新型コロナのリアル 中編
こんにちは。この度の豪雨で被害にあわれた 皆さまには心より お見舞い申し上げます。一日も早く日常を取り戻せるよう 願っています
さて、新型コロナのリアル前編の閲覧数が少ないので需要はないようですが、まだ新型コロナ11波拡大中との騒ぎが続いていますのでいちおう続きを出した方がよろしいでしょうか…..
京大の西浦博教授の提言
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西浦教授のご講演内容に、重症化すると死亡率は30.5%と高率とあります
ところが、ワクチンも抗ウイルス薬もなかった初期の武漢の病院に入院した重症のCOVID-19患者 681人のうち死亡者は104 名で、死亡率 は 15.3% でした
現在はパンデミック初期よりも重症COVID-19の死亡率が2倍に高くなっているのでしょうか?
重症の定義によって、死亡率は変化しますが 検証が必要です
*初期の武漢681人についての後ろ向きコホート研究の論文和訳はこちらです
現時点の全体像
全国の感染者数
厚生労働省の資料によると現在は2024年になってから3回目のピークです
全国の入院患者数
上下の山を比較してください。最近になるほど、感染者数に対して入院患者数が増加しています。何が原因でしょうか?
増加している入院患者の年齢層は?
6月17日以降、50歳以上、年齢の高い順に入院患者数が急激に増加しています。特に、80歳以上で入院となっている人のワクチン接種歴を公表して欲しいです
上のグラフから19歳以下を書き出します。すると入院患者が増えているのは順に、1歳未満、1〜4歳、5~9歳です。小学生は夏休みに入りましたか?
感染させないことが大切です。すごく小さな子供たち、特に2歳以下は入院の適応になることが多いです
入院して重症化しているのは誰か?
入院してICUに入室した人数と、人工呼吸器を使用した人数の表です。表にある「上記以外」とは、ICUや人工呼吸器を必要とするほど重症ではなかった入院患者の数です。80歳以上の高齢者は重症化する人数が、ICU入室1,068人、人工呼吸器403人で、入院 31,372人のうち人工呼吸器またはそれ以上になった割合は4.69%です。前述のように重症例の死亡率が30%であるとして計算すると、80歳以上が100人入院した場合に1人か2人が死亡となります
1歳未満はICU入室33人、人工呼吸器15人で、入院1,814人のうち人工呼吸器またはそれ以上に重症化した割合は2.65%です。1〜4歳も類似した数です。特に乳幼児は適切に受診から入院へ医療へのアクセスが重要です
流行中変異株とワクチン接種者の関係
7月25日の発表で東京都 で KP.3 が87.3%、大阪府で 79.2 % と圧倒的です
*参考までに、大阪府における患者数は上昇中です↓
*大阪府発表の年齢別患者数の推移はこちら
変異株の性質
変異株の性質について詳しくは前回の記事をご覧ください
キーポイントを繰り返しますと、
最も最近のXBB.1.5 対応ワクチンの追加接種をしても、大部分の人は流行中のKP.3 に対する中和抗体がありません。グラフの左側です
例外は、XBB.1.5 対応ワクチンの追加接種前にXBB.1.5 に感染していると7 ~ 8割の人には中和抗体がある。グラフの右側です
現在は大流行中です。ワクチン接種を呼びかけている人もいるようですが、現在は変異株KP.3 を中和する抗体ができない旧型ワクチンしかありません
XBB.1.5 対応ワクチンの追加接種をすでに実施された方へ
ウイルスの変異によってT細胞免疫をつける抗原が保たれているかについて継続的に調査されていません。おそらくXBB.1.5 対応ワクチンの追加接種によるT細胞免疫は変異株KP.3に引き続き有効であろうと予想されます
医師の情報によると、現在、肺炎になるのはワクチン未接種から接種回数が3回までの人です。この情報を信じると、ワクチンによるT細胞免疫は3年持たない
✅ 今回の変異株KP.3の特徴として、発熱がみられないなど症状が穏やかなのに大量にウイルスを排出している人がいるようです
✅ さらに多数回ワクチン接種をしている方は、ウイルスを中和しない抗体を大量に保有している可能性があります。この場合、日本の医師で認めている人は少ないですが、抗体依存性感染増強が起こる可能性があります。疾患増強ではなく感染増強、つまり感染しやすいという指摘です
✅ 多数回ワクチン接種をしている方にマスクを推奨します
ウイルスに暴露しても感染を成立させない努力を
今流行しているのは、変異株KP.3 ですが、流行し始めているのは LB.1、KP.2.3、KP.3.1.1 など S31del を持つ変異株です。これらは、S31del の変異によりスパイク蛋白に糖鎖を増やすことによって免疫逃避します
新型コロナウイルスのモデル図を書いてみましょう。これまでは左側のモデルでした。実際には右のようにスパイク蛋白から多数の糖鎖が出ていて、抗体は糖鎖込みでスパイク蛋白を認識しています。スパイク蛋白に糖鎖が増える変異には S31del のように中和抗体を無効にするものがあります
対策は?
なんと言っても鼻うがいをおすすめします。方法はこちらの記事です。やり方と、臨床試験の成績を書きました
もっと何かしたい方には鼻スプレーがあります。
鼻うがいで洗浄する鼻から喉にかけて鼻スプレーはそんなに届かないので、すごく強くお勧めしたいわけではないですが、外出時間が長い方などのためにまとめます
Xlear 鼻スプレー
多くの人が購入しているものに、Xlear があります。これは生理食塩水にキシリトールを加えたものです。生理食塩水の鼻スプレーはある程度感染を抑制しますが、粘膜を乾燥させるのでキシリトールを加えて乾燥を防ぎます
メーカーサイトはこちら
iHerb で、左は大人用 22ml 989円、右が 子供用 22ml 989円。
けっこう高い
Xlear 鼻スプレー の作り方
手作りが得意な人向けです
材料
鼻スプレー容器 (熱湯で5〜10分煮沸消毒し乾燥させる)
キシリトール 例えば 700g 1500円くらい + 送料
生理食塩水 500ml (0.9%塩化ナトリウム水溶液 と記載してあります)
組成
キシリトール 5%
食塩 0.9%
作り方
✅ 生理食塩水 500ml にキシリトールを25 g 溶かす。あるいは生理食塩水 100ml にキシリトールを5 g 溶かす。
🔵 生理食塩水を手作りする場合は、精製水または沸騰させてから清潔な容器で冷ました水 500 ml に食塩を4.5 gから 5 g 溶かす
*溶解してから冷蔵庫で2週間程度保存可能です
*理科の試験のように正確ではありません。家庭用計量に合わせています
とりあえず手作り方法につき、今回はここまでにします。鰻弁当で黄色ブドウ球菌中毒が出たニュースを見て、作り方を説明して読者の皆さまが清潔に作れるのか不安になっているせいです
さて、医薬品の鼻スプレーがどのくらい効果があるのか?
ポビドンヨードとインターフェロンの論文をご紹介します
Nasodine 鼻スプレー は 0.5%ポビドンヨードを含有しています
24.99ドルでメーカーサイトはこちらです
Nasodine 鼻スプレーの第2相臨床試験で、2.5 日間で合計 20 回のナソジン® 鼻腔スプレーを投与したところ、COVID-19 被験者の鼻腔内の SARS-CoV-2 ウイルスの生存力価が大幅に減少しました。2022年と2023年にオミクロン流行中の南アフリカで実施されました
ポビドンヨードの過剰使用は、甲状腺機能に影響を与える可能性がありますが、これまでNasodine 鼻スプレーは第 I、II、III 相ヒト臨床試験で臨床的に安全で忍容性が良好であることが示されています ACTRN12618001244291、ACTRN12619000764134、ACTRN12621000604808
結果は下図のように、Nasodine 鼻スプレー投与群において中鼻甲介スワブから採取したサンプル中の生ウイルス力価の有意な減少がみられました。2日目に20%まで、3日目に0%まで減少した。ただし、南アフリカのオミクロン流行期では被験者をこれ以上集めることができず、臨床研究として質が低くなった。論文訳ブログへ
インターフェロンは医薬品ですが、効果のほどを知りたいでしょうと考えます
インターフェロンは、4億年以上の歴史を持つ、ウイルス感染と戦う最も保守的で進化したシステムです。インターフェロンは、I型、II型、III型のIFNに分類されます。(これ以降、インターフェロンはIFN と書きます)。I型IFNには、IFN-α、IFN-β、IFN-ω、IFN-κ、IFN-τが含まれます
I 型 IFN は、in vitro アッセイで Vero E6 細胞における SARS-CoV-2 の複製、ウイルス抗原の発現、ウイルス量の減少、プラークの減少を抑制します
これに対し、SARS-CoV-2 を含む多くのウイルスは、IFN の抗ウイルス機能を回避するためのさまざまなメカニズムを開発しています。SARS-CoV-2 は約 10 種類のIFNの作用に抵抗するタンパク質を持っています
このうち、東京大学医科学研究所の佐藤佳先生のチームはORF3b蛋白とORF6蛋白に強い IFN 抑制効果があることを報告しています
*ORF6蛋白についてのプレスリリースへ
COVID-19患者に観察される特異で不適切な炎症反応は、I型およびIII型IFNの低レベルが部分的に原因です。2022年までに実施されたIFNを投与した臨床研究をメタアナリシスで総合的に検討した結果、IFN-α アルファ 投与は退院する人数を増やした。しかし、入院期間を短縮しなかった、および死亡者数を減少させなかった Front Immunol.2023 Jan 26:14:1069894.
IFN は鼻腔噴霧または吸入の経路で、COVID-19 発症前に投与するのが最も有効性が出やすいようです。(私の見解です)
まだ論文になっていませんが、2024年4月のスペインで開催された ESCMID 会議 にC-SMART Trial の結果が報告されました。約47%が血液悪性腫瘍、52%が固形腫瘍を持つ平均年齢62歳の389人を鼻腔スプレーで1日4万IUのインターフェロンアルファ(IFN-α)の投与群とプラセーボに分けた。COVID-19 の発症率は、プラセボグループが16%、IFN-α 投与群が7.7%と相対リスク0.50(95% CI: 0.26-0.84)で有意にCOVID-19 の発症を抑制した Interferon-a (IFN-a) nasal spray as prophylaxis reduces the incidence of COVID-19 in cancer patients: a randomised double-blinded placebo-controlled study (The C-SMART Trial). ESCMID. April 27-30, 2024. Barcelona, Spain. (残念ながらネットに抄録はありません)
このようなIFN -α 投与と類似の効果は、イベルメクチンや過去記事紹介の市販薬で得ることができます。例外はがん患者など免疫能の落ちている人、生まれつきIFN 経路の働きが悪い人です
中編を最後まで読んでくださいましてありがとうございます
暑い日が続いています。皆さま、ご自愛ください