それぞれの全身状態に合わせて五感を使って食を楽しもう
オンラインで、第29回重症心身障害児(者)Q O L向上懇話会に参加しました。
恩師の向井先生が特別講演でお話をなさいました。
食を楽しむ支援は、食の多様性の尊重であり、実際に食物を食べることだけではない。その子どもの状態に合わせ食べる楽しみの多様性を検討する。そこに五感を通じた支援、食の楽しみを共有する考えを取り入れよう。という内容でした。
お子さんの全身状態によっては、食物を食べる経口摂取が難しい場合があります。
経口摂取が難しい重心身児者へは、五感刺激の受容、食べる喜びを感じ、美味しさを感じることを通じて生きている実感を感じQOLを高めることを支援の目標として五感を使う対応が可能です。
視覚、嗅覚、手に食物を持つ手指感覚、は食物の認知につながる
食べ物を口に取り込むときには、口唇、舌への触覚がはいる
口に入った安全な食物を唾液と混ぜ、味覚、嗅覚の感覚がはいる
甘い飴を使う味覚刺激
飴を見て匂って視覚、嗅覚に刺激
→下唇の裏の粘膜に甘い味を塗る
→唾液による甘味や香りが広がる
→甘味、香を受け入れるとと耳下腺からのさらさらした唾液が分泌される
→味蕾、嗅覚への刺激がはいる
→味、美味しさの経験を得ることができ、これが唾液の嚥下訓練となる
→快をもとめ舌の動きが出る
→下唇を舐める運動ができる
食物を嚥下できなくても嗅覚、味覚の刺激による食の楽しみの支援ができるのです。
ドライフルーツでの咀嚼訓練(細長くしたドライフルーツを、下唇、舌の横の縁、歯並びに乗るように置き、端は介助者が持つ)
経口摂取できない重心身児者に行う場合は、咀嚼の運動を目指すものではなく、食物の固さを感じる歯と歯ぐきをつなぐ組織の歯根膜で食物のかたさを感じる触覚(歯ごたえ、と思って下さい)、分泌する唾液にドライフルーツの味が溶け、味覚を感じることを目的とします。
食を楽しむことは人間の楽しみの一つと思います。お子さんそれぞれの体の様子に合わせて安全に美味しく楽しく食べる支援をこれからも心がけたいと思います。