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美術の授業で覚えていること

私は手先が不器用な方で、図工だの美術だのの授業はどちらかと言わなくても苦痛な部類だった。少なくとも何かの賞を取ったこともないし、先生から良い評価を受けた記憶もただ一度しかない。今回はその一度の記憶を綴る。

それは中学生の頃。何年生だったかは覚えていない。投影図法について学び、投影図法を使って絵を描いてみようという授業だった。私はキャビネット図、つまり、縦・横・奥行の比率を1:1:0.5で描く図法を用いて充填図形を描くことにした。しかし、鉛筆で下書きしていると、書き始めた辺りは良かったが、最後の方は数mmの誤差が出るようになってしまい、何度も修正を加える。何とか誤差が気にならない程度になり、色を塗る。同じ側の面は同じ色で塗った。そうして私の作品は完成した。

私の描いたこの作品は、先生から言葉をもらったことを覚えている。
「同じ面に使う色をグラデーションにして、位置によってトーンを変えるともっと良かったかも。」
全面的に褒める言葉では無かったが、私の几帳面さが表れたその絵を、先生はそう評価してくれた。私には微細な色合いの使い分けはどうも難しく、その言葉を実践には移さなかったが、私が描いた絵についてリアクションをもらえたことが珍しく、この出来事は印象に残っている。

あの頃は絵を描くことは好きでなかったが、今は違う。せっかくなので、今回使った画像はその先生のアドバイスを取り入れたものにしてみた。自分の表現したいものを形にするために描くのは楽しい。