自治体の財政状況と介護保険ー公立小中学校が荒れる原因と高校・大学の無償化が少子化に寄与するか?  Part1

 以前、当時の税制調査会長加藤寛先生に頼まれて、博士号取得したばかりの学者駆け出しの頃、介護保険の設計に当時の大蔵官僚と議論した、と書きました。
 また、小池都知事が打ち出した高校無償化、岸田総理のいう3人目の大学費用は無償化について、いつか、書きます、と。

 今回は、自治体行政を逼迫する最も大きな要因の一つとなってしまった介護保険と、それによる公立小中学校が荒れる原因、一見全く関係ないような問題をクロスして分析してみたいと思います(あくまで私論です)。

 皆さまは、深夜、ネットのバナー広告に「教員免許不要!小中学校の臨時教員募集!東京都」というのがあるのをご存知ですか?私はオンライン授業は深夜2時、3時でもやっているので知っているのですが、こう言っては何ですが(自分も見ておいて)この時間帯にネット見ている人々って普通の朝9時〜5時のサラリーマンやOLではないですよね?

つまり、所謂カタギ(?)の仕事でない方(私も含んでしまいます!)対象に、教員免許不要の人材を小中学校の臨時教員として集めなければならない程の人材不足!?

なぜ正規雇用の教諭を採用しないか?答えは簡単、地方公務員になると、簡単にはクビにできないし、年功序列で例え無能でも、年齢が上がるにつれ、給与は上がる一方で退職金や年金も充実・・・つまり失敗が許されない程、お金が掛かるのです。なぜそんなに自治体財政が苦しいのか?

 その答えの一つが、介護保険だと思っています。以前触れたように、今や介護保険は、ケアマネや介護事業者、訪問医療・訪問看護で1人の高齢者に、大変なお金が殆どノーチェックで掛かっています。しかも、その原因は高齢者の増加ではなく、不正の温床であること・・・。これは、いずれライフワークとして、あるべき姿を考えようと思っています。国は毎年のように、介護の待遇改善をしてきましたが、儲かっているのは事業者で、大変な思いをしているヘルパーさんではないのです!

だから、都知事が高校を無償化する、岸田総理が3人目の大学の教育費は無償化する、と言っても、公立の小中学校が荒れている状態を知らず、そこでどれだけ子ども達が苦しむか、人材不足の教諭だけでは、とてもこなし切れない程の業務。授業よりも、荒れる生徒への対応、保護者の不満への対応。それで少子化対策になる訳がないのです。

 余裕のある家庭は公立小学校で懲りて、中学受験を目指す。もっと余裕がある家庭では今や幼児教室に通って小学受験。しかも、以前触れたように、ブランドのK大付属小でも虐めはしっかりある。小中学校で疲れた家庭では、もう1人産もう、なんて気が無くなる。

 このように、格差拡大が止まらない社会では、少子化対策なんて打つ手無し!毎年出生数は過去最低を記録し、80万人を割って久しい。一方、亡くなった方が倍近くに増えている。こうして人口減少社会が進んでいるのです。

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