第19話 体は人間、知能はニワトリ【下書き再生第二工場】
最近知ったのだがニワトリは賢いらしい。ニワトリは三歩歩けば覚えたことを忘れると聞かされて、またそれを信じていたからニワトリは賢いという事実を知ったときは大変驚いた。それと同時にエビデンスもクソもヘッタクレもない実にいい加減な情報が流布していることが如何に多いかということを改めて感じた。
さて、そんなニワトリさんだがどのくらい賢いかというとなんと足し算が出来るらしい。足し算が出来ると言っても1758足す17746なんていう計算は出来ないと思うが、わたしもこれを書きながら暗算してみたが出来なかった。筆算でも自信がない。この足し算が出来ないということだけを取り出したらわたしはニワトリと変わらないということになる。
ニワトリは記憶力もよく、なんと驚いたことにこれをこうしたらどうなるという予測が出来るらしい。とはいえこのひとにこんなことを言ったら来週から口をきいてくれなくなるだろうみたいな予測は出来ないと思うが、これはわたしも出来ないことがある。だからこんなことを言ったら相手がどう思うか予測出来ないということだけを取り出したらわたしはニワトリと変わらないということになる。
そんなニワトリは30種類の鳴き声を使い分けてコミュニケーションをはかるらしい。とはいえ人間のように数え切れないほどの言葉を理解するのは出来ないと思うが、これはわたしも出来ないことがある。だから会話中に相手の言葉を理解出来なくて、とりあえず相槌をうってその場をしのぎあとでこっそりとその言葉を調べるということがしょっちゅうなので、それだけ見ればわたしはニワトリと変わらない。
そんなニワトリの知能は人間で言えば7歳児に相当するらしい。たしかに7歳児は簡単な足し算しか出来ないし、親や先生との約束や宿題もすぐに忘れる。語彙力に劣り複雑な人間関係を上手くやり過ごすことも出来ない。そしてニワトリのようにピーチクパーチク喋ってばかりで常にその辺をチョロチョロしている。
ついでに言うとニワトリも7歳児も空を飛ぶことが出来ないし呼吸をしなければ生命を維持できない。水や食料を摂取しなければ衰弱するし、そしていずれは死ぬ。
こうしてみるとまさにニワトリと人間の7歳児は非常に共通点が多いのである。だから身体は人間で知能はニワトリとはすなわち人間の7歳児であることが証明された。
と、ここまで書いて気がついたのだか、ニワトリは卵を産むが7歳児は卵を産むことが出来ない。ニワトリは早起きだが7歳児は寝坊助さんである。しかもニワトリは美味しい料理に姿をかえて我々の食生活を彩ってくれる。
結局ニワトリと7歳児は違うようである。
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