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おばさんだけど、シャーマンです: 龍神と私の物語 第10章
第10章 やっぱり呪い
「やっぱり呪いだったのね」 頭の中はぐわんぐわん回っていたわ。いつ倒れるかわからないほどだったのよ。 私のなかでは呪われる原因も思い浮かばないし、塩を突然かけられたのもショックだったし、「もう来ないで!」って、誰のこと?、なんで?、頼る相手はあなたしかいないのに? どういう事?本当にいくら考えても、よく分からなかったわ。 気がついたら駅のホームにボーッと座っていて、 頭の内側も外側もとても熱くて、ホームの風に当たっているのがちょうど良かった。
身体中の痛みは だんだん右太ももに集まってきたの。異常なほど熱を持ち、皮膚は何事もないように見えるのに、内部では見えない力が私を苛んでいるようだったのよ。痛みは瞬間的なものではなく、絶え間なく続き、何度も刺されるような鋭さを感じたの。
「とにかく痛い……」声に出してみても、自分の言葉が頼りなく聞こえたわ。どんな姿勢をとっても痛みは和らぐどころか、さらに激しくなり、私は立ち上がるのも困難だったから、思い切って駅近くの外科を訪れたの。
ドクターの前に座り、私はどう説明すれば良いのか悩んだわ。「どこが痛いのですか?」ドクターの落ち着いた声に、何度も頭の中で整理しようとしたけど、痛みがあまりにも強烈で、うまく言葉にならないのよ。
「右太ももです……でも、ただ痛いというより、何かに押しつぶされるような感覚です。熱もあって……とにかく異常なんです。」言葉を絞り出したが、私自身、この説明がどれほど的確なのか自信が持てなかったのよね。
ドクターは私の太ももに触れ、少し首をかしげたわ。「確かに熱を持っていますね。かなり硬いですが、虫刺されの跡も見当たりませんね。最近、何か思い当たることはありませんか?」
「いえ、全く思い当たらないんです。突然こうなったんです。」声が震え、私は無力感に苛まれたのよ。こんなにも痛いのに、外見上は何も異常がないなんて。
「うーん、骨や筋肉に異常はなさそうですが……念のためレントゲンを撮りましょう。」
私は検査台に横たわり、静かにレントゲンが撮られるのを待ったわ。検査が終わると、ドクターは再び困惑した表情を浮かべて話し出したの。
「レントゲンでは特に問題は見つかりませんでした。虫刺されのような跡も無いですし、筋肉や骨も正常です。でも、あなたの痛みがこれほどひどいなら、次のステップとしてMRIを検討した方が良いかもしれません。」
その言葉を聞いた瞬間、とても絶望したの。「本当に原因が分からないんですか?」私は必死に尋ねた。「この痛みは普通じゃないんです、何か他の原因があるんじゃないですか?」
ドクターは少し沈黙してから、「そうですね、私には分からないこともあります。体は正常ですが、痛みが現実にあることは確かです。少し様子を見て、もし悪化するようなら、また来てください」と冷静に答えて湿布薬を処方してくれたわ。
傷がないなら、体をほぐしてもらおうとボディメンテナンスに行くことにしたの。でも、院長先生に「硬くなっている部分は触らない方がいいと思います。周りの筋肉や筋を整えていきましょう」と言われて、それからは、毎日、足が動きやすくなる程度に調整を続けていたの。それでも時々、次元の違う呪いの攻撃があり、打ち身のような痛みが襲ってきていたの。
そんなある日のこと。あなたの誕生日をみんなで家で祝って楽しい夜を過ごした後、少し眠りかけた時、「私も息子が大切だから」という声が聞こえた気がしたの。「え? 誰?」その声には聞き覚えがあったけど思い出せなかった。そして、その後は何も聞こえなかったの。
翌日、院長先生の施術を受けながら話をしていて、その流れで転職したあの先生の話になったの。「彼の家は、お母さんがとても強い人で、彼や兄弟もお母さんが許した相手じゃないと結婚できないって言ってたよ。地方での仕事も、お母さんから離れたかったからみたいだよ」と聞かされて、驚いたわ。
「え? そんなに厳しいお母様なの?」と思った瞬間、頭の中でいろんなことが一気に繋がったの。彼は、私の事を大切な人と思ってくれていたんじゃないか。彼はお母さんから離れたかったんだ。もしかして、私が彼とお母さんを引き離した? だから恨まれて、呪われたのかも? 呪いの原因はそこにあるの?
「どうすればいいの?」と思った瞬間、頭の中に大きな声が響いた。「呪いを跳ね返せ!」