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『プリズム』参加者レポート⑥
レポート作成者:イグロヒデアキ さん
『ドラマチック界隈』行ってきました。
これだけ聞くとなんのこっちゃわかりませんが、とっても平たくいうと、演劇ワークショップに参加してきました。
そしてレポートを書くと参加費が500円引きということで今こうして、お財布へのありがたいシステムを享受するために書いております。そんなシステムも込みのちょっと新しいワークショップが『ドラマチック界隈』です。
これだけ連呼すれば、ちょっと口にだしたくなってきましたかね?
『ドラマチック界隈』では毎回ファシリテーターが変わるそうで記念すべき第一回の今回は劇団エンニュイ主宰/クレオパトラの長谷川優貴さんでした。そしてこの長谷川さんの私の印象を早速、言いたくて耐えきれず書いてしまうのですが、とにかく、最初から最後まで涼しい方でした。すかしているわけでもカッコつけているとかでもなく、涼しい。もちろんいい意味です。
私は役者以外にも作・演出、監督などもやっていてワークショップの講師をする機会があるのですが、おわったら、ヘロヘロに疲れていて、汗だく、なんか衣服も乱れ、下手すると喋りすぎたのか、なぜか役者より声が嗄れている、なんてこともしばしば。
その点、長谷川さんはワークショップの終わりでも白シャツが一切乱れることもなく、汗ひとつかくこともなく(ちょっと盛っています)最後まで感じのよさがかわらず、快適な空調のなかで静かに調べものをしていたかのような穏やかさでした。
それはなぜか?つい作・演出に比重がいってしまう作劇にしっかり役者が参加できているからではないか?という私の見解です。
今回ワークショップのメインで課題となる台本が当日渡され、それを二回ほど読んでから、台本を離して、実際に頭から終わりまでやってみるというものがありました。
当然、当日渡されていたので、セリフを覚えきるのは困難なので、セリフは崩してもよく、覚えていなかったりなどは共演者でフォローしながらやってよい、そして言いたくなったセリフや行動はやってよい、つまりアドリブオッケーという条件でした。
ここまでは、私も20年は役者をやっているので経験ないわけではないちょっとした老兵だったのですが、その台本の量が15ページ、そして5人の入り組んだ会話劇…
この量と複雑さを台本離してやるのか…このパターンちょっと経験ありませんでした…
結果、私がこれをやったらどうなったか?
台本の理解が理屈じゃなく感覚で深まっていきました。「見るんじゃなくて観ることだ、聞くんじゃなくて聴くことだ」と某漫画のセリフを思い出しました。
当然セリフは覚えられておらず、そして予期せぬアドリブをいってくるかもしれない自分も含めた5人、しかしみんな作品としてやりきるのは共通の目的としてあるので、なんとかして、空気を一緒につくり、結末までもっていくのです。
なので危機もわかるし、うまくいっているのもなんかわかるし、しかもなんかみんなでそれを共有できてそうだし。これは台本を家で一人で読み込むだけではできないやつです。そして終わったあとは疲れてはいるのですが、作品作りに役者としての役割でしっかり参加したという、爽やかな充実感がありました。
これはきっと長谷川さんの『涼しさ』に通じるものだと思いました。
各々役割を与えられ、自分の役割の仕事を全うできる。それにより各々の仕事量に余分や不足の少ない瑞々しい感じ…涼しいや…。
とはいえ後日、長谷川さんのツイッターを見ていたら、ワークショップの次の日は全身バキバキみたいなことが書かれていたので少し安心しました。そらそうですよね。
最後に、実は今回のこのドラマチック界隈、まるで公演のように、#1「プリズム」とタイトルがついていました。ざっくりした日本語では「ガラスなど透明体の三角柱で、光を屈折・分散させるもの」とあります。主宰者の石崎さん、佃さんに「タイトル、なんであるんですかー?」とはちょっと野暮なので聞けませんでした。そしてここでその意味を考察するのもさらに野暮な気がするので、#2のタイトルを予想することにします。
#2は「JOY」でお願いします。