形成外科1年生〜まずはここから、おすすめの本〜1.外傷


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形成外科という分野は大学によっては授業がありません。
研修医でも、その研修病院に形成外科がない病院や、医師がいても非常勤のこともおおく、形成外科を研修医の間にローテーションできない人もいるでしょう。

そうした、形成外科に入る前の学生時代や研修医の頃は触れる機会の少なかった分野ですが、専門とするのなら自ら勉強していくでしょう。

まずどのような疾患が対象なのかや、よく外来で遭遇する疾患について勉強する必要があります。

珍しい病気、たとえば先天奇形などは、専門外来を受診したり、他院からの紹介で来る患者さんも、上の学年の先生がみることが多いでしょう。
形成外科一年目の医師がいきなりそういった稀な疾患に1人で診療にあたることはめずらしいと思います。

それよりも、夜の当直での対応や、アルバイト先で1人しかいないとき、どう判断するかを学んでおく必要があります。


その日のうちに治療が必要なものとしては外傷があります。外傷の症例を診察をするときのお守りとしておすすめの本があるので紹介します!

『外傷形成外科: そのときあなたは対応できるか』
安瀬 正紀

私が初めて形成外科の一年目で当直の時に、
先輩からおすすめと渡された本です。

顔面骨骨折の評価の仕方、顔面外傷の中でも緊急性を要する涙小管損傷の評価方法、手の外傷の評価や解剖、治療法など
形成外科で来る外傷について、内容はコンパクトですがしっかり重要な評価基準や手術適応が書いてあります。
まずは、これ通りに万番なく対応できるようになることが1番大事だと思います。

初期診療はこの黄色い本で行った後
次に手術の対応をすることとなります。

とくに形成外科で当直で来た患者さんが手術になるのは、顔面骨骨折や手の外傷でしょう。
まず、この2つの疾患の勉強をしましょう。

・外傷の手術編
顔面骨骨折

こちらの本は、手術のステップについて簡潔にまとまってます。道具の解説や術野の作り方など、基本的なことから学ぶことができるので、助手で手術に入る時には全て頭に入れておくと、大変手術が理解しやすくなります。

次におすすめなのは、こちらの本です。
『頭蓋顎顔面の骨固定基本とバリエ-ション: 脳神経外科医・形成外科医のための1stステップ』

この本の特徴としては、オールカラーで写真が豊富で術野をイメージしやすいです。また骨折までのアプローチの方法をわかりやすく、図で解説しています。脳外科の医師も対象とした本のため、冠状切開などの展開方法も詳しくのっていました。
値段も形成外科の本は1万円を超えるものが多いですが、比較的良心的な値段なところも購入しやすい点だと思います。

また、AOのホームページは顔面骨骨折の分類など細かく解説しています。スマホで調べたいときは便利です。
表記は英語ですが。


手の外科
手の外科の教科書といえば、この教科書です。

私が持っているのは第2版なので、少し内容が異なる場合は申し訳ありません。
腱の縫合などは、さまざま縫い方があり理解するのが大変ですが、わかりやすく図示してあります。

伸筋腱断裂の場合は当直中にすぐ縫ったりすることもありますし、切断指は緊急手術が必要です。
急に手術になって焦らないように、患者さんがいつ来てもいいように勉強しておかなくてはなりません。
もちろん、専修医1年目がいきなり切断指を1人で手術することはないとは思いますが、はじめてでも治療をスムーズに行う上で出来ることはたくさんあります。
上司が来るまでの間に手術オーダーを入力したりすることです。
自分が手術内容を理解していないと、全て上司の到着を待ってから準備することとなり時間がかかってしまいます。

また、手の外科で最も大事なのは術後管理、リハビリをどのように行うかです。
早期からリハビリを行うのか、骨折を伴う場合はいつ固定をはずすのかなど、症例ごとに検討が必要で、それを判断するのに教科書は役立ちます。
この教科書は、整形外科の医師の中でも一般的な教科書のようです。

最後に、
形成外科専修医プログラムでは、形成外科として学ぶべき項目が定められています。
1.外傷
2.先天異常
3.腫瘍
4.瘢痕・瘢痕拘縮・ケロイド
5.難治性潰瘍
6.良性変性疾患
7.美容(必須ではない)
8.その他

https://jsprs.or.jp/member/committee/wp-content/uploads/2024/05/03_nin_kai_32.pdf

今回は、その中でも当直などで1人で初診にあたる可能性の高い、外傷についておすすめの教科書をご紹介しました。
3.腫瘍、5.難治性潰瘍についても、形成外科の医師として初めの頃から担当することが多い疾患です。
また、別の記事でおすすめの教科書や、どういう点を理解するべきなのかをまとめたいと思います。

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