おばさんだけど、シャーマンです: 龍神と私の物語 第17章
第17章 浄化の地、古稜の龍
翌朝、最初の計画より少し早くホテルを出て、桜島を見ながら鹿児島県内を2時間近く南下、鹿児島の半島の先の方にある稜に到着したの。少し手前に駐車して川を渡って行くスタイルは 伊勢神宮と五十鈴川を思い起こさせたわ。川を渡った途端、美しい静寂に包まれて、川のせせらぎだけが耳に心地よく響き、歩を進めるたびに空気が清らかになっていくのが感じられたのよ。その中でふと風が静まり、周囲の木々がざわめく。まるで何かがその存在を告げているかのようだったわ。
手前にある川で手と口をすすぐのも伊勢神宮と同じ。きっとこちらが元になっているのではないかしらね。 その日は少し暖かく、汗をじんわりかくような気温だったので 美しく澄んでいる流れに手をつけるのが、清々しく気持ちよかったのよ。
初代天皇の両親の墓は山そのものだったわ。日本の古い歴史と同じように自然の祠をお墓にしたのかしらね。美しいその山にはそこを守る龍がいたの。その龍は深い緑色の優しく穏やかな古い龍で、同じく穏やかな周りの自然に溶け込んでいて美しくかったわ。古稜の龍はゆっくりと優しい波動で話し始めたの。
「自然は人間のためだけにあるのではない。すべての命が調和を保つために、私たち龍も存在している。だが人間がその調和を乱すとき、私たちは静かに姿を消すのだ。」「本来、龍は人間への愛の為に動いているのだよ。戦い好きでも、恐ろしいわけでも無い。人間が忙しくなったり、心がせまくなって、自分達で勝手に決めつけてしまったのだよ。」「お前も龍と共に過ごすなら恐れることをやめなさい。青龍の教えを受け取りなさい。」
国の歴史を書いた本の中に3代目の天皇くらいまで、龍の証があったと書かれているものがあるらしいの。初代天皇の身長や肌、爪などの特徴は龍を指しているらしい。以前テ・ポロハウ首長に聞かされた話「日本人は銀の龍の一族なのだよ」という言葉と一致しているなぁと思ったの。そして「古稜の龍は、ただの守護者ではなかったのね。この土地がまだ混沌としていた時代、龍は人間と共に歩み、国の基盤を支えた存在だったのね。」と、古稜の美しい龍の話を聴きながらそんな事も考えていたの。
その間、背後にいる青龍の気配は、まるで暖かな守護者のようだったわ。その波動が私の心に穏やかさをもたらし、龍の教えを素直に受け入れる助けとなっているのだと感じたの。
『恐れることをやめなさい』という言葉は、まるで私の心の深い部分を覗かれたようだったの。その瞬間、自分が抱えていた不安が少しずつ霧散し、自然と龍への敬意だけが残ったわ。