「バブルへGO」からの断絶 -プロ野球チームにおける連続性-

阪神を応援しつつも

阪神巨人戦を大変興奮しながら見た。岡田阪神を応援していたので第1戦は手に汗握ったし、第2戦は落胆した。
阪神には是非2連勝してほしかったので残念である。でもまだ終わったわけではないので、最後まであきらめず闘って欲しい。
巨人もすんなりいくかはわからない。水・木のベイスターズも負けられない立場だし、金曜のドラゴンズも宏斗が本気で来るだろう。他の選手も立浪から解放されて気分いいだろうし。

というわけで阪神の負けは残念だったのだが、その残念さの程度は、ドラゴンズが毎年優勝争いしていたあのころの感情の強さとは比べ物にならない。

今のタイガースは好きだが、やはり私はタイガースファンではない。甲子園で応援して勝ったら喜んで六甲おろしを歌ったりとかは、一生しないしできない。
ドラゴンズファンだった自分にとって、それは理性的にも感情的にも不可能だ。

私にとっての中日ドラゴンズの断絶

落合監督解任に激怒し失望し、2年間ドラゴンズの試合を見るのをやめた。
(だからクラークとかの印象はほぼない。)
谷繁監督になって気持ちを立て直し、森監督時代まで見守った。
与田監督時代も、いろいろあったがそれでも見守った。

立浪監督就任で一気に疑念が広がった。
案の定采配に疑問・怒りを覚える日々。
そして根尾コンバートで怒りがピークに達した。
もう知らん。
私は落合中日の好敵手だった岡田が率いる阪神をフォローし始めた。

本当はドラゴンズファンに戻りたい。しかしそれも難しい。
それは単に弱いからというわけではない。弱いだけなら頑張って応援する。

プロ野球はある意味大河ドラマだと思っている。多少の顔ぶれの変化はありつつも、十分な連続性があるから、ファンは同じチームを応援し続けられる。
しかし今のドラゴンズは、複数の意味であの頃のドラゴンズから断絶してしまっている。

フロント

まずフロントだ。強い中日を支えた白井派から、今の大島派に変わった。長い間候補にも挙がらなかった立浪が就任できたのもこれが関連しているのだろう。
この3年間ドラゴンズは掛け値なしに弱かったが、客はたくさん来ている。球団経営としてはこれで正しいのだろう。

所属選手・コーチ

それから選手・コーチの顔ぶれだ。
この3年間何があったか。

京田や阿部がいなくなった。ビシエドが干された。山拓もいなくなった。若手の有望株だったはずの郡司もいなくなった。優良助っ人だったアリエルもいなくなった。根尾のコンバートは今でも考えただけで怒りが涌いてくる。河の流れが切れてしまった感はどうしたって否めない。

中田と中島。かつて日ハムと西武の顔だった、今は引退間際の選手。違和感しかない。どうしたって萎える。福谷が言ったとおり、ビジョンが全く見えない。FAでわざわざ来てくれた谷繁や和田とは全く違う。

宇佐見や齋藤に関してはいい活躍をしてるとは思うが、まだ「ああ外から来た人だなあ」という感覚だ。

コーチ陣についても、ノリが去り、荒木が去り、英智が去った。寂しさを感じざるを得ない。で主要ポストが片岡。言葉がない。

応援歌

加えて、燃えドラ以外の旧応援歌の全廃も私にはかなり大きい。勿論やむを得ない事情があったのは承知しているが。

荒木や谷繁の引退試合は現地で観戦していたが、新応援歌での別れに激しく萎えたのは私だけではあるまい。全盛期の応援歌をアカペラでしか歌えない状況は本当に寂しいものだった。
また、全体的な応援歌のメロディーの曲調自体が新応援団移行でかなり変わったようにも私には感じられ、ここにも一つの断絶を感じざるを得ない。
(これについては記事末尾にもう少し続きを書いた。)


切れた糸はつながるのか

2010年日本シリーズのときは感情がものすごく揺さぶられた。
現地で見ていた第5戦、絶体絶命の場面での聡文の奇跡的なゲッツーや大島の勝ち越しタイムリー。
また第6戦で土壇場でスリーベースを打った和田の顔や、チャンスでファーストライナー打った後の荒木の顔。一生忘れない。最終戦で岡田に打たれて放心する浅尾の顔とか。

またあんなにはらはらしてドラゴンズのゲームを見られるのだろうか。
切れた糸はつながるのだろうか。
井端監督。
これが実現すればワンチャンつながるかもしれない。

あるいは、このまま近鉄ファンのような感じで生きていくことになるのかもしれない。


(応援歌について)

各球団の応援歌は、連綿としてある種の曲調が保たれているものだ。作曲者が同じなのか、あるいは作曲の手法が受け継がれているからなのか、それはわからない。でも巨人の応援歌は巨人っぽいし、阪神、横浜、広島、ヤクルトもみんなそうだ。
近本や森下みたいな長音多めでゆっくりなわかりやすいメロディーはどう考えても阪神。
最近は変わってきてるかもしれないけど、牧(村田)・筒香・宮﨑なんかは横浜のリズム(オースティンもまあこの系統か)。
かっこいいマイナーコードはいかにもヤクルト(塩見・村上・サンタナとか)。メジャーコード曲はタイガース同様わかりやすいけどもっとBPM速めで刻んでくる(青木・オスナ、もういないけどバレンティンとかガイエルとか)。
まあいい曲なんだろうけど、凝りすぎて大げさ感あるのが最近の巨人。
謎の曲からどこかの4小節だけ抜き出してきたような独特の展開が広島の調べ(野間とか小園とか末包とか多数)。
音楽の専門家ではないので的確に説明できないが、きっと何らかの類似性があると思っている。

今の中日の応援歌もある種の曲調を持っている気がするが、でもそれは旧応援歌の曲調とはかなり異なって聞こえる。
(ただ後藤駿太や龍空はカープっぽい。細川はバファローズっぽい。これをきっかけに確認したら、細川は歌詞もバファローズみがかなり強い。)

リンダリンダとか、サウスポーのチャンテも皆楽しそうで何よりであるが、軽い。昔の緊迫した場面での川又の必死さのようなものが全く感じられない。
まあ、今はそもそも優勝がかかったような緊迫した場面がないので、比べてもしょうがないのかもしれない。
というか、現状の無茶苦茶な野球でも楽しんで応援できるライト層をターゲットにするには、サウスポーはむしろ川又なんかよりよっぽどいい、大正解のチャンテなのかもしれない。


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