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持たざる時代に、あえて"無駄"を愛したい - 愛すべきポルシェ『GTS』モデルに惹かれる理由。
先日、機会があって、991後期 - つまり現行モデル - ポルシェ 911カレラGTSを運転しました。
このGTSは、生粋のポルシェファンや、ポルシェ・ジャパンの方々、そしてSUPER GTなどでも活躍されるプロレーシングドライバーが集まるサーキット講習「ポルシェ トラック エクスペリエンス」でも話題で、
運転していて一番楽しいのはGTS
と断言される方も少なくないのです。
ざっくりポルシェの「911カレラGTS」についての予備知識。※読み飛ばし可
ざっくり言うと、
・オプションてんこ盛りにしたカレラS
・十分街乗りできちゃうのに、踏むとじゃじゃ馬な準サーキットカー
・ハイパワーというより、モアパワーの最上級
・ベース > S > GTS > ターボ > ターボS と5グレードあるうちの真ん中
カレラGTSで検索してみると下記のようなレビューが書かれています。
"「カレラS」が快適になりすぎたとお嘆きの、しかし「GT3」ではハードコアにすぎるという、911ユーザーとそのファンの鬱屈を解消するためのモデル"
Web CG ココロがときめく911 より
とは言え、スペック的には、下記とカレラSをちょこっとパワーアップさせたようなスペックで、あんまりカレラSと変わらない割に値段が高い、という風に、一見不思議なグレードに思えます。
・エンジン 450PS(馬力)
・最大トルク 550 Nm
・最高速度 310km/h程度
・0-100km/h 到達時間 3.5〜3.7秒
・本体価格1,788万円
ただし、ポルシェはオプション商法と言われるくらい、最低でも200〜300万ほどオプションをつけないとまともな車にならず、カレラSに皆がつけたがるオプションを最初からつけて、ちょっとだけパワーアップさせた車と考えるとむしろ割安感があります。
しかし、この車の本質はそうではありませんでした。
そう、乗ってみるまではね。(ジョブズ風に)
『GTS』がドライバーに与えてくれるワクワク感、どきどき感」
前述の通り『カレラS』のエンジンを20〜30馬力ほどパワーアップして、車高を2cm程度落とし、人気のオプション装備(300〜400万円分くらい)を最初からてんこ盛りにつけたモデル
ということ以外に、乗ってみるときっと造り手がニヤニヤしながらやりやがったな?!的な隠し風味が随所に為されていることが解りました。
・カーブや地面に吸い付くような感覚
・イスやステアリングに伝わってくる微動
・路面から得られる感覚的なインフォメーション
・やや低音にシフトしたエンジン音
スポーツシャシーと呼ばれる運動性能の高いシャシーが使われているとのこと。
100km/hくらいで実際に運転してみると、すぐには違いがわかりにくいのですが、車線変更時やカーブ、加速時など繰り返していると徐々に伝わってきます。
路面に吸い付いて離れないような感覚
人馬一体感
操作時の感覚(加速したい減速したい曲がりたいなど)と車の動きにほぼズレがない。
不安のなさ
多少操作を誤って不安定になってもすぐに立ち戻れそう。
車というより、運転していると戦闘機のコックピットに乗ってるような感覚になれます。戦闘機一度も乗ったこと無いけど・・
エンジンをかけて道路に繰り出す瞬間
お国のため、行ってまいります・・・
と心の中でつぶやいてしまいそうなモデルです。
これサーキットとか、より過酷な環境でがっつり走るとこの漠然とした安心感がそのまま安全性に繋がりそうです。
反面、普通の走行時には"無駄"な重装備
・エンジンパワーは30馬力ほどパワーアップ
・スポーツ走行を見据えたシャシーと2cmほど下げた車高
・ステアリングがさらにクイック
・ブレーキがさらに猛烈に効く
・センターロック式のホイール(カレラGTSのみ)
・さらに減衰力を減らしたがっちがちのサスペンション設定
・手すりやフレーム、ステアリングなどふんだんに使われたアルカンターラ
特にセンターロックホイールはサーキットなどでピットインするときホイールがすぐに外しやすいというボルトで止められたホイールで、基本的に日常走行では一切不要なものです。
SUPER GTなどのレース番組(テレビ東京 毎週日曜23:30から)見ていただけると、ピットインのタイヤ交換シーンで見ることができます。
だけどやっぱりこの無駄が好き。
格好良さ以上に、そんな硬派な設定が微笑ましい
このつや消しホイールに無駄なセンターロック式ホイール。
無駄なのに、あらやだ・・ものすごくかっこいい。。
この無駄っぷりがまたね、いいんですよ。
ストイックな割には普段使いに支障がない。
GTSは一見「普段遣いなんて無理じゃない」といったスペックなのですが、普段の足に使ってもなんら不満・支障がないくらい一般道でも走れる。多少ゴツゴツはお尻に響くのですが、慣れてくると多分普通の乗用車とかわんないかなという気分になります。
サスペンションの減衰力を変更する設定(PASM)があるので、多分ちょっと昔の国産乗用車より車内は静かかもしれない。
時速〜80kmくらいまでは、「スポーツモード」にしない限り特に過剰に加速するようなこともないです。
良いとこどりの『GTS』
普段使いにも耐えられ、週末はちょっとばかり高速道路や山道でつかの間のドライビングプレジャーを味わい、サーキットに足を伸ばせば妥協なく走り込める『GTS』モデル。
いや、サーキットでさえ趣味の粋なら持て余すかもしれない。
良いとこ取りのようで、実はちょっとずつ無駄なんじゃないの、中途半端なんじゃないの?って思ったアナタ。
冷静に考えるとそうかもしれませんが、実際乗ってみると、そんなことどうでもよくなるくらい、ワクワク感を与えてくれるのも事実なのです。
所有から使用の時代、とは言うけれど・・
タイムズやCarecoのようなカーシェアサービスや個人間カーシェア、Anycaのようなサービスが普及して、少なくとも都内では日帰り旅行や週末の買い物くらいなら車を所有する必要はほぼなくなったと言っても良いように思います。
しかも、6時間以内なら5,000円未満でいけたりするし安いときたよ。
でも、GTSのような車はほぼそういった市場にはほとんど出てこないし、当然のようにレンタカーにもない。ディーラーでの試乗車にもなかなかでてこない車種。
今これを読んでいるあなたが「そこまで車好きでもないよ、でも運転は結構好きだよ、普通の車で十分楽しいよ」って人だったとしても。
いや、この駄文をここまで読んでしまったあなただからこそ、この無駄だらけの『GTS』に乗る機会があれば、きっと「この無駄感楽しいかも」ってなるに違いないのです。
あとがき
私はカレラGTSが7〜9ヶ月待ちで、かつ予算的にも厳しいということで諦めましたが、この車を目標に、日々元気に働きたいと思います。
終わり。