海のはじまり 3話 歩み寄る親子
回想:すくすく。すくすく。もうすぐ娘のすくすくが見れなくなる水季。
どの場面で伏線回収がくるのだろうか?
南雲家を訪れた夏は、自分に懐く海に戸惑いを感じながらも祖父母の見様見真似で慣れない会話をする。ランドセルが紺色。この子は青系が好きなんだろう。女子はピンクや赤が好きと言うくだらない固定観念を発育段階で植え付けられなくてよかったね。きっと、スカートよりパンツもよく着る女の子なんだろう。水季の好感度が上がる。
「夕飯、うどんでいい?」。葬儀で気が動転して一際威圧感を放っていた朱音が夏を受け入れ始めていることが言葉遣いの変化からもうかがえる。朱音は短気なところもあるが本当は優しい拗れた人なのだろうと思う。もしかしたら今後、2人の最大の見方になる可能性もありそうだ。ラスボスではなさそうだ。朱音の好感度が上がる。
会社の同僚たちと食事をする弥生。先輩の子育てを羨んでいるだけの母親になりたいシンドロームなんだろう。過去に母親になれなかったからこその憧れ。「後悔してるってことですか?」。そんなこと聞くか?馬鹿か。弥生の好感度が更に下がる。
長い昼寝が覚めた海が夏がまだいることを確認し、また昼寝の続きに戻る。「(いることを)喜んでる」。この言葉がいつか夏と海の合言葉になればいいと心から思う。お互いの存在が平静と幸福の糧になるような存在に。
夏がなぜ海に好かれているのかわからない、と言う。そりゃそうだろ。数日前まで娘の存在すら知らなかったのだから。しかも、悪気はないが、ぼーっとした性格の夏だ。全部素直に受け止めてしまう。理解し終わるまでにも時間がかかるだろう。今時のちゃっかりした子ではない。この時点では、こんなぼんやりした子と付き合っちゃたんだろうかね?が南雲家の夏に関する感想だろう。
一方、水季からパパの話を聞き、予備知識がある海。水季のことだから、もしかしたらこれから関り合う2人のためにそんなに悪いことを伝えてなかったのだろう。嫌いになったわけではなく、どちらかといえばいい思い出が多かった元彼だ。朱音は自分の過去を語り出し、出産することを知らせなかったのは、夏の選択肢を狭めたくなかったためと告げる。それは水季の勝手だろう、と突っ込みたくなるのだが。その当時は、娘をおいてこの世を去るという悲劇は知り得なかったわけだから誰も責めることはできない。あえて朱音が「頼りないとか、そう言うのではない」と言うのは誰から見ても夏は頼りないからだろう。
大いなる勘違いで、夏からの電話で盛り上がる月岡家。この能天気な家族は唯一このドラマにおいてほのぼの感を醸し出している。その中でも、弟・大和は可愛い笑顔でいつでもお兄ちゃん大好き!感を全身から醸し出す一服の清涼剤だ。大和も海同様、コミュニケーション能力に長けた頼もしい存在だ。でも、いざとなったら長男の危機に最大の味方になるのは目に見えていて。この愛すべき家族の存在が今から涙を誘う。しかしなぜ、月岡家は弥生が好きなのだろうか。Everything is welcomeなのか。いい嫁になりますアピールがすごいのか。ああ、弥生の登場シーンを全て違う女優の顔と声に変えてくれるアプリがあればいいのに。
「電話の母親に、ってあれ」。夏よ、よく考えろ。本当におこがましいぞ、いや、とてつもなく図々しいこと言っているぞ、そこの女。お前のセンスかなりおかしいぞ。
ああ、夏よ、なぜ、まだ通い始めてまもない南雲家に弥生を連れて行く?海の誕生日ならまずは南雲家で4人で祝うのが筋だろう。そりゃ朱音も攻撃的になるだろう。手土産は悪趣味なピンクのイルカ。海だけでなくほとんどの人がそんな色のイルカ初めて見ただろう。全ての女の子はピンクが好きだと思っているのか。権利の問題でドラマには登場しないテーマパークににも、海が心底喜ばないにもかかわらず連れいていくタイプだよね。水季が金銭的にも連れ行かななかった日本中のテーマパークにも。被り物とかフードを片手に「月岡君、シャッターチャンス!」とかぬかして。そういうマテリアル的な世界に海は育てらてないんだよ。
しかも、海ははピンクの物なんてあまり持っていないだろうに。それは、水季と海しか知らないことだろうが。まず、好きな物と色も聞いてもらうだろう、普通。普段から自分の意見を押し付けがちな弥生らしさがダダ漏れな瞬間だ。とっとと帰れ。この家に絶対受け入れられない存在だと言うことに気付いた方がいいよ。
ただこのピンクのイルカがこの先の不調和音になるアイテムなのかもしれない。希望を持ちたい。しかし、この場面でも海は大人すぎた。見よ、朱音の複雑な顔。
いつも元気な海の様子に違和感を覚える夏。その違和感だらけの現場の中で、夏に親になる練習の機会を与え、歩み寄ろうとする祖母の姿は大きかった。笑顔で4人を見守る祖父・翔平、偉大すぎる。しかし、この男もいつかは壊れる日がくるのだろうか。
ママの思い出がある図書館に行く3人。「これ、写真とって欲しいやつだ」。全て嘘臭く聞こえる弥生の口の動きだけのセリフ。憧れだけで親子像を口にするな、と思う。
朱音と翔平の会話。「私お母さんやりますって顔してた」。そのモヤモヤ感分かる(文句ばかり言ってるが私も母親だ。もし息子が同じことをしたら、こんな彼女がいたら言葉を選ばずガツンと釘を刺すだろう)。朱音は翔平の「ああ言う子がいると安心」って言う返しも気に入らないのだろう。安心と言うのは夏の頼りなさをカバーしてくれると言う意味だろうが、果たしてそうだろうか。夏もある時点で成長するだろう。彼か頼りないのは、今まで極限までそういう現実に立たされたことがないからだろう。それは、彼がそういう性格になった経緯は違う回で描かれそうだ。もし、それでも頼りない男なら、みんな見捨てるだろう。しかも、そんな男の物語は、フジテレビ月9の主人公として描かれないだろう。しかもキラキラストーリーしか描かれてこなかった夏季の月9だ。そんなキャスティングと時間と金の無駄遣いを落ち目のフジテレビがするわけないだろう。Silentで日の目を見た起死回生をかけた戦いのだろう。
図書館でもまた海の親衛隊の1人・津野に責められる夏。津野は水季のことを好きだったのだろう。刺のある口調だがそこまで悪い人ではないのが見て取れる。ただ、自分も呼んだことがないのに、元彼というだけで「水季、水季」と呼ぶ夏に嫉妬しているのだろう。津野の自虐タイム炸裂。この人はこの先も水季を追い求め続けるのだろう。夏より遥かに水季と海と過ごした時間は長いわけで、突然現れた頼りなさげな実父の出現に嫉妬と羨ましさが湧き上がったのだろう。彼自身にはない血の繋がりが。もし、夏が、見るからに人生の勝ち組のようなイケイケな27歳なら津野の態度はどうだっただろうか?もっと反発心を持ちつつのではないだろうか。そんな男を水季が選ばない安堵感。さらに予想以上にぼーっとした夏。なんなら海のほうがしっかりしている。いじめ甲斐のある夏に、一時的なパワハラを与える同僚の嫌キャラを演じつつも、最終的にはある程度の距離感を保ちつつも最高の見方になる良い人止まりな最高の友人。失礼な表現なら、ヒエラルキーの下軍同士の共存的な、どこの学校にもいる、3軍中軍女子に思いを寄せる4軍の男子的な悲しい存在という悲しさたる所以。夏もいわゆるイケメンだか地味な性格ゆえに気付いてもらえない地味な存在だったのではないか。
最近まではお互いの存在も知らなかった、いわゆるインスタント家族なのに、やはり親子の絆が滲み出る2人の姿を見て、「疎外感」「外野」という言葉を弥生に投げつける津野。これは彼の、夏に対する嫉妬と抵抗、そして諦め、さらには弥生に対するこれから彼女に降りかかる不幸の警告なのではないだろうか。その言葉を受ける弥生の顔が気持ち悪い。
南雲家に海を返す際に、「私こそ楽しかったです」と話す弥生に、朱音が責め立てる。もっと攻めてやればいいのに。なんならこの彼女を連れてきた時点で、夏を攻めたれれば良いのに。夏も何も言わない。どんな言葉をかけてもどちらも癒すことはできないのを知っているからだろう。時々、意外なところで鋭い夏。
帰り際、弥生に「楽しかったね」と2回声をかける2人。何をもって楽しいと言っているのだろう。一時的に弥生を慰めるのなら、弥生のためにならないよ。それはすでに、あなたたち2人が知っていること。埋められない溝があることを。肯定することで人は安らぐというが、弥生みたいな性格にその手段は通用しないだろう。早く別れれば、この先傷が小さくて済むだろうに。絶対、この先、さらなる歪みが生まれてくるだろう。
会社の先輩のセリフ。いつも数秒の登場だが夏に父親とはなんぞやという良い教訓を与えてくれる。こういう存在が彼の周りにもっといれば良いのに。
学校帰りに夏の家に遊びにくる海。なぜ、昼間から弥生がいるのか。この間、釘刺されたばかりなのに、どこまでも出しゃばる完璧気取りたい彼女。そして、母親が他界したばかりなのに変わらずっと元気な海の様子を朱音に問う夏。こういう細かい気づきも朱音の夏への認識を改善する一因なのだろう。夏は海が壊れてしまう前に空元気の要因を解き放ってあげたかったのだろう。本人も親の再婚でこのような経験を歩んできたのではないだろうか。海も夏は自分の見方だと潜在的に認めているのだろう。
弥生同様、腹話術のような表情が夏の問いかけに対しさらに引きつっている。夏が海に語りかかける間、いちいち横槍をいれる弥生。その横槍、優しいように見えて心がこもってないんだよ。早く消えろ、という嫌悪感に呼応するシーンが訪れる。弥生の性格を知って、制するより諦めたのか、夏が隣の部屋に移ったのは、海が泣きやすいようにスペースを作ってあげたのだろう。夏へと走り出す海。泣きながら夏に抱きつく海。抱きしめ返し一緒に泣く夏。やっと海を抱きしめることができた父性が芽生え始めた夏。
初めて心から涙が流れた瞬間でした。この2人の絆はこれからもっと強くなっていくことだろう。号泣。
(一方、疎外感を感じる弥生。ここで足掻かず消えてくれと思った視聴者は私だけではないはず。SNSで発するには強すぎるこのワード。個人的な備忘録としてあえて投稿します。多分、違う女優にキャスティングしていたならここまで嫌悪感を抱かなかっただろう。この感想を真面目に読んでいただいているドラマの読者や女優のファンの方々にお詫びをいたします。この演技、とにかく無理です。個人の意見ですので無視してください。この相手役の女優の演技。たぶん、これは演出マジックだと思いますが、個人的に無理です。この演技を圧巻と褒めている方いらっしゃいますが、その理由を教えていただければ、私の偏った意見が変わる可能性もあります。どうぞご教示ください。宜しくお願いいたします。今更ですが、このドラマ感想は、弥生役の演技に対する批判が多くなります。物語的にいろんな立場を演じる俳優が登場するのは理解しております。弥生役の女優は過去の多くの作品を通し、好みではないのです)
迎えにきた朱音に嫁気取りで語りかける弥生。それまた違和感。それまで他人行儀だった海と夏が一気に仲良くなり疎外感をさらに感じていたからだろう。冒頭の「すくすく」が伏線回収される。きっとこの言葉はこの先、海と夏を司るパワーワードになるのだろう。夏の実家の事情を知る朱音。パパが2人いる夏を素直に受け入れる海。水季が生前、夏のこととは告げず海にパパが2人いても良いの、と教えていたからだろう。一般的に受け入れられづらい事実も受け入れられるように、多様性を教えていたのだろう。水季は、近代的なママの代表例になり得るのではないだろうか。ここで将来、つまらないママが増えないようにパパを見張っていてね、と願わずにいられない。
夏のお陰でママの不在を堂々と捉え、悲しみも表に出せるようになった海。そういう自分もありなんだと。いつもみんなを安心させるために元気でいなくても良いんだと。もし、本当に泣きたくなったらいつでも抱きしめて一緒に泣いてくれるパパがいてくれるんだと確信できたから。
仕事帰りに海に会いにいく夏。出しゃばる弥生を制すように1人で行くという選択は素晴らしい。少し成長したね。
海への嫉妬か、切札を夏に送りつける弥生。もう本当に永遠に消えてくれ。夏はこの女のどこに惚れているのか、邪心が生まれる。こんな文章書いてる自分が嫌だわ。
ビーチに佇みカメラを手に取る夏。水季と遊びに行ったあの日を思い出しているのだろうか。前回、海から取り上げたカメラを、今回は使い方を海に教える夏。これからこの2人の大切なアイテムになっていくのだろう。この古いフィルムカメラにも何かしらの夏の過去が隠されているのかもしれない。
海だけが笑顔で話しかけるというこれまでの構図ではなく、このシーンでは同じ目線で、ちゃんと会話をし、笑い合う姿2人。「パパしなくても良いから、いなくならないで。パパとママ、1人ずつしかいないからいなくならいで」という、海の切実な願い。それを受け止める夏。もうこの時点で2人の間には気後れする空間はもう消えていて。きっと紆余曲折の末、海の願う最高のパパになってくれるよ、夏君は。
写真を撮る2人。笑い合う2人には親子になるという未来への迷いはもうないのだろう。もう少し時間がかかるだけで。待ち受けるこの親子とその2人を取り巻く未来。
夏の後をついてまわる海。象徴的なシーンとしてこれからも出てくるのだろう。もしかしたら、1話の冒頭シーンが2人の最終話のシーンのアンサーとして使われるのだろうかと期待する。
ずっとこの2人が最高の笑顔で笑っていれますように。
4話は水季に関する内容はさておき、弥生がメインの回になるのでコメントはしません。夏は、そんな弥生に寄り添おうとすると思いますが、あえて控えます。夏と弥生が想いを再確認する回などこのドラマには必要ないと思っているので。ごめんなさい。
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