おばさんだけど、シャーマンです: 龍神と私の物語 第19章
第19章 探求なのか、準備なのか
この日はTちゃんの友人と夕食を食べる約束をしていたため、熊本に向かっていたの。「うーん、熊本城に行ってみようか。なんかヒントがあるかもしれない。」
美しく組まれた石垣を触ったり、小さなお宮を見たり、熊本城の敷地内をワクワクしながら歩き回ったにけれど、自分が期待していたビジョンは見えず、どこからも、なんのメッセージを受け取らず「違うみたいねぇ」と、2人でガッカリしたのよ。
翌日は朝から今回の旅の最終目的地、糸島をめざしたの。この日は風の強く、浜での鳴き砂は体験出来なかったけど、海岸線はとても美しく 今にも龍が空をかけていくのが見えるのではないかと思うぐらいだったの。姉子の浜から、私が行きたかった桜井二見ヶ浦の鳥居まで。とても美しい真っ白な鳥居は この日の風による荒々しい波を受けてビクとも動かず、何か大きな意思があるかのように思えたのよ。海沿いを移動しながら、龍の気配を求めてみたけど、私のインスピレーションは全く反応が無く、かえってすごく不思議にさえ思ってきたのよ。
目を閉じると 象牙を思わせる乳白色の 龍の卵たちが見えてね。ほんの少しだけグレーのシミのような模様がそれぞれの違いを表しているのよ。それが殻を破った時に 個体にも同じ柄があるのかなと考えていたの。手にはとれないけれど心の中には温もりが広がるようで不思議に思えたの。「ちゃんと龍の卵は託されたのに。なんで受け取る龍か神様が現れないのかしら。」夜、博多の美味しい水炊きを食べながら、なんだか悲しくなってしまったの。「自分には本当はその資格がないのでは無いか。偶然、たまたま通りがかっただけでうけとってしまったのではないか。それとも私自身がもっと成長した時になんかの動きがあるのかもしれない。」Tちゃんは 「卵だし、生まれるのはまだ先だろうから、気長にゆっくり探したら? 今回の九州旅行ではないのよ」
そうなのかなぁ、今のところ何の旅行の計画もないから、東京なのかなぁなんて話しながら帰りの飛行機に乗ったのよ。
旅の後はいつも ボディメンテナンスを受けに行くことにしていて、この日も順番を待っていると、この春からここで働き始めた若い先生が担当だったの。「太ももにしこりがあるって聞いてます。痛みがあるんですか?」と話しながら触診して、「結構硬いんですね、範囲も広いし。これは普通の筋肉の問題ではなさそうですね。少しづつ周りからほぐしていってもいいですか?」「え〜!結構痛みもあるのに⁉️」「でも、少しづつ範囲が広がってるって聞いてますよ。太もも全体が固くなってもいけないし、芯は触らないのでほぐしていきましょう。」その日から少しづつ、太ももにできた謎の塊をケアしてもらうことになったのよ。