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おばさんだけど、シャーマンです: 龍神と私の物語 第1章

第1章:シャーマンの家系

私の家系は、代々シャーマンの家系だったらしいの。私のお母さんやおばあちゃんは祈祷師をしていなかったけれど、ひいひいおばあちゃんは大阪でその時代に有名な祈祷師だったのよ。ひいひいおばあちゃんは、周囲から「不思議な力を持つ人」と呼ばれ、多くの人々の相談に乗り、病を治したり、未来を予見したりしていたらしい。彼女の祈祷はとても効果があったと言われて、多くの人々が彼女を慕って集まっていたそうよ。

ひいひいおばあちゃんは、毎日のように人々の悩みを聞き、その解決のために祈りを捧げて神様の声を伝えていた。その姿はまるで、神聖な光に包まれているかのようだったと聞いているわ。そんな彼女は、地域の人々から「ヤツクラさん」と敬われ、今も京都のお稲荷さんに小さな祠で祀られているのよ。そこには、彼女の霊を慰め、感謝を捧げる人々が絶えず訪れているわ。

しかし、そのひいひいおばあちゃんは、私のお母さんがまだ小さい頃、警察に捕まってしまったの。「祈祷師なんて嘘で人を惑わしてはいけない」と言われて、「もう祈祷はやりません」と言う念書を書かされたんだって。その時代の世情や、祈祷師に対する偏見がそうさせたのかもしれないね。

それからずっと、ひいひいおばあちゃんは圧力に屈して、その力を表立って使うことは避けるようになっていったの。ひなたぼっこばかりしていたそうよ。でも、歳をとって息をひきとる前、彼女は家族に向かってこう言ったんだって。「いつか私の跡継ぎが生まれる。その時には人々のためにその能力を使いなさいと伝えて」と。
家族はその言葉を深く胸に刻んだものの おばあちゃんもお母さんも普通の生活を送りながら、家族の中に流れる特別な血筋の事や ひいひいおばあちゃんの言葉を次第に忘れてしまったようよ。現代の生活の中で、シャーマンの力を意識することは少なくなっていたからね。でも時々私は、おばあちゃんから「見えるものや聞こえるものをベラベラ喋ってはいけない」と言われてきたの。それは、彼女自身がかつての経験から学んだ教訓だったのかもしれない。

そして私のお母さんは、ずっとひいひいおばあちゃんの その言葉を忘れていたの。
私が龍神と繋がったと言うまで……。

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