2021年11月 活動報告
【サボット弾】
先月の投稿で触れた、ハーフライフル用の弾が届いた。取扱注意で配送してくれる。火薬だからね。
こちらはフランス製で、初めて購入。このご時世の影響で弾が輸入されていないらしく、お高めのやつなら残ってる感じのようだ。
【ナイフ】
以前、父がくれた。たぶん装飾用だけど、研げば使えるし、ハンティングっぽい形・デザインだし。シカの捕獲後、止めさし・血抜きをするのに使用するのだ。
似合わない僕を、おどけた歌で慰めてくれたまえ。
【初任消防団員教育訓練】
勤続5年未満の団員を対象に、実施してくれた。福井時代は2年間、消防団に所属していたものの、こうした訓練の機会や、現場への出動も無く平和だったため、ありがたい。
午前中は座学。午後は屋外で、ポンプ車の各部説明など。
訓練礼式では、敬礼・右向け右・回れ右などを。
実は関東で施設警備員をしてた時期があり、当時の研修で、みっちり教え込まれた。たぶん、消防・警察・自衛隊などの方々以上に、完璧に出来るまで厳しく指導されてたよ。五本指も意識してピッチリ揃えろという「五指(ごし)!」の怒号(?)が飛び交っていたな。懐かしい。
それはさておき。だから一通りはできるんだけど、「度の深い右向け右」は初めて。学んだ事が増えたぜ。
放水も、福井時代の操法大会以来か。いつ火災が発生し、自分が担当することになるか分からないからね。練習しておくに越したことは無い。
ボランティアで町を守る、消防団。どこの地域でも重要な役目を担っているわけだが、三陸沿岸部の場合は、さらに特殊な感じはする。3.11の際には、多くの団員が殉職されているからね。
津波到達予測時間の15分前には高台に避難する、という「15分ルール」も震災後に設けられたらしい。自らの安全を確保しつつ、やれることを、やっていければ。
【秋の火災予防運動】
別の日にも出動。第1分団(町方地区)の三つの部が揃い、一緒に町内を警ら。通称「パレード」だそうだ。
終了後には、中華屋さんで夕飯をごちそうになってしまった。他にも鶏のパリパリ揚げなどを。最高っす。
【スコープ調整】
前述の弾を持って、射撃場へ。ハーフライフルのスコープがズレていないか、また銃と弾の相性もあるので、その確認。11月からの猟期に合わせて、練習するようにという努力義務もあるし。
神奈川や北海道の射撃場は土管タイプじゃなかったけど、こっちの方が主流なのだろうか。これなら隣の人から誤射されないので、安全だよね。平日の朝イチだし雨だったから、誰もいなかったけどね。
的を貼った板を設置する。今回は50mで。奥は100m。
意外と誤解されがちだが、スコープ搭載さえすれば狙いはバッチリ。というわけでは無い。銃身とは別モノであり、決して連動はしてないからね。着弾点に合わせて、スコープの方を調整する必要があるわけだ。
砂袋などで銃を固定し、ど真ん中を狙って、
ズガーーーン。ものすごい爆音、ものすごい反動、ものすごい肩への衝撃。
ほぼセンターだ。ちょいブランクがあったものの、以前に調整したままズレていないらしい。よっぽど高いところから銃を落とすとかしなければ、大丈夫なものなのである。
本当は3発とか5発とか撃って、集弾つまり平均を取ってから、微調整していくんだけどね。射撃のたびに種々の微細な条件も違うし、100%カンペキにするのは無理だし、キリが無いし。どこかで妥協して良しとしないと、永久に終わらない。
だし、このサボット弾というやつは、一発で数百円もするのだよ。それは考えないようにしないと、引き金に掛けた指が震えてきちゃうぜ。
二発目はヒザ撃ち、つまり片膝を立てた、しゃがんだ状態でやってみる。人間なので、照準がフラフラしてしまう。白円の範囲内くらいは。
実際、5cm上に行ってるね。MOMIJIクオリティではヘッドorネックショットだが、現場ではもっと遠距離だったり悪条件だったりする。確実に捕獲するためには、現場感を取り戻しながら、慣れて精度を上げていく必要がありそうだ。
使用前と使用後。空薬莢は、射撃場で廃棄してくるなり、記念に持って帰るなり、お住まいの自治体の分別ルールに従うなりして、処理するナリよ。
せっかくなので、スコープ調整の方法も軽く紹介。
1クリックで100ヤードにつき1/4インチ、と書いてある。これは100ヤード(約91.44m)先の標的の場合、目盛り一つで1/4インチ(6.35mm)、着弾点が移動するよということ。だから50m先の的なら、3.47mmのはず。
1/4MOA(Minutes of Angle)という考え方なので、厳密には角度の話なので、もっと細かい違う数字になるんだけど。ざっくり、上の認識で充分。だし、そこまでの数学は知らんよ。
【ふるさと科 ※】
八年生、すなわち中学二年生を対象に、協力隊から話をして欲しいとのこと。小中一貫校である、大槌学園へお邪魔する。
※特別な教育課程として、全学年に設置されている。町内の方々を講師として招き、多種多様な仕事や活動などを学ぶことで、郷土愛を育んだり人間力を鍛えられたりする、全国でも先駆的な科目。
8月には、三年生を対象にMOMIJI代表がお話をした。
「大槌を知る」というテーマで、特に町内の仕事・魅力を探ろうという段階らしい。それを基に、町のPR動画も作っていくそうだ。僕が中坊の頃には、考えもしなかったぞ。素晴らしいことだね。
観光・震災伝承・ジビエから、5名の隊員が参加。生徒は班ごとに、聴きたい人のところへ行く形である。
鳥獣被害の現状・携わってきた僕の経緯や想い・大槌ジビエの取り組みなど話をして、ツノ・空薬莢・革製品などに触れてもらい、わなの実演も。みたいな感じで。
趣旨に沿えていたかは分からないし、何かしら参考になっていれば良いけど。でも改めて、ジビエに興味を持ってくれた子もいるようだ。
反省点は多々あったが、今後もこうして話す機会はあるだろうから、ブラッシュアップしていかねばならないね。
【おおつちまるごと復活まつり】
産業まつりとして、毎年開催されているらしいイベント。
シカの串カツはもちろん、今回は協力隊ブースも出展。各隊員が携わっているモノを提供する感じだ。
僕は、先月の薪まつりでも実施した、鹿革キーホルダー作り体験を担当。そして今回から、ハッピも導入されて法被ー。
串カツor協力隊ブースのサーモンシューマイor焼きそばを購入してくれた方には、体験or震災伝承ポストカードをプレゼントする形だ。
町内外から多くの人が訪れ、賑わっていた会場。みんなイベントに飢えているのだろう。
思ってた以上に忙しくなり、用意した100個が半日で終了。シンプルながら知恵の輪みたいなので、老若男女に楽しんでもらえたし、ふだん使いでシカを感じていただければ嬉しい。
三つ編みキーホルダーより、案外こっちの方が、ウケは良い気もする。
写真はアレだが、もっと笑顔で優しく接客してたからな。
【秋の火災予防運動, again】
再びのパレード、今度は朝からだ。町内の5分団・14部が集合し、隊を編成して、
4,5台ずつ連なって走る。消防ポンプ車の、鐘の音が聞こえる。
大槌は海の町である一方、実は山の方にも広いので、
30分ほどかけて、峠の手前まで。異常も無く、火の元の注意を呼びかけて、解散。
終了後には、割烹で昼食をごちそうになってしまった。他にも天ぷらなどを。最高っす。
【wanna】
シカによる農業被害を減らすためには、田畑の周囲で捕獲したい。でも民家の近くなどでは猟銃を使えない。というわけで、わなの出番となる。
設置したら見回りを毎日しないといけないから、そこを農家さんに協力してもらおう。と、試験的にやってみることとなった。
農家さん宅の裏手で、いくつか設置してテイクアピクチャーナウ。ここは樹と木の間で狭路だし、完全にシカの通学路ができている、ベストポジション。
獣道の交差点ができている斜面など。しばらく様子を見てみようと言っていたら、
その数時間後に、さっそくかかるという。MOMIJI代表がナイフで止めさし、つまり血を抜いて絶命させる。
逃げようと暴れるため、ワイヤーの括られた脚は、骨が見えるくらいになっていた。ストレスを与えてしまうのだろうし、人道的・倫理的に考えると、わなというのは残酷なのかもしれない。でも人間の被害を防ぐためには致し方ない。という社会なわけだね。
解体してみたものの、やはり肉質は良くない。暴れてぶつけた部分は赤黒く変色しているし、体温が上がったことで蒸れてしまっているし、ゼラチン状の変な物質も形成されてたりする。肉からもドリップ(血のようだが、たんぱく質・ビタミンなど)がどんどん滲み出してくるので、つまり旨みが逃げているのだ。ストレス等の影響は実際、大きいわけである。
食べてもみたが、臭みまでは感じなかったものの、やはり硬さはあった。
厳しいルールを課した「MOMIJIクオリティ」と並べて食肉にすることはできないだろう。ペット用や加工用として、活用していければ良いのかもね。
【解体】
小売りも卸売りも、注文が回復しつつあるようだ。イベントで200gを数十パック、といったものもあり、ロースやモモなんかは在庫僅少。作っていかねばならないんだけど、けっこう手間取ってしまう。
写真はウチモモ。卸や加工用なら、この状態でボンとパックすれば良い。だが小売りパックにする場合、カブリと呼んでいる部分を剥がし、
さらに二つに分かれる。手に持っている方は、血管やらスジやら多くて大変。もう一方も、余計な部分を落として綺麗に整えながら、重さを調整しながら切り分けていく。
そんな作業を各部位でやっていると、通常より1時間とか、余計にかかってしまう。手早く捌けるよう、慣れていかねばならないね。
【放射性物質検査】
そういえば触れていなかったが、捕獲したシカ全てで実施している。東北エリアでは出荷規制があるため、そもそも鹿肉を流通させることができなかった。ジビエ事業のスタートラインにすら立てなかったところを、全頭検査するよということで可能にしたわけである。
検体として500gの肉を毎回、検査機関に送る。1kgあたり100ベクレルという、国の基準値を超える量が検出されなければ、OKだ。実際99.5%くらい、大丈夫なんだろうけどね。
【クマ汁】
狩猟期間に入り、町内でクマが捕獲されている。実は初めて食べたが、旨かった。
【地域おこし協力隊 活動報告会(トークイベント)】
役場など的に、やって欲しいとのことで。漢字だと固いから、せめてルビを振って抵抗してみたぜ。
第一弾は、ジビエチーム3名の隊員による発表。今年度中には、観光協会チーム・震災伝承チームも続く。
試食で釣ろう、いや喜んでもらおうというわけで、鹿カツサンドも用意。
こんな感じの内容。大槌ジビエについて・それぞれの想いなど、話をさせてもらった。
「あの活動報告会のように?… トークイベントのことか… トークイベントのことかーーっ!」のシーンで髪が金色になった神龍、じゃなくてドラゴン。でも実際はブリーチしたハンターなわけで、ややこしい。
内容的には悪くなかったし、皆さんの協力のおかげで無事に終えることができたし、「声が通る」「マジ上手かった」「分かりやすかった」「感動した」などお褒めの言葉もいただけた。
ふだん口数が少ない分、こういうプレゼン形式だと逆転する。何故なら、一方的に話せるからだ。日常で会話しようとしても、ずっと相手が喋ってたり、上から目線だったり、話を遮られたり、否定されたりして、疲れるじゃん。もちろん、配慮のある人や相性の合う人となら、楽しくトークするけど。肌感覚では、10人に1人2人くらい?
話が逸れた。一方、集客は少なかった。全体では30名ちょっとだが、関係者・身内以外で、本当に一般の方々となると10名ちょっと。隊員3名の共通のお友だちであるお母さんが、5人連れで来場してくれたからまだ救われた。
空席が目立ち、情けない。せめて30人くらいは欲しいんじゃないか。人口1.1万人の町だぜ。
ちなみに福井時代、「緑のふるさと協力隊」の活動報告会では、着任後11ヶ月・平日夜・雪で、人口500人のうち30名以上が、僕ひとりのために訪れてくれた。地域密着型の活動だったからだが、やはりそれくらい個人的に関係性を築かなければ、わざわざ足を運んでくれないのか。
とはいえ、地域おこしは趣旨も異なるからな。協力隊・ジビエに対する興味関心を、もっと広めないとだな。
余談だが、緑のふるさと協力隊というのは、地域おこし協力隊の基となった素晴らしいプログラムである。リンク先を参照していただくか、説明するタイミングがあれば改めて。
また逸れた、閑話休題。カツサンドも諸事情により、実は硬くなってしまった。味付けは良いのに、残念だったという声が複数。MOMIJIクオリティの話をした矢先であり、極めて遺憾である。大槌鹿肉の品質が誤解され、MOMIJI・大槌ジビエの評価を貶めることになりかねない。
反省点は多々あったが、今後もこうして話す機会はあるだろうから、ブラッシュアップしていかねばならないね。
ここまで、協力隊同期が撮ってくれた写真を数枚お借りした。
【止めさし対応】
前述した、わな。シカがかかった際に、誰がどう対応するのかを詰めなければならない。試験的に実施してみたものの、思いがけず調子良いようなので。あの後、ベストポジションの方などでも捕獲があったそうだ。それだけ、異常な数が棲息している地域ということである。
【メンタリング】
以前にも触れたが、月に一度、協力隊と事務局側とで、1対1の面談がある。と言ってもフレンドリーに、活動や生活についてお喋りする感じ。
僕は人に愚痴ったりするタイプでは無いけど、気軽にトークするだけでも結構ラクになるというか、ありがたい場だなと思う。こういうサポート体制は、やはり大事なのだね。
※写真は、オニオンリング。ちょっと分かりやすかったか。別に、食べながら話したわけでは無い
【冬道運転講習】
協力隊員向けに事務局が開催し、警察官の方が講師に来てくれた。運転歴が短かったり、北国が初めての人もいるからね。
僕は雪国・寒冷地で暮らしてきて、福井県の豪雪・北海道のブラックアイスバーンなどを経験し、スリップも何度かし、肝を冷やしながら学んできたわけだが。ところ変われば、また違う部分もあるだろう。新たに気付かされたこともあったし。
慢心せず、安全第一。これは猟銃にしても、社会生活・人生の諸々にしても、同様であるね。
【あなたにも見せたい】
福井では積雪300cm・北海道では氷点下15℃、という洗礼を受けたが、岩手はそれを中和した感じだろうか。沿岸部だと雪は少ないようだけど、風が強い。水道や道路などの凍結が、最も怖そうだ。
プレハブ解体所の中も、朝一番は既に2℃。食肉処理する以上、暖房を入れるわけにもいかないので、良い肉のためには耐えるしかない。手はかじかむし、足はめっちゃ冷たくなるし。冬場の解体は、地獄かもな。
こういう負の部分まで含めて、ジビエ事業であり、肉を喰らうということであるわけだね。
【ヤマドリ汁】
狩猟期間に入り、町内でヤマドリも捕獲されている。実は初めて食べたが、旨かった。あんま肉が写ってなかったな。
【打合せ】
再び大槌学園へお邪魔し、ふるさと科について、先生と事前ミーティング。何事も、段取り八分というからな。これについては12月になるので、次回の活動報告で。
【車】
まだガソリン大丈夫だろうと思って余裕こいてたら、ぐんぐん航続可能距離が減っていき、ゼロになるという。しかも高速道路上で。やべー、と思いながらも5kmくらい走って、なんとかガソリンスタンドに辿り着いた。
結論:限界表示されても、しばらくはイケる。いやいや、余裕を持って、早めに給油しようね。そして、不確かな情報に惑わされないことだ。
というのが、しかも車屋さんに借りていた車だったという。
写真は北海道から乗ってきたマイカーだけど、実は瀕死になっていたのだ。中古購入時で既に20万km、それから2年弱で23.5万kmくらいになり、あちこちガタが来てしまった。
乗り替えないといけないわけだが、僕の場合、この車種しか選択肢が無い。シカを積むには荷台が必要。ふだん乗りもする。福井・東京などに遠出もするから、シートを倒して寝たい。そして軽が良いとなると、
やっぱり、このデッキバンという一択だ。あまり見かけないよなと思っていたが、岩手では結構、乗ってる人がいるようだね。
中古でもお高いため、ヘタに買って、またすぐ壊れても困る。なのでこの際、自動車屋さんに新車で入れてもらい、リースをする形にした。故に、わナンバー。これが来ないことには出猟できなかったんだけど、ようやく捕獲にも携われるようになってくる。
ピカピカだし最新の機能も色々ついてるし、カラーもオフビートカーキメタリックというオシャレだし、最高っす。
【Who Moved Our Deers?】
とはいえ全然シカを見かけなくなってしまったらしく、今月の解体も10頭ちょっと。狩猟期間に入って、町内外のハンターが動き回ることで、狩猟圧・警戒心が高まっているのか。寒くなってきて、季節移動してるのか。ドラゴン気象台でも、初氷を観測したし。
北海道にいた時も、11月あたりから全く見かけなくなったんだよな。棲息・捕獲環境も、地域性があるということだ。
いつもMOMIJI代表が行っている高原でも、しっかり初雪。こうなると尚更、シカも動くよね。春になるまでは、そうそう捕獲できな佐宗だ。もとい、できなさそうだ。
【新聞連載】
地域版ではあるが、大槌ジビエの取り組みが全14回で掲載され、僕も取り上げていただいた。記事を全て引用する形では使用できないとのことで、一部のみ。紙面でもデジタル版でも、有料で公開されてるわけだからね。
【おすそわけ】
今月も、いただきものを色々と。ありがたいぜ。
大根の葉・くるみ・ホタテを和えた、ご飯に載せるだけでイケるやつとか。
最高っす。
★僕のほか8名の隊員の活動報告は、こちらorこちらから。観光・ジビエ・震災伝承・農業の各分野で、大槌町のために奮闘中
★大槌鹿肉・ツノや革を活用した雑貨類は、MOMIJI株式会社の事務所orネット通販(ポケットマルシェ・大槌孫八郎商店・raviliss[ラビリス])orふるさと納税でどうぞ
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