基本知識/重症ニキビにイソトレチノイン
【イソトレチノインとは】
30年以上前から、アメリカではFDAの許可のもとで重症ニキビに対し、イソトレチノインの内服薬による治療が行われてきました。アメリカやヨーロッパのニキビ治療のガイドラインでは、重症ニキビにはイソトレチノインの内服は第一選択となっています。
日本では認可されていないため、自由診療での処方が行われています。最近では個人でインターネットで買う方が増えており、イソトレチノインは重篤な副作用があるため、危険性が指摘されています。
▶︎イソトレチノインの作用
イソトレチノインはビタミンA誘導体のひとつであり、以下のような作用があります
・皮脂腺を小さくして皮脂分泌量を減らす
・毛穴の角化異常を正常化させ、毛穴を詰まりにくくさせる
・抗炎症作用
▶︎イソトレチノインの飲み方
体重に応じて、1日あたり約20mg〜40mgほどの内服量で、使用期間は6ヶ月以内、が目安です。ビタミンAは体内に蓄積されるので、長期乱用は体に害をもたらします。
内服方法:
ビタミンAは油とともに吸収されやすい性質があるので、食事(特に、脂質が高い)と一緒に摂ることで吸収率が上がります。空腹時では吸収されにくくなります。また、別途記載しますが、副作用として催奇形性があるので、内服薬中止してからも1〜2ヶ月は避妊する必要があります。
▶︎副作用
口唇炎、皮膚粘膜の乾燥
光線過敏
高脂血症
催奇形性
精神症状
眼瞼炎、結膜炎
勃起不全
腹痛
炎症性腸疾患
膵炎
肝炎
頭痛、吐き気、嘔吐(頭蓋内圧亢進)
めまい、夜盲
血液検査:
イソトレチノイン内服により、中性脂肪、肝機能の数値が上昇することがあります。
避妊の徹底:
催奇形性があるため、避妊の徹底が必要で、さらに内服中止後も1〜2ヶ月は避妊をする必要があります。
▶︎その他の注意点
他の病気の治療のためなどで飲んでいる薬があれば、その薬と併用してはいけない可能性があります(例:テトラサイクリン、メトトレキサートなど)。
また、炎症性腸疾患のある方は内服が推奨されていません。
✴︎出典✴︎
『日本美容皮膚科学会雑誌』2024年9月号
「痤瘡治療について」