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食べる機能の獲得が難しい子ども❹

摂食嚥下障害は、食べること、飲み込むことが疾患などが原因で難しい状態を言います。

大人の場合は、食べられていた人が病気などが原因で食べられなくなるのですが、子どもは様々な原因が食べることを身につけることを難しくする事があります。

低出生体重児、早産児(未熟性)
赤ちゃんはおかあさんのお腹の中で、生まれてから使うからだの仕組みを作る準備をしています。32週くらいに生まれて哺乳するための仕組みの、哺乳反射(探索反射、吸啜反射など)が見られるようになると言われています。

小さく、早く生まれた赤ちゃん、哺乳反射が見られる前に生まれる、呼吸と飲み込みの協調性がうまくいかない、と言う理由で生まれてすぐには母乳やミルクを飲むことが難しく、チューブを使って直接母乳をお腹に注ぎ入れて栄養をとらなくてはいけません。

からだの形が生まれつきや生まれた後に食べたり飲んだりするのに難しい形になっている
(解剖学的構造異常)
食べる機能を獲得するためには、食べる仕組み、食べる動きだけではなく、食べる時に使うからだの形も関係があります。

その中に口唇口蓋裂があります。母乳や哺乳瓶からミルクを飲むには、口をぴっちりと閉めないと難しいので、手術をする前にくちびるにはテープを貼る、上あごの裂には母乳やミルクが鼻漏れしないようになど助けるホッツ床を入れ哺乳を助けます。

その他、下あごが小さく嚥下と呼吸の協調が難しい事がある小顎症、食道が上下で止まってしまって繋がっていないなどの食道閉鎖症もこの分類に含まれます。

食べる仕組みを司る事が難しい疾患
(中枢神経、末梢神経、筋障害)
食べる仕組みは、口で感じた食べ物の固さに見合った口の動きを引き出すことの繰り返しで獲得していきます。柔らかいものはそれに見合った動き、固いと感じたものは固いものを食べる動きを引き出し獲得していきます。

その動きを引き出す事が苦手な疾患、脳性麻痺や筋ジストロフィーなどがこの分類に含まれます。

ダウン症をはじめとする染色体異常もこの分類に含まれます。

咽頭、食道機能障害
食道入口の筋肉の仕組みが難しい輪状咽頭筋機能不全、アカラシアなど

全身状態
先天性の呼吸器疾患、心疾患があると、哺乳の仕組みが難しく母乳やミルクを飲むことが難しくなります。

精神・心理的問題
拒食、食べる機能に問題はないけれど食べられない食べたくない乳幼児摂食障害がこの分類に含まれます。

そのほか、精神発達遅滞、自閉症、発達障害など様々な原因疾患や状態が食べる機能を獲得することを難しくしています。

参考文献
田角勝、向井美惠:小児の摂食嚥下リハビリテーション、医歯薬出版

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