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臨床医が紹介する日本のスタートアップ技術(第8回)専門医リソースを最適化する、Medii(前編)

地域医療における専門医不足問題で医療へ貢献

現在、私は地域の基幹病院で診療を行っている勤務医ですが、これまで多数の病院での勤務を経験しています。高度医療を常時行える大学病院や地方の医師不足による病院に応援部隊として非常勤勤務をしたこともあります。また3次救急病院や名ばかりの救急告示病院、クリニックなどでの診療も行ってきました。

実際に診療していると、大学や基幹病院では診療上専門外のことで困った場合には院内コンサルテーションを行うことができます。大学であればオンコールを含めればコンサルテーションをほぼ365日24時間行うことが可能です。大学以外の基幹病院でも、少なくとも平日の日勤帯では院内コンサルテーションが可能でしょう。しかしながら、地方の病院では内科系でいえば、血液内科やリウマチ膠原病内科の先生ですと、常勤はおろか非常勤でもいないことも結構あります。血液疾患や膠原病が疑われる患者さんを診療した際に、その診断や治療について困ってしまいます。

このような地域医療における専門医不足問題の解決を目指しているのが、2020年2月に設立された株式会社Mediiです。代表的なサービスである遠隔専門医コンサル「E-コンサル🄬」を展開しています。 同社代表取締役医師の山田裕揮先生は、ご自身が医学生の時に難病を患い、地方では専門医の診断、治療を受けることが難しいという現状を実感しました。そのような地域医療格差や専門医不足問題を解決すべく、院外の専門医コンサル(相談)プラットフォームである「E-コンサル🄬」が生まれたのです。

(出所:Medii社)

これまでも、Doctor to Doctorのコンサルプラットフォームは存在していました。また画像のコンサルテーションは遠隔読影としても多数の企業が参入していると思います。しかしながら、コンサルを行ってから回答まで数日かかるというのが通常でした。「E-コンサル🄬」では1日かからずに、ほとんどが数時間程度で回答が得られているそうです。

実際に、目の前の患者さんの診療あるいは夜間当直帯での比較的緊急時のコンサルテーションでは早期の回答が求められますよね。このような体制作りがなされているのも、多数の専門医師の登録があるからでもあります。

また、それ以外の事業として、「E-opinion」というセカンドオピニオンサービスも展開しています。これは、難病に悩んでいる様々な方に難病の専門医からの意見をインターネットでお届けする”ネット型”セカンドオピニオンサービスになります

私自身、呼吸器内科医として特発性間質性肺炎という難病を診断、治療することがありますが、非専門医では診断が難しいことがあります。またその病気に関する知識や経験も非専門医の先生よりはありますので、患者さんにわかりやすく説明することが可能となります。

結果として同じ診断に至ったとしても、その道の専門家からの説明は患者さんやそのご家族に受け入れていただきやすいということもあります。地域によりそのような専門的な診療が受けられない方にとって、このようなサービスは有用だと考えられます。

(次回に続く)


【出典】

この原稿の執筆に際し、掲載企業からの謝礼は受けとっていません。


株式会社シーエムプラス「LSMIP」から許諾を得て転載する。
専門医リソースを最適化する、Medii(前編) | LSMIP

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