鵜飼航丞 データが示す明確な課題【2023ドラゴンズ個人成績分析 - 10】
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個人成績分析、節目の第10回はドラゴンズ期待の長距離砲・鵜飼航丞選手です。2023シーズンは、それなりに打席のチャンスはあったもののあまり目立った成績を残すことはできませんでした。今回は、鵜飼選手のどこに課題があったのか、データ分析を通して迫っていきます。
2023シーズン成績まとめ
鵜飼選手の2023シーズン成績は以下の通りです。
計13本のヒットのうち3本がホームランというロマンの塊のような数字になっています(笑)とはいえ、打率1割台・OPS4割台はかなり物足りない数字です。
一つ可哀そうなところは、BABIPが.175と極めて低い値になっているところでしょうか。BABIPとはフェアゾーンに飛んだ打球のみを母数として算出した打率であり、多くの場合で3割前後に収束することが知られています。その指標が1割台ということで、これはかなり運が悪かったと思われます。シーズンが始まる前にお祓いに行きましょう。
表の中で最も特徴的なのは、高いSwing%(スイング率: スイング数/投球数)とWhiff%(空振り率: 空振り数/スイング数)でしょう。ストライクゾーン、ボールゾーンともにリーグ平均よりもかなり高い割合でスイングを仕掛けており、それに伴って空振りになる割合もかなり高くなっています。
ストライクゾーンであっても狙い球をより絞っていった方が良いかもしれません。また、ボールゾーンの見極めは喫緊の課題と言えるでしょう。
ゾーン別Swing%・Whiff%
ではどのボールに手を出して、空振りしているのか詳しく見てみましょう。鵜飼選手のゾーン別Swing%とWhiff%をまとめた図を並べて示します。
スイング自体はまんべんなく仕掛けているイメージですが、特にアウトローのボールに空振りしやすい傾向が明確に表れています。アウトコース、低めともにボールゾーンにもかなりの割合で手を出しており、空振りになってしまっています。逆にインコースは比較的得意としているようです。
このデータを踏まえて、相手投手の攻め方を見てみましょう。下の図は、鵜飼選手に対するゾーン別の投球割合です。
苦手にしているのがばれているのか、やはりアウトローへの投球が多くなっているようです。鵜飼選手が来季活躍するためには、このアウトローの見極めとコンタクトが間違いなくカギになってくるでしょう。
対ストレートと対変化球
では、先ほどのSwing%とWhiff%を対ストレート・対変化球に分けて見てみます。まずは対ストレートから。
ストレートであってもアウトローゾーンは空振りが多くなっています。その他のゾーンは真ん中高めを除いてそれほどWhiff%は高くありません。
比較的インコースを得意としていることを考えると、少しベースに近づくなど、アウトコースにコンタクトするためにスタンスを工夫しても良いかもしれませんね。
続いて対変化球がこちら。
変化球であっても、ストライクゾーンはほぼ確実にスイングを仕掛けています。これは狙い球を絞れているとは言い難いですね… チーム側から事前に配球のデータを入れてもらっているのか、アプローチに関する指示が出されているか疑問です。さすがにこんな重要なこと選手に任せっきりということは無いですよね…?
また、変化球についてはやはりボールゾーンの空振りが目立ちます。こちらについてはコンタクトというよりは見極めていきたいところです。
対左右別成績
最後に対左右別の成績を見てみましょう。
対左投手のBABIP.042はエグイですね(笑)フェアゾーンに飛んでもほとんどヒットになっていません。とはいえ、対左の方がWhiff%やK%の値が悪いので、左投手を苦手にしているというのは間違いなさそうです。少し意外ですね。右投手相手にはそれなりの数字が残っているので、対左を改善することで数字としてはかなり良化しそうです。
まとめ
最後まで読んで頂きありがとうございました。
鵜飼航丞選手の2023シーズンをまとめると、
Swing%・Whiff%ともにリーグ平均よりかなり高い
ストライクゾーンはストレート・変化球問わずかなりの割合でスイングしている
アウトローの見極めとコンタクトが課題
意外にも左投手が苦手
こんな感じです。
なんか指摘ばかりの記事になってしまいましたが、飛ばす力は本物だと思っています。あとはどれだけコンタクトできるかというところで課題が明確なので、一つのきっかけで大化けしてくれるのではと期待しています。
そういえば2/24のオープン戦で鵜飼選手がアウトローの変化球に合わせてセンター前へヒットを打っていましたね。本当は見逃してほしい所ですが、崩されながらもしっかりコンタクトしてヒットコースに飛ばしていたのが印象的でした。課題克服の第一歩を見ることができたような気がします。鵜飼選手が中軸に入ってくると打線の恐怖感が一気に増すと思うので、今シーズンの飛躍を期待するばかりです。
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