赤ちゃんは離乳食を食べる前から指しゃぶりをしたり、手に握ったものを口へ持っていって舐めたりしています。食べる仕組みは、感覚ー運動系と呼ばれます。入って来た刺激に応じた運動が引き出されるという仕組みです。口が食物の固さなどの性質を感じるセンサーになって食物の固さに応じて必要な動きを引き出すことが出来るよう、口の中をどんどん触ることで口の中に入って来た食物の固さを見極める準備をしています。
脳性麻痺などで自分の手を思うように動かすことが苦手なお子さんは、指しゃぶりなどによる感覚ー運動系を体験することが難しく、その結果見られるようになると考えられているのが過敏です。
ここで言う過敏は口の中に入る触覚に対しての過敏です。過敏かそうでないかの見極めは非常に難しく、いつ誰に触られても触ったところを中心に緊張していく、力が入ってしまう様子を子どもの食べることに関わる人は過敏と呼んでいます。私が触ると力が入ったりひどく嫌がるけれど、親御さんが触ると何ともない、と言う様子なら過敏とは呼ばずに心理的拒否と呼んでいます。
過敏があると口の中に入った食べ物の固さを見極める事が難しく、固さに応じた動きを引き出す、食べる機能を獲得する事が難しくなります。また、顔まわり口周りに過敏があると、口の使い方を身につけていくいわゆる訓練を行う事が難しいのです。そのため過敏がある場合は、脱感作と言う方法で過敏を取り除きます。脱感作については、日本摂食嚥下リハビリテーション学会訓練法のまとめ、をご覧下さい。
https://www.jsdr.or.jp/wp-content/uploads/file/doc/18-1-p55-89-explanation.pdf
https://www.jsdr.or.jp/wp-content/uploads/file/doc/18-1-p55-89.pdf
そのほかの先天性の疾患などがあり食べる機能を獲得することを難しくする要因についてはまた次回に。
参考文献
金子芳洋編:食べる機能の障害、医歯薬出版