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150DAY ‐日本一の国語おじさんの国語スキルを最大限に活かす神授業7(旧約聖書 ダニエル書編)‐

 今回は、聖書におさめられているものの一つ、ダニエル書について考察する。ダニエル書は旧約聖書の預言書の一つで、バビロンのエルサレムへの攻撃によって捕らわれの身となったダビデ王家の血を引く青年ダニエルの記録とそのダニエルが夢で見た未来の幻の記述がおさめられている。構成は、旧約聖書にある予言書においては比較的シンプルであり、第一章から六章が、ダニエル(とその友人)の物語、そして第七章から十二章までがダニエルが見た幻を書いている。しかしながらそのシンプルさとは裏腹に興味深い点も幾つも見受けられる書物でもある。

 たとえば、この書物の書かれている言語が章によって違うという点が挙げられる。始まりの第一章は、イスラエルの民族言語であるヘブライ語で書かれているのだが、二章から七章にかけては、アラム語という言語で書かれている。そしてまた八章から最後にかけてはヘブライ語で書かれている。これは言語ごとに独立した章であることを裏付けている。

 ここでダニエル書の大体の解説をしよう。バビロンによって攻撃されたイスラエルは、バビロンの支配下に置かれる。しかし主人公のダニエル(とその親友)は、その明晰な頭脳と能力をバビロンの王に買われ、王のもとで働くことになる。しかしながらそれはユダヤ人としてのアイデンティティを捨てて(モーセ五書のしきたりを捨て)バビロンの生活に慣れろと強要することでもあった。しかしダニエルたちはそれを拒み、ユダヤ人であることを捨てきれず、王の怒りを買います。しかしモーセ五書を信じとおしたダニエルらに神は救いの手を伸ばし、王を操って彼らを罰するどころか昇進させます。

 (ここからアラム語)王のもとで忠実に使える部下となったダニエルですが、あるとき、王が謎の夢を見たと言ってきました。それは、四種類の金属でできた巨大な像が、突然空から降ってきた岩で破壊され、その岩は山になったというものでした。その話を王から聞いたダニエルは、「四種類の金属は国を表し、頭の部分はバビロンだ。しかし暴力の限りを地上で満たしたバビロンに続く彼の王国(像)は、天から降る神の王国によっていずれひれ伏し、正義と神の支配がいきわたった世界になる。」と説きました。

 またある時、ダニエルの親友たちが、広場にあるバビロンの王の銅像の崇拝を拒んだという事件が起こりました。怒った王は、彼らを燃え盛る炉の中に入れて処刑せよと命じました。しかしその親友たちは驚くことにいくら入っていても焼けず、そして炉から何事もないかのように出てきました。神の力によって救われた親友たちですが、王もまた神のご加護であることを目の当たりにし、ダニエルの親友たちを賞賛しました。

 またあるとき、バビロンの二人の王、父ネブカドネザル王と息子ベルシャツァル王は、二人ともバビロンの権力を握っていたこともあり高ぶった態度で生活していました。そこで神は、ダニエルが使える王に見せた夢同様この二人にも神からの警告する夢を見せました。ここでもダニエルはその話を聞き、「神の支配を受け入れ、ひれ伏すべきである。」と説き、王に進言します。しかし単なる夢と侮る二人の王は、ダニエルの意見を真っ向から否定します。しかしこれが神の怒りを買い、ネブカドネザルの方は精神が獣のようになって正気じゃなくなり、ベルシャツァルの方は幾度となく神へはむかい続けたので神の力で何者かに暗殺されます。しかしネブカドネザルの方は神に許しを乞うたので許され、人間性を取り戻し、再び王の座につきます。

 これらの一連の流れは、神から授かった世界で神のもとで神のために世界の王となるはずの人間が、反逆して自らを神と呼称すると、神の怒りを買って裁きを受けるということがわかる。

 次回に続く

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